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本記事では、「ジャグラーニューヨーク25時」(4K修復版/2025年12月5日公開)の概要とあらすじ、評論をお届けします。
【「ジャグラーニューヨーク25時」あらすじ・概要】
ニューヨークの街を舞台に、娘を誘拐された父親の命懸けの追跡劇をスピード感と臨場感たっぷりに活写したサスペンスアクション。
元警察官のトラック運転手ショーン・ボイドは妻と別れて以来、ひとり娘のキャシーと2人で暮らしている。キャシーの15歳の誕生日、ボイドはバレエ公演のチケットをプレゼントし、学校へ行くキャシーをセントラルパークまで送る。いつも通りの平穏な1日が始まるはずだったが、突如としてキャシーが見知らぬ車に引きずり込まれてしまう。目の前で愛娘を誘拐されたボイドは必死に後を追うも、車の横転事故により病院に搬送される。トネリ警部補率いるニューヨーク市警察の捜査チームによる事情聴取がなかなか進展せず、苛立ちを覚えたボイドは病院を抜けだし、独自に娘の捜索を開始する。
「悪魔の棲む家」のジェームズ・ブローリンが主演を務め、「真夜中のパーティー」のクリフ・ゴーマンが誘拐犯ソルテック、「ゴッドファーザー」のリチャード・カステラーノがトネリ警部補、「コマンドー」のダン・ヘダヤがボイドを逆恨みする元同僚バーンズ刑事を演じた。アメリカの作家ウィリアム・P・マッギバーンの同名小説を原作に、テレビドラマ「刑事コロンボ」などのロバート・バトラーが監督を務めた。権利問題から長らく鑑賞が困難となっていたが、2025年12月に4K修復版にてリバイバル上映。
【「ジャグラーニューヨーク25時」評論】
●70年代末のニューヨーク。都会の狂気と興奮を記録した幻の傑作、45年目の帰還(筆者:本田敬)
1980年6月に日本公開された後、一度のビデオ化のみで権利問題から封印されていた本作が、8月の全米公開に続き、ついに日本でも45年ぶりに4K上映される。出演はジェームズ・ブローリン(ジョシュ・ブローリンの父)、クリフ・ゴーマン、アビー・ブルーストーン、リチャード・カステラーノ、ダン・ヘダヤほか。製作中にブローリンが骨折し、監督が当初のシドニー・J・フューリーからロバート・バトラーへと交代する異例の経緯をたどった作品としても知られている。
ニューヨーク(NY)在住の元警官でトラック運転手ショーン(ブローリン)は、15歳の娘キャシー(ブルーストーン)を誕生日の朝に誘拐されてしまう。犯人のソルティク(ゴーマン)は法外な身代金を要求、トネリ警部補(カステラーノ)や元同僚バーンズ(ヘダヤ)らによる的外れな捜査に怒った彼は、古巣の警察と衝突しながら単身犯人を追う。犯人が残したわずかな手がかりを頼りに、ショーンは命懸けで娘を救おうと街を駆け巡る。
ウィリアム・P・マッギヴァーンの原作は、軍事評論家ルーサー・ボイド大佐を主人公に、巨漢の小児性愛者による連続殺人という猟奇性を持たせ(頸静脈=jugularをかき切る手口)、被害者は金髪の少女たちで、舞台はNYのセントラル・パークのみ、という限定的な設定が特徴だ。一方、映画版はボイドを肉体労働者に変更し、犯人の動機にスラムの地上げ問題を与え、実際に財政難から犯罪が激増していた70年代NYの空気感を描いている。娯楽と社会性の双方を取り込んだ重層的なアクション映画として後年評価が高まり、長らく幻の傑作と言われてきた。
作品の魅力は、画面から溢れんばかりの荒々しい疾走感。実際の事故と見紛うような生々しいカーチェイス、ゲリラで撮られた市街のリアルな銃撃戦、猥雑なタイムズスクエアの実景など、激しいアクションと危険で退廃的なシーケンスが連続する。それは現在のCGが多用された映画にはありえない、“70年代末NYの熱気と腐臭”そのものであり、それが観る者の心拍数を問答無用に上げていく。
そして、もうひとりの主役はNYそのものである。同時期の「ウォリアーズ」(1979)、「クルージング」(1980)、「ナイトホークス」(1981)などと同様、“崩壊した街とアウトサイダーな主人公”の構図でニューシネマの残り香を漂わせつつ、機材や技術の発達でロケ撮影が自由になり、前述のような都会×エンタメを標榜した個性的な映画群がこの時期に生まれた。本作は70年代映画の狂気と80年代アクションの興奮が一点で交差した奇跡的な一本であり、45年の間にカルト化し“都市型暴力映画の最重要作”となったのである。
【作品情報】
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ジャグラーニューヨーク25時
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