“プチ”独り立ちも奏功?六車日那乃がQT突破へ上位浮上(撮影:福田文平)
12月5日(金) 8:30
<JLPGAファイナルQT3日目◇4日◇宍戸ヒルズカントリークラブ東コース(茨城県)◇6418ヤード・パー72>
六車日那乃は出遅れから着実に順位を上げてきた。初日「75」で93位→2日目「68」で52位、そしてこの日は6バーディ・1ボギーの「67」。トータル6アンダー・11位タイで来季前半戦フル出場権が見込める(35位付近)圏内に急浮上して最終日に向かう。
「初日は不安と緊張でうまく集中できなかった。中途半端な決断になっていました」。そこで意識したのが声に出すこと。「キャディさんに『ここに打つね』と言葉に出してやるようにしています」。奥に見える木、バンカーの左上、ワンピン右…。「とりあえず安パイなところにいってくれ…」と願いつつ、ショットを打つ前のイメージ作りを大事にする。
前半11番パー3では5番ユーティリティでピン横80センチにピタリ。「スジりました。イメージよりよかったです(笑)」と初バーディ。上がり4ホールでも3バーディと伸ばし、最後まで流れを手放さなかった。
5度目のプロテストに合格して受験した昨年のQTは58位。今季は下部ステップ・アップ・ツアーが主戦場だった。「山陽新聞レディースカップ」と「明治安田レディスオープン」の2位などトップ10入り7回。明治安田ステップ・ランキング(賞金ランク)は3位(1252万9523円)で終わり、上位2人に与えられる来季前半戦出場権はおよそ254万円差で逃した。
「3位になれるとも思っていなかったので、そんなに落ち込むとか、“QTか…”とは思いませんでした。ファイナルからいけてよかったです」。ランキング3~10位に入ったことでファーストを回避してファイナルから出場できたことが大きい。
5月からは新たな取り組みを始めた。上田桃子を指導する辻村明志コーチに師事しているが、自分で考えることができるようにと連絡を控えている。「教えてもらっているのに自分で自分を理解できないことが多かった。やってダメだったこと、失敗したこと、よかったことを自分で気づけたほうが、頭の中を整理できる。(辻村コーチは)大変なので毎週来てくれるわけでもないし、自分で分からないといけない」。
“自立”を目指したプロ2年目。反省は携帯のメモ機能に書きとめて、いつでも見返せるようにしている。「少しは自分のことが知れました。自分なりに改善できて、それを繰り返していける。遠回りなことかもしれないけれど学べています」。辻村コーチに連絡をとる頻度はかなり減ったが、『頑張れ』の言葉とともに見守ってくれている。
QT突破圏内で残り18ホール。「あしたもただ新しい一日。きょうまでのことを忘れて、心のそこからネガティブを捨てて、一打一打やりたいです」。最後まで狙いどころをハッキリと唱える。(文・笠井あかり)
