12月5日(金) 22:10
年末調整では、給与から天引きされた源泉徴収税額と、実際に課されるべき所得税額との差を精算します。その際に重要なのが、「所得控除をどれだけ適用できるか」です。控除が多いほど課税所得が減り、結果として税負担が軽くなります。
特に差がつきやすいのは、自分で申告しなければ適用されない控除です。代表的なものは、以下に挙げるような項目です。
・生命保険料控除
・介護医療保険料控除
・地震保険料控除
・扶養控除・配偶者控除
・iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金控除
特にiDeCoは、掛金が全額所得控除となるため効果が大きく、年間で20万円以上掛金を拠出していると、所得税と住民税を合わせて数万円以上負担が減ることがあります。これらの制度をどれだけ使っているかによって、最終的に戻ってくる金額が大きく変わります。
還付額が大きい人のなかには、支払った税金が多すぎたケースもあります。年末調整は給与所得に限った精算ですが、年の途中で源泉徴収が過大になっていると、その差額がまとまって戻ってきます。
例えば、以下のようなケースが挙げられます。
・中途入社で前職の源泉徴収と合算した結果、過大になっていた
・年の途中で扶養状況が変わり、税額が調整されていなかった
こうした要因は本人の節税行動とは関係なく発生するため、あまり意識していなかったのに還付金が多かったというケースも珍しくありません。
年末調整では扱われないものの、年末までの支出によって税負担が軽くなる制度を積極的に利用している人は、年間を通した税金の軽減効果が大きくなる傾向があります。代表的なのは、ふるさと納税や医療費控除など、別途の手続きが必要な控除です。
ふるさと納税はワンストップ特例を使えば確定申告が不要になり、翌年の住民税が軽減されます。また、医療費控除は確定申告を通じて税金が戻る仕組みで、年間の医療費が多い家庭では還付額が大きくなることがあります。
さらに、年末調整で反映される控除もあります。特に住宅ローン控除は控除額が比較的大きく、適用されているかどうかで年末の還付額が大幅に変わることもあります。こうした制度を組み合わせて利用している家庭では、年間を通じて戻ってくる税金が10万円程度になるケースも珍しくありません。
同じ年収でも年末調整の還付額に差がつくのは、控除の利用状況や源泉徴収の過不足など、税金が決まるプロセスに個人差があるためです。制度を積極的に使っている人ほど、結果として還付額が多くなる傾向があります。今回の例のように10万円の差が生じるのも、控除の組み合わせ次第では十分にあり得ることです。
取りこぼしを防ぐためには、自分が使える控除を理解し、必要な書類をそろえて確実に申告することが大切です。制度を知って行動することで、無理なく手取りを増やすことにつながるでしょう。
国税庁 No.1100 所得控除のあらまし
国税庁 令和7年分 年末調整のしかた
国税庁 No.2675 年末調整の過不足額の精算
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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