12月4日(木) 5:00
従来、退職や扶養の削除などで失効した健康保険証は、会社を通じて健康保険組合などに返却することが原則でした。しかし、2025年12月2日以降、自分で廃棄することが可能になります。
2025年12月1日までは、従来どおり、健康保険証は保険者に返却しなければなりません。退職するときに会社に渡せば、会社が資格喪失届に添付する形で保険者(健康保険組合など)に返してくれます。
返却が必要な理由の1つは、誤使用を防ぐことです。健康保険証が有効期限内である場合、退職後も、誤って在職中の健康保険証を使ってしまう人がいるからです。
12月2日以降、全国健康保険協会では、健康保険証を自分で破棄することができるとしています。ほかの健康保険組合も、同様の扱いをするところが多いようです。
とはいえ「12月2日以後は、健康保険証は自分で処分して」と言われても、捨て方に迷う人も多いのではないでしょうか?
全国健康保険協会では「ご自身で廃棄してください」としているだけで、廃棄方法には言及していません。しかし、健康保険組合によっては、「ハサミなどで細かく裁断して破棄」など、具体的な廃棄方法を示しているところもあります。
健康保険証には、氏名や生年月日のほか、記号番号などが表記されています。保険証によっては住所が書かれていることもあります。
これらの情報は、セットで漏えいした場合、リスクにつながるものです。そのため、健康保険証廃棄時には「ハサミなどで細かく切る」「いくつかのゴミに分けて出す」などの配慮が推奨されています。
2025年12月2日に、会社員や公務員などの健康保険証は失効し、使われなくなるはずでした。
しかし、2025年11月、厚生労働省は「期限切れに気がつかずに健康保険証を持参してしまった人」や「資格情報のお知らせのみを持参してきた人」については、医療機関で資格を確認した上で、10割負担を求めない扱いを可能とする通知を出しました。
ただし、これは、あくまでも移行期の混乱を避けるための暫定措置です。2026年3月末までの健康保険証利用を推奨する趣旨ではないことに留意しましょう。
健康保険証には、氏名や生年月日、記号番号などの個人情報が、一緒に表示されているため、ハサミやシュレッダーなどで細かく裁断して廃棄する方法が推奨されています。
健康保険証の移行期です。マイナ保険証や資格確認書は早めに準備し、いざというときすぐ使えるようにしておきましょう。
全国健康保険協会岐阜支部 マイナ保険証利用、資格取得時に届くもの、退職時に返却するもの
厚生労働省 マイナ保険証を基本とする仕組みへの移行について(周知)
執筆者 : 橋本典子
特定社会保険労務士・FP1級技能士
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