これは、学生時代の友人Aが話してくれたことです。Aは夫と生後8カ月の娘と3人暮らし。ある日、義母がAの家へ遊びに来ることになりました。あいにくAは外せない仕事があり、その日は不在にすることに。しかし、仕事から帰ったAが冷凍庫を開けると、まさかの事態が起こっていたそうなのです……。
作り置きしていた娘のごはんがない!職場で管理職として働くAは、出産後半年で職場復帰をし、仕事に育児に奮闘していました。そんなある日、義母から「次の週末、孫ちゃんに会いに泊まりに行ってもいいかしら?」と連絡が入ります。義両親は遠方で暮らしており、娘には生まれてからまだ会ったことがなかったため、Aは義母の訪問を快諾。ただ、土曜日はどうしても外せない仕事が入っていたAは、その旨を義母に伝え「私が不在の間は、夫と娘とゆっくり過ごしてくださいね」と連絡していました。
義母が来る前日、翌日分の食事の仕込みを済ませたA。夫に「明日のごはん、冷蔵庫に入れてるから温めてお義母さんと食べてね。娘のごはんは、作り置きしてる離乳食が冷凍庫にあるから」と伝えました。
そして義母が来る当日、無事仕事を終え17時ごろに帰宅したA。娘と遊んでいた義母は「Aさんおかえりなさい。お昼ごはんまでありがとね」と言いました。「遠くからありがとうございます。すぐ夕飯の準備しますね」と言い、キッチンへ。しかし、娘のごはんを先に解凍しておこうと冷凍庫を開けると、作っておいた娘の離乳食がありません。Aは夫に「娘のごはんがないんだけど、お昼に全部使ったの?」と尋ねます。夫は「え? 俺は一食分しか出してないよ。明日の分まであったと思うんだけど……」と言うのです。
A夫婦が不思議に思っていると、リビングから「孫ちゃんのごはん?
私が捨てといてあげたわよ」と義母が言いました。続けて「冷凍ごはんだなんて、
孫ちゃんがかわいそうだわ。冷蔵庫で私特製のおだしを作ってあげてるから、それを使って今から作りなさい。
食事は作りたてが一番なんだから」と恩着せがましく言うのです。
Aは驚きのあまり「冷凍している離乳食は、作った日付を記入して数日内には消費するようにしています。そもそも勝手に冷蔵庫や冷凍庫を開けて物を捨てるのは
非常識じゃないですか!?」と反論。しかしそれを聞いた義母は「なによ! 子育ての先輩としてアドバイスしてあげたのに! 夫に子どもを預けてまで仕事して、作り置きの食事なんて! 私の大事な息子なのに、育児を押しつけられてかわいそう! あなた母親向いてないわ」と逆ギレしたのです。
遠方に住んでいることを理由に、義母と会う機会も年に1回ほどだったため、もちろん過去にこんなふうに衝突したことはなく、義母の夫に対する溺愛ぶりや子育てに対する考えも初めて知ったA。衝撃のあまり返す言葉を失ったそうです。
するとそれを聞いた夫は、すかさず「Aは仕事で遅くなっても娘に手作りのごはんを食べさせたいと思って、
寝る間を惜しんでストックを作ってくれてるんだよ。それは娘への愛情だろ! それを見てないところで勝手に捨てるなんて……!」と怒鳴ってくれたのです。最愛の息子である夫にしかられて、気まずい表情を見せた義母は「でも仕事ばかり優先で、子育てはあなたに任せきりでしょ?
産むだけ産んで、そんなの育児放棄よ!」とさらに悪態をつく始末。
さすがの夫もあきれ返り、ため息をついて「Aが職場に復帰するのも、夫婦で話し合って決めたんだ。
離乳食のストックを作ってるのはAだし、全然任せきりじゃないだろ。Aも働いてくれているおかげで家計も助かってる。俺がかわいそうだとか勝手なこと言わないでくれ」と言います。ぐうの音も出なくなった義母は「あんたたちには話が通じないわ」とブツブツ。その後の夕飯も気まずい空気で、翌朝早々に義母は家へ帰ったそうです。
その後、義母から一連の話を聞いた義父から、Aには「妻が余計なお世話をしたそうで、すまなかった」と謝罪の電話があったそう。電話口で義父に謝るよう促された義母からも「ごめんなさい」と反省の声が聞けたと言っていました。
Aの義母の「作りたてを食べさせたい」という気持ちは理解できます。しかし、仕事と育児の両立のために、夫婦で話し合って決めたことや、そのための工夫を「手抜き」「育児放棄」と決めつけるのは、あまりに身勝手だと思いました。Aの話を聞いて、自分が意見を押しつけているその裏で、相手がどんな努力をしているのかを考えることの必要性を実感。相手の思いを尊重できる人間であろうと、改めて思った出来事でした。
著者:佐藤きなこ/30代・ライター。1歳の食いしん坊な女の子を育てるママ。娘と同じく食べることが大好きで、暇さえあれば飲食店の情報をリサーチしている。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年9月)
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