12月3日(水) 22:10
運転免許証は、顔写真・住所・生年月日が明記されており、長年あらゆる窓口で通用してきた実績があります。そのため、「免許証さえあれば身分証は困らない」という安心感が強く、財布に常備する人も多いでしょう。また、すでに持っている場合は追加の取得費用が不要で、更新のタイミング以外に金銭的負担もありません。
しかし、運転免許証を身分証明書にするには弱点もあります。更新を忘れれば失効し、身分証として使えなくなる点です。運転免許証の再取得には手数料や講習が必要で、交通機関を使って試験場へ行く場合は交通費や半日分の時間コストも無視できません。
マイナンバーカードは行政手続きのオンライン化を目的に作られた公的身分証で、顔写真付きのため金融機関や通信契約など多くの場面で本人確認に利用できます。さらに、2025年3月から免許情報をカードのICチップに記録し、1枚のカードに統合する「マイナ免許証」が運用され、免許証としての機能を兼ね備えることが可能になりました。
この仕組みの主なメリットは、以下の通りです。
・カードが1枚で済むため管理が簡単
・従来に比べ、更新費用が抑えられるケースがある
・住所変更や更新手続きがオンラインで完結し、時間コストを削減できる
このように、手続きの手間や移動時間、交通費の負担など見えない支出が減る点は、大きな金銭的メリットといえるでしょう。
一方で、マイナンバーカードは制度が浸透しきっておらず、提示方法が免許証より分かりにくい場面があります。また、免許情報はICチップに記録されているため、窓口によっては読み取り設備が必要になるなど、現場対応が完全に統一されているとはいえません。
さらに、マイナンバーカードの有効期限や電子証明書の更新も必要で、これを忘れると身分証や免許情報の利用に支障が出る可能性があります。
そして何より重要なのは、マイナンバーカードを持っていても、免許証が失効していれば運転はできないという点です。あくまでも身分証として代替できる可能性があるだけで、運転資格そのものの回復には再手続きが必要になります。
身分証として従来の免許証とマイナンバーカードのどちらを選ぶかは、費用や更新手続きといった短期的な負担だけでなく、数年単位で見た維持のしやすさや使い勝手も踏まえて判断する必要があります。
まず、運転免許証は身分証としての信頼性が高いものの、更新を忘れることによる失効リスクがあり、再取得には講習や移動などの時間的負担が発生します。運転の機会が少ない人ほど、こうした負担が維持コストとして重くなりがちです。
一方、マイナンバーカードは行政手続き用の身分証であり、単体では運転はできません。これに免許情報を記録して運用するマイナ免許証は、更新手続きのオンライン化やカードの一本化によって、長期的な管理負担を軽減できる可能性があります。
ただし、マイナンバーカード自体の有効期限更新が必要である点や、利用場面によってはICチップの読み取りが求められるなど、通常の免許証とは異なる注意点がある点は理解しておく必要があります。
このように、運転する頻度や更新手続きにかけられる時間、カードの管理に対する考え方によって、どの身分証が最適かは変わります。長期的な負担と利便性のバランスを見極めたうえで、従来の免許証を維持するか、マイナンバーカードを中心にした運用へ移行するかを検討すると、より自分に合った選択がしやすくなるでしょう。
免許証更新を忘れてしまった場合でも、マイナンバーカードがあれば身分証として困ることは少ない可能性があります。マイナンバーカードと免許情報を統合することで、カード管理の負担が減り、手続きのオンライン化によって時間や費用といった見えないコストも抑えられます。
ただし、制度の浸透度や使える場面の差異、カード自体の更新など、現状では慎重な見極めも必要です。運転をしない人や身分証を簡素化したい人にとっては、マイナンバーカードを活用する選択肢は効果的でしょう。自身の生活スタイルとコストを踏まえ、最適な身分証の持ち方を検討してみてください。
デジタル庁 マイナンバーカードの運転免許証利用
警視庁 よくある質問 交通安全 マイナ免許証について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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