新たな飲み会の作法を学んでおこう!
政府が「2020年代の可能な限り早期に30%」という女性管理職比率の目標を掲げる昨今。あなたの周りにも女性上司が増えたのでは?男ばかりの昭和な飲み会に慣れてしまっていない?新たな飲み会のお作法をいま一度学んでおこう!
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【忘年会シーズン!増える新たな悩み】
日本初の女性総理が誕生!東京都知事も女性だし、あなたの会社にも「女性上司」がどんどん増えているのでは?そんな時代の中で迎える忘年会シーズン......女性上司を意識した新たな飲み会のマナーを学びたい!
正しい振る舞いを教えてくれたのは、世代・トレンド評論家で女性会社役員にも多く取材している牛窪 恵氏。
「政府は2030年までに女性管理職の比率を30%以上にする目標を掲げています。世の中に女性上司が増えている一方で、『女性上司か......』という視線を送る男性社員を一定数生んでいるのもまた事実。
そんな中で、女性上司は『実力で選ばれていることを証明しなければならない』『舐められてはいけない』と気を張りがち。お酒の席だからと油断していると『女性を下に見ている時代遅れの社員』の烙印を押されかねないので注意が必要です」
では、具体的なポイントを教えてもらおう。
●最初の一杯は「多様性とスピード」
乾杯はビールで......はもう古い!
「女性は男性と比べてお酒に弱い人が多く『男性社会の中で無理して飲んできたが、本当はお酒が苦手』という女性も少なくありません。アルハラにも注意しなければならない時代ですので、上司だけでなく参加メンバー全員が好きなものを飲めるのがベスト。
ただ、乾杯までの時間が長くなってしまうのも問題。入店前から参加メンバーが1杯目に何を飲みたいかを聞いておき、店員さんに事前に伝えておいたりタッチパネルでまとめて注文できるとスムーズ。序盤から〝デキる社員〟と思ってもらえますよ」
●食べるペースにも気を配る
男女で食べるスピードが違うため、気づけば皿が空なんてことも。取り分けておくと良し
また、酒だけでなく料理にも目を向けるべきとのこと。
「女性は食べるペースが遅い人も多いため、周りの社員たちと話していたら料理が男性社員にほとんど食べられてしまっていた......という状況になりやすい。女性上司の分がなくならないよう別の皿に取り分けておき『食べる時間もつくってくださいね』などの声かけができると気遣いを評価してもらえるでしょう」
●仕事の相談は「感情」を伝えるのもアリ
せっかくなら飲みながら仕事の相談もしたい。
「相談をするときは何を知りたいのかという結論だけでなく、何があってその悩みに至ったのかというプロセスを詳しく話す意識が大切。
これまでの上司からは解決策を見つけるために『結論を話せ』と言われることが多かったかもしれませんが、新しい上司の場合はストーリー全体を共有してもらい、部下の気持ちに共感してあげることで、上司としての役割を果たしたいと考えているかもしれません。
自己開示をして自分がどういうことに悩み、何に喜びを感じる人間なのかを素直に伝えられると、女性上司との距離を縮められることもあると思います」
●「さしすせそ」は逆効果
営業の「さしすせそ」(「さすがです」「知らなかった」「すごい」「センスがいい」「そうなんですね」)って使っていいの?
「これらのリアクションはもともと男性に対してあざとい女性が『これさえ言っておけば上機嫌になる』と使ってきたテクニック。
女性誌では古くから何度も紹介されており、女性上司もおそらく昔から知っています。いまさら男性部下が使うと、機嫌を良くするどころか『バカにされている?』と不快にさせてしまう可能性が高いので注意」
●容姿・年齢はNG。持ち物を褒める
高市早苗総理のバッグが「サナエバッグ」として話題に。女性は持ち物にも気を使っている。容姿ではなく、持ち物や服装を褒めること
では、どう褒めれば喜ばれる?
