12月6日(土) 4:20
自民党の参院選公約では、物価高対策として「全国民へ1人2万円の給付」を掲げていました(子ども、住民税非課税世帯には上乗せ支給あり)。
しかし、この給付金には国民の理解が得られなかったことから、高市総理は公約の給付金は行わず、代わりに「給付付き税額控除」の制度設計に着手する考えを示しています。
給付付き税額控除とは、一定額の税額控除を設け、控除しきれない分を給付金として支給する仕組みです。
税額控除だけでは、所得が低い人ほど、もともと納めている税額が少ないため、控除の恩恵を受けづらいという欠点があります。しかし「給付付き税額控除」であれば、控除しきれない部分が現金として受け取れるため、低所得世帯ほど支援が手厚くなるという特徴があります。
ここからは、仮に「4万円の給付付き税額控除」を実施するとどうなるか、単身者の年収別にシミュレーションしてみます。なお、あくまで制度案として想定される例の試算であり、実際の金額が決まったわけではなく、所得税額も家族構成などにより一人ひとり異なります。
・所得税:年間約5000円
・給付付き税額控除:4万円
この場合、5000円が控除され(所得税が全額軽減される)、残りの3万5000円は現金で給付されます。
・所得税:年間約15万円
・給付付き税額控除:4万円
この場合、4万円分の所得税が減るため節税になりますが、現金の給付はありません。また、もしも制度上所得制限がされる場合、例えば1000万円以上の人に対しては税額控除が全くされないという可能性もあります。
いずれにせよ、「給付付き税額控除」が導入された場合、低所得者ほど手元にもらえる現金が増えるという設計になりそうです。
立憲民主党は、この制度とは別に中低所得者へ「1人3万円給付」、所得制限なしで「子ども1人2万円給付」を提案しています。ただしこれは野党案であり、実施が決まっているわけではありません。
現状、与党は税制を活用した支援、野党は現金給付と、異なるアプローチをしています。
現時点で具体的な制度内容は決まっておらず、給付付き税額控除の詳細や、ほかの給付案が採用されるかどうかも未定です。今後の国会審議によって方向性が固まっていくでしょう。
給付付き税額控除は、低所得ほど支援額が大きくなる仕組みを採用できる制度です。そのため、住民税非課税世帯などは一律2万円よりも大きな給付を受けられる可能性があります。
一方で制度設計次第では、中所得層は現金給付が受けられず、税金が軽減される形の支援にとどまる可能性もあります。最終的な支援額は今後の国会での議論により決まるため、正式な発表を待ちましょう。
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首相官邸 第219回国会における高市内閣総理大臣所信表明演説
執筆者 : 三浦大幸
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
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