12月5日(金) 5:00
30代で医療保険に入っていないからといって、今日明日すぐに困ることは多くありません。30代は一般的に体力もあり、入院や長期の通院とは縁のない人が多いからです。
しかし、だからこそ油断しやすい時期でもあります。ここでは、医療保険に未加入のままでいる場合に考えられる主な不安点を整理します。
医療費は、高額療養費制度などによって一定額以上は抑えられますが、それでも個人の負担は決して小さくありません。
例えば、手術や入院が必要になった場合、ベッド代(差額ベッド代)や食事代、通院時の交通費、家族が付き添うために仕事を休む場合の負担など、公的制度ではまかないきれないお金がかかります。
30代は多くの人が働き盛りの時期です。そのため、長期の療養で会社を休むと、給料が減ってしまう可能性があります。
生命保険文化センターの2025年度「生活保障に関する調査」(速報版))によると、疾病入院給付金が支払われる生命保険の加入率は65.6%となっています。
また、生命保険加入により医療保障による経済的準備をしているのは、70.2%です。つまり、保険に入っている人が多いため、職場などでも医療保険に入っていないと驚かれることさえあります。
30代は、医療費の出費が少なく、医療保険の必要性を感じにくい世代です。しかし、だからこそ備えておくことで得られるものは多く、加入しておくメリットはしっかりあります。
手術や入院により医療費が増えても、医療保険からの給付金があれば家計への負担を軽くできます。医療費の心配が減ることで、治療に集中しやすくなるという利点もあります。
医療保険は、若いうちに加入するほど保険料が抑えられ、加入できる可能性も高くなります。将来のことを考えるなら、健康な30代で加入しておくことは合理的です。
万一のときに備えがあるだけで、気持ちが落ち着きます。「もし病気が発覚したら」「入院を言われたら」といった心配が減り、日常生活にも余裕が生まれます。
医療保険は、年末調整で所得税や住民税が軽くなる「生命保険料控除」の対象です。例えば、30代で毎月保険料を払っている場合、年間で数千円程度は税金が少なくなる可能性があります。
つまり、医療保険に加入することで、保障を確保しながら手取りも増えるという、2つの効果が得られるのです。
30代で医療保険に加入していなくても、すぐに困ることはあまりありません。しかし、病気やけがによる医療費や収入減は突然訪れるもので、生活を大きく揺らす可能性があります。
健康なうちに加入することで保険料が抑えられ、加入審査にも通りやすく、精神的にも落ち着いて生活できるでしょう。また、年末調整による税負担の軽減も期待でき、家計面でもメリットがあります。まだ元気な30代こそ、将来を見据えて備えておく選択が現実的といえます。
公益財団法人生命保険文化センター2025(令和7)年度生活保障に関する調査(速報版)
執筆者 : よし・こう
1級ファイナンシャル・プランニング技能士・CFP
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