移動に欠かせない交通手段のひとつである電車。しかし、通勤や通学の時間帯は混雑するため、殺伐とした雰囲気がある。車内では譲り合いの精神を持って、お互い気持ちよく過ごしたいものだ。
今回は、車内で乗客の“無関心”によって困惑したという2人のエピソードを紹介する。
強烈な異臭で車両閉鎖、移った先でありえない光景を目撃
三浦さやかさん(仮名・30代)は、妊娠後期で定期検診に向かっていた。6両編成の最後尾車両に乗り込んだ瞬間、鼻につくような異臭が漂っていたという。
「下水みたいなニオイで、一瞬で“これはムリだ”って感じでした」
車内トイレの故障だったらしく、車掌からすぐに「この車両は閉鎖します」とアナウンスがあった。三浦さんは隣の車両へ移動した。
しかし移った車両は混み合い、目に飛び込んできたのは信じられない光景だったようだ。
「一部の座席を占領する家族連れがいたんです」
6人掛けを“ベビーカー横置き”で占領
家族は3人にもかかわらず、6人掛けの座席を占領。両端に夫婦が座り、その間に横向きのベビーカーが“ドンっ”と置かれていた。
「車掌さんが『譲ってください』と声をかけても、まったく動かないんです」
最後尾車両が閉鎖され混雑している中で、その一角だけが空いている異様さだったという。妊娠中の三浦さんだが、座ることもできず、離れた場所で立つしかなかった。
「みんなが“ジーっ”と見ているのに、その夫婦は窓の外ばかり見て、大声で話してるんです。あの無関心さが一番怖かったですね」
結局、三浦さんが下車するまで、家族連れは席を譲るどころかベビーカーを端に寄せることもなかった。
“女性専用車両”で目の当たりにした押し合い
田中唯さん(仮名・30代)は、毎日電車で通勤していた。
通勤、帰宅ラッシュは日常で、「男性と体が触れるのはイヤ」と感じていたため、田中さんは常に“女性専用車両”を利用していた。
最悪なことは、電車が何かしらの理由で遅延した日だったという。
「ホームは人で溢れ、満員の車両に押し込まれます。“潰れるんじゃないか”って思うほどでした」
田中さんの目の前には妊婦が立っていた。
妊婦を押す乗客…赤ちゃんを守ろうとして踏ん張った
妊婦はリュックに“マタニティーマーク”をつけ、体を横にして必死にスペースを確保していたそうだ。それでも周囲は誰も声をかけなかった。
「私は、“この人だけは押さない!”って決めて、壁になりました。足に力を入れて踏ん張って、後ろからの圧を全部止める感じでした」
しかし、問題は妊婦の真正面にいた40代くらいの女性だった。
「睨みながら押すんです。“邪魔よ”って態度で、仕方なく押される感じじゃなくて、悪意がある押し方でした」
田中さんは腕を伸ばし、妊婦のお腹の前に“バリケード”をつくったという。
「これ、“女性専用車両”ですよ。女性同士で妊婦に対してこんなにも冷たいのかと、ショックでした」
また、会社や社会への怒りも同時に込み上げてきたようだ。
「そもそも“大きなお腹で満員電車に乗らないといけない状況”って、どうなんですかね……」
田中さん自身が仕事を辞めて子どもを産んだ今でも、あの日の光景は忘れられないという。
「女性専用車両は、“女性同士だから助け合える”場所じゃなく、ただ“同じ性別の人”がいるだけでした」
電車では個人のマナーが大いに問われる。だが、不快に感じても声をあげにくい空気があるのは事実だ。自分の何気ない行動が周囲の迷惑になっていないか、あらためて意識する必要があるだろう。
<取材・文/chimi86>
【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。
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