父・忠明さんの逝去を明かした森田遥(撮影:福田文平)
12月5日(金) 18:59
<JLPGAファイナルQT最終日◇5日◇宍戸ヒルズカントリークラブ東コース(茨城県)◇6418ヤード・パー72>
今季メルセデス・ランキング78位となり、4季連続で保持していたシードを失った森田遥は、QTランク55位で最終日を終えた。来年の前半戦フル出場が見込まれる35位以内には届かず、自力で出場できるレギュラーツアーの機会は限られる。
初日から「72」「72」「70」と粘り続け、通算2アンダー・35位タイで最終日を迎えたが、この日はノーバーディの「74」。トータルイーブンパーに後退した。「ゴルフの状態はそんなに良くなかったので、そのまんま改善されずに、という感じでした」。2015年以来、10年ぶりのQTを淡々と振り返った。
さらに、10月22日に父・忠明さん(享年65)が亡くなったことも明かした。「マスターズGCレディス」の水曜日に天国へ旅立ち、森田は試合を欠場した。
「気持ちがいろいろと追いついていないまま、ここまで来ちゃった感じです。まだ四十九日も経っていない。それを言い訳にはできないですけど。ツアーも待ってはくれないので」
父はツアーに可能な限り帯同し、森田を支え続けてきた。9歳に始めたゴルフも、父と一緒に練習場に行ったことがきっかけだった。今年は長期の入院が続き、一度もツアー会場に来られないまま、帰らぬ人となった。
「今年はずっと芯がない状態でゴルフをしていた感じでした。“ここ一番”っていうときに、エネルギーとか集中力があまりなかったです。自分のためというよりは、お父さんのためにゴルフをやっていたようなところもありました」
来季はQT55位からの再スタート。16年から参戦してきた日本ツアーで初めて、下部ステップ・アップ・ツアーに出場する可能性も大きい。ただ、「今はそういう(来年に向けた)気持ちは正直なくて。自分を見つめ直す時間がほしいかな」と心境を語る。
「どれくらい試合に出られるのかもまったく分からない。ある意味、違う時間もありながら、ゴルフと向き合えるのかなと思ったりしています。人生も考えながら、ですね」。最後まで気丈に振る舞った29歳。取材対応を終えると、静かに涙を流した。(文・笠井あかり)
