「給付付き税額控除」は本当に導入される? もし実現したら私たちの生活にどんな“良い影響”がある?

「給付付き税額控除」は本当に導入される? もし実現したら私たちの生活にどんな“良い影響”がある?

12月3日(水) 22:30

所得が低い世帯にも減税メリットを行き渡らせる仕組みとして注目されているのが、「給付付き税額控除」です。物価上昇や生活費の負担増が続くなか、現金給付と減税を組み合わせて“取りこぼしのない支援”を実現できる制度として期待が高まっています。 ただし、財源確保や制度の複雑さ、行政コストなど課題も多く、実現には慎重な議論が求められています。そこで本記事では、制度の内容や導入の可能性を整理し、家計への影響を考えていきます。

給付付き税額控除とは

給付付き税額控除は、税額控除を適用しても控除しきれない部分について、その差額を現金として受け取れる制度です。
 
従来の税額控除は、納税額が少ない世帯では恩恵が限定的で、特に非課税世帯には効果がありませんでした。この制度が導入されれば、働いて収入を得ているものの税負担が軽い世帯や子育て世帯などにも現金支援が行き渡りやすくなり、所得の底上げにつながる可能性があります。
 
この制度は海外で広く導入されており、日本でも所得の再分配機能を強化する対策として検討が進められています。
 

なぜ今、日本で議論されているのか

近年の物価高や光熱費上昇は、多くの世帯の生活を圧迫しています。一時金や一律給付では「必要な人に十分届かない」という課題が指摘され、働く人を中心にきめ細かく支援できる制度が求められるようになりました。
 
給付付き税額控除は、収入や家族構成に応じて給付額を調整できるため、支援が本当に必要な人に届きやすい点が評価されています。また、働くことで手取りが増える構造を維持できることから、就労意欲を損なわない制度としても注目されています。
 

給付付き税額控除で私たちの家計はどう変わるのか

期待される効果には、まず低所得や非課税世帯の手取り増があります。控除を使い切れなかった人でも現金を受け取れるため、可処分所得が実質的に増加します。
 
また、子育て世帯や共働き世帯など、支出が多い層にとっても家計の下支えとなりやすい点が魅力です。給付は生活費や消費に回されやすいため、景気の底支えにつながる可能性もあります。
 
一方で、制度の対象者や所得の計算方法など、どのように制度を組み立てるかについては、政府や関係機関が丁寧に検討していく必要があります。過度に複雑化すると誤給付や行政コストの増大を招き、かえって機能しづらくなります。
 
また、恒久的な給付を続けるには財源の確保が不可欠であり、他の制度との調整も避けては通れません。制度が本来の目的を果たすには、持続可能で国民が理解しやすく、かつ長期的にわたり運用できる仕組みにしていくことが求められます。
 

日本で本当に導入されるのか?

現在、税制改正の議論のなかで制度化が検討されているものの、対象者や給付額、開始時期など細部はまだ固まっていません。行政のデジタル化推進や所得情報の正確な把握が前提となるため、実現には一定の準備期間が必要です。
 
早ければ数年以内に導入される可能性はありますが、財源の確保や既存制度の整理といった課題も多く、現時点では具体的な開始時期を確定できません。制度として本格化するかどうかは、今後の国会審議や政党間の合意形成に大きく左右されるでしょう。
 

家計に影響する制度作りの進展に注目しよう

給付付き税額控除制度の詳細が決まっていない今こそ、自分の家計を整理し、収入や税負担、既存の給付を把握しておくことが重要です。導入された場合の影響をシミュレーションしておけば、制度開始時に受けられる支援を取りこぼしにくくなるからです。
 
なお、給付付き税額控除制度は家計を補う支援の一つに過ぎません。収入の安定化や支出管理といった基礎的な家計改善も並行して行い、変化に強い家計を作っておけば将来の安心につながるでしょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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