「つい言ってしまいがちな『お若いですね』という褒め言葉は容姿を褒めているようで、あらがいようのない加齢をほのめかすことにもなるためリスキー。ルックスを褒めること自体がセクハラにもなりかねないので、スーツやバッグなど持ち物を褒めるのが正解。
女性は忙しい日々の中でもメイク、TPOに合わせた服選びなどが必要で大変ですが、男性はそこに気づきづらい。『忙しく働かれているのに、持ち物にまでこだわられていてすてきです』と褒めると、女性上司に『わかってくれている』と信頼されるでしょう」
●タブーは政治・宗教・アイドル
男性アイドルの話は盛り上がるように思えるが、内心で反感を買っていることも。やめたほうが無難
これまで飲みの席でのタブーは政治・宗教・野球といわれてきた。
「女性上司の場合は、『野球』でなく『アイドル』に置き換えるほうがいいでしょう。BTSやtimeleszら男性アイドルを好きな女性上司は多いですが、『BTSのジン、カッコいいですよね』という何げない発言も『たいしてわかっていないくせに』とファン心理に火をつけてしまったり、『どうせ冬ソナにハマってるおばあちゃんみたいに思ってるんでしょ?』などと邪推されたり、意外と危険。
触れないのが無難ですが、もしも女性上司から話を振ってきた場合は、『timeleszって幅広い年代にファンがいるみたいですけど、どうしてそんなにいろんな人の心をつかめるんですか?』というように教えてもらう姿勢をとりましょう」
●「○○っすよね!」という口調は注意
飲み会なら「○○っすか?」など親しみを込めてフランクな口調にしてもいい?
「女性上司も『本当は私も男性同士のように距離を縮められたら』と思っているはず。ただ、飲み会の場とはいえ急に砕けた話し方をすると『女性だからって舐められている?』と思われてしまうリスクもあり。
『こういう場なんで、○○部長でなく○○さんって呼んでもいいですか?』『体育会系だったんで今日はそのノリを出しちゃってもいいですか?』など確認のひと言を挟んでから丁寧に距離を縮めるのが正解です」
●レディとして接するのは◎
紳士的なスタンスを見せるのはありだろうか。
「ドアを開ける、椅子を引いてあげる、力がいることをやってあげる、などの行動も心をつかむ可能性のある方法と言えます。
出世している女性は『自分でなんでもできる人』と思われがちで、男性たちからも助けてもらえなかった経験を持つ人が少なくありません。シンプルですが、ジェントルな振る舞いは効果的。
ただし、ボディタッチでドキッとさせるなどホストが女性を落とすようなスタンスの行動は相手の警戒心を高めるので線引きが重要です」
●若手時代の苦労話は笑うな
男性上司からは過去の失敗談や武勇伝をよく聞くけど。
「女性上司も酔うと若手時代の苦労話を披露することもあるでしょう。男性上司の場合は『昭和・平成って感じっすね!』と笑って盛り上がるシーンだと思いますが、女性上司の場合は男女格差による苦労が深刻だったため男性は安易に笑わないほうがいい。
『本当に大変な時代だったんですね』『そんな中で結果を出されたんですね』と寄り添いながら話を聞きましょう」
●自費で参加する2次会は大チャンス!
流れは2次会に。
「2次会にも種類があり、会社の経費を使う場合や参加者の就業時間として扱われる場合などは、多くの上司は『あくまで仕事としてコミュニケーションを取る時間』と考えるため1次会との差はあまり生じません。
一方、希望者のみが自費で参加する2次会の場合は上司も『飲み会を楽しむ一員』としてフラットに参加する気持ちが生まれるため、距離を一気に縮められる可能性があります。
例えば、カラオケで恋愛ソングを歌う人がいれば、歌詞を眺めながら『僕もこんな経験ありました』『○○部長も感情移入できますか?』などと恋愛話にチャレンジしてもOK。盛り上がれば『普段できないトークをした部下』として記憶してもらえるはずです」
●翌日のお礼メールでギャップに触れる
翌日のお礼メールは普段見られなかった一面などギャップに触れよう
翌日のお礼の内容も気になるところ。
「女性上司は『強く見られる』という悩みを持ちがちなので、飲み会を通して気づいた〝ギャップ〟に触れるのがオススメ。『仕事中の姿とは別の一面も知れてうれしかったです』などと伝えられるよう、上司の姿をよく観察しておきましょう」
取材・文/黄 孟志写真/時事通信社PIXTA
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