12月4日(木) 4:10
老齢厚生年金は、現役時代の報酬に比例して年金額が高くなる仕組みになっています。具体的には、老齢厚生年金額は以下の計算式で算出することが可能です。
老齢厚生年金額=報酬比例部分+経過的加算+加給年金額
ここでは、前提条件として「平成15年4月以後に40年間厚生年金に加入し、報酬はボーナス込みで40年間一定」とし、年金額=報酬比例部分と仮定した場合、老齢厚生年金額は以下の式で計算できます。
老齢厚生年金額=平均標準報酬月額×5.481/1000×加入月数
老齢基礎年金は令和7年度の満額である6万9308円もらえると仮定します。
今回、老齢厚生年金を30万円ー6万9308円=23万692円もらえるとすると、老齢厚生年金の算定基礎である平均標準報酬月額は以下の式で算出することが可能です。
23万692円=平均標準報酬月額×5.481/1000×480
計算の結果、平均標準報酬月額=約105万円になります。105万円は月収なので年収に直すと105万円×12ヶ月=1260万円の計算です。つまり、掲題の年金を毎月30万円以上もらっている友人は、現役時代の年収が1260万円以上であった可能性があります。
では、年金額が月額15万円の場合、現役時代の年収はいくらくらいなのでしょうか。
老齢基礎年金は令和7年度の満額である6万9308円もらえると仮定し、上記と同条件で計算すると、老齢厚生年金を15万円ー6万9308円=8万692円もらえる方の平均標準報酬月額は下記の通りです。
平均標準報酬月額×5.481/1000×480=8万692×12ヶ月
平均標準報酬月額=約37万円
つまり、現役時代の年収は37万円×12ヶ月の444万円程度の可能性があります。
あくまで仮定に基づく概算ではありますが、年金を毎月30万円以上もらっている方は、月額15万円もらっている方に比べ現役時代の年収が3倍近く高い可能性があるようです。
老後の年金額を増やすには以下の3つの方法があります。
1.定年後も厚生年金に加入する
厚生年金保険の被保険者は、60歳以降も会社に勤め、70歳までは厚生年金保険料を払い続けることにより厚生年金を増額することが可能です。ただし、年金を受給しながら働く場合、収入によっては在職老齢年金制度によって年金額が調整される場合もあります。
2.国民年金に任意加入する
自営業者や個人事業主といったいわゆる国民年金第1号被保険者の方であれば、60歳から64歳の間に任意加入することで、国民年金の加入期間を上限の40年まで延ばすことが可能です。ただし、未納期間がない場合や、厚生年金保険・共済組合に加入している場合は任意加入はできません。
3.iDeCoなどの私的年金に加入する
iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DC(企業型確定拠出年金)を活用して、保険料に相当する金額を積立投資した場合など、非課税制度を活用して「自分年金」を作る方法も選択肢となるかもしれません。
老齢厚生年金の受給額は、現役時代の報酬に比例して高くなります。概算では、掲題の友人は現役時代、自分の年収の3倍近く稼いでいた可能性があるようです。十分な年金がもらえそうもない場合、老後の生活を年金だけに頼らず、iDeCoや企業型DCといった制度も併用した方がよいかもしれません。
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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