ヒストリックカーが現役だった頃の雰囲気を再現し、当時に近い姿で走らせることを目的としたクラブマンレース”SIDEWAY TROPHY”。参加する車両(主に1950年代から1969年末)が現役だった頃を尊重し、過度なチューニングや、ヒストリックカーレースでも主流であるSタイヤをも禁止している。順位とラップタイムだけにとらわれず、当時のバイアス構造であるレーシングタイヤ”DUNLOP CR65”を使用するというレギュレーションで、筑波サーキットで定期開催されていた他イベントの、1つのコース走行枠から2004年に始まった。
【画像】ドライバーも家族も、すべての来場者が楽しめる”FESTIVAL of SIDEWAY TROPHY”(写真50点)もちろんレースには勝敗があるが、勝利史上主義のみだけではなく、ショップステッカーやスポンサーカラーの無い、レース黎明期のサンデーレースの様相のマシンでのレースは、開催ごとに賛同者も増え、当初は混走だったスポーツカーとサルーンカーも、それぞれ独立したレースとなる。
そして2012年11月、新たな舞台を袖ヶ浦フォレストレースウェイへと移し、1日の独立したイベントとして、毎年春と秋に開催されているのが”FESTIVAL of SIDEWAY TROPHY”(以下FoST)である。
モーターレーシングの本場であるイギリスのイベント”Good Wood Festival”をお手本とし、4輪と2輪の祭典となってから13年目経った現在も、全国の趣味人から支持され続けるにはやはり理由がある。
レース参加者たちは、自分の愛車と、愛車が活躍した時代のレーシングドライバー、つまりヒーローになりきり楽しめるのはもちろん、見学者も当時風のスタイルを意識することで、この日会場にいるすべての人たちが、それぞれ主役になれるイベントとなっているからだろう。
これまでのレースは楽しいのはドライバーだけで、同伴者は寒いか暑いかのサーキットで、やることなく待っているということが、少なくなかったと思うが、誰もが楽しめるサーキットイベントの提案は多くのヒストリックカーファンに、新しいスタイルとして受け止められているからだろう。
誰もが主役で楽しめるという点では、もちろん事前に事務局とのやりとりは必要だが、各決勝レースや表彰式を盛り上げてくれる”サーキットの華”ともいえるグリッドレディをやってみたい方もウエルカム。
なんだ雰囲気だけのコスプレイベントかと思う方もいるかもしれないが、それは早合点かもしれない。参加車両には現役時代、実際にル・マン24時間レースやセブリング12時間レースほか、世界の名だたるレースを戦った歴史的なマシンも過去に何台も参加している。
もちろんマシンだけではない。国内外のレースで活躍した生沢徹氏、桑島正美氏、長坂尚樹氏といったレジェンドドライバーほか、国内第一線で活躍したレーシングドライバーたちも、仲間たちとFSoTの1日を楽しむ様子からも理解できるのではないだろうか。
展示イベントや、コマ図を用いたヒストリックカーラリーは、年間を通して開催しない月がないほどという昨今であるが、クローズドされたサーキットでのヒストリックカーの楽しみは、まだ未経験の方も少なくないと思うが、ぜひ経験してもらいたい大人の車遊びである。
さて、そうした楽しみを求めて、全国から多くの参加者たちが集まった2025年を締めくくるFoST。2輪4輪それぞれの走行会と、2輪の2レース(4カテゴリー)が行われた。そして、4輪はFoST、発足当初からのレギュラープログラムの、2つのスプリントレース、サルーンカーによる「TINTOP CUP」そして、スポーツカーでの「EVERGREEN CUP」にはスポーツプロトタイプカーでの「GLORIOUS TROPHY」が混走。サルーンカーとスポーツカーの混走による耐久レース「SEBRING 40m TOROPHY」に、葉巻型といわれるフォーミュラカーでのレース「HISTORIC FORMULA CUP」の4レース(5カテゴリー)のレースが行われた。
白熱したそれぞれのレース結果は、ご覧の通り。コース上での暫定表彰式は総合の3名だけだが、表彰式では、それぞれ排気量により区分されたクラス別での順位も讃えてくれるのも嬉しい。
すべての来場者が楽しめる”FESTIVAL of SIDEWAY TROPHY”次回開催は2026年5月31日(日)を予定している。
◯SEBRING 40m TOROPHY
1位オースティン ヒーリー スプライト MkⅡ(1968年式)大貫/大貫 組
2位モーリス ミニ クーパーS(1965年式)船越/八木 組
3位ロータス コーティナ MkⅠ Sr.2(1968年式)中山/関口 組
4位ポルシェ911(1969年式)村松/木下 組
5位ロータス コーティナ MkⅠ Sr.2(1965年式)島津/藤山 組
6位ロータス 26R(1963年式)田中/早川組
◯HISTORIC FORMULA CUP
1位ロータス41(1968年式)関口 好夫
2位シェブロンB9(1968年式)本橋 茂
3位ロータス69 FF(1971年式)藤原 よしお
4位ブラバムBT-15(1965年式)林 偉明
5位ロータス51 FF(1967年式)河合道郎
6位クーパーT-72(1964年式)金子 温
◯TINTOP CUP
1位アルファロメオ1300GT Jr(1967年式)佐藤 優
2位オースティン セブン(1959年式)島津 次郎
3位ロータス コーティナ MkⅠ Sr.2(1965年式)中山 雄司
4位モーリス ミニ クーパーS(1966年式)藤山 真二
5位ロータス コーティナ MkⅠ Sr.1(1963年式)岡野 晋介
6位サンビーム インプ(1967年式)大橋 盛廣
◯EVERGREEN CUP
1位ロータス 26R(1963年式)田中 茂
2位オースティン ヒーリー 3000(1960年式)金子 温
3位モーガン4/4(1969年式)中村 達哉
4位ホンダS800(1966年式)杉田 正文
5位アルファロメオ ジュリア スパイダー(1963年式)金子 健一
6位ポルシェ911(1969年式)村松 直人
◯GLORIOUS TROPHY
1位ロータス 23B(1963年式)佐藤 優
2位ロータス23B(1963年式)戸塚 政一
3位ロータス 47GT(1967年式)関口 好夫
写真・文:奥村純一Photography and Words: Junichi OKUMURA
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