レトロ遺産を掘り返す山下メロ氏
記憶の扉のドアボーイ・
山下メロ
です。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。
さて、平成レトロ時代のプロダクトデザインにおいて、筆者が個人的にずっと追究し続けているのがスケルトンです。スケルトンとは本来、骸骨や骨組みといった意味ですが、いろいろな事情が重なり、日本では意味が変化しました。ガワが透明で、内部構造が透けて見えるものを日本ではスケルトンと呼んでいます。
基板や配線が見えるのが魅力のスケルトンは、昭和の時代より子供向けの玩具などに多く見られ、1998年の初代iMacからは大人向けのアイテムにも広く波及しました。今回は平成レトロを感じる透明工具を紹介します。
スケルトンのレーザー墨出し器(前面)
背面
工具はデザインよりも実用性重視で、意味もなく透明にする理由がありません。透明にすれば紫外線の影響も受けやすく劣化が早まるため、あまりスケルトンが見つからない分野かと思います。
そんな中で見つけたのがレーザー墨出し器。建築で木材などに基準の直線を引く墨つぼをレーザー光線に置き換えたもので、イベント設営で展示物の水平をとるのにも便利です。本来は光を遮断できるほうが良いはずで、珍しいようです。
スケルトンボディのチョークライン。粉の残量や固まり具合が視認できる
また、本来の墨つぼの簡易版で、粉を使って材木などに線を引くための工具が「チョークライン」。こちらは粉の残量や固まり具合を見るという目的があって、スケルトンバージョンが存在します。
ほかにも、メジャーや電動ドライバーなどにも透明のものがありました。さらには透明の懐中電灯に車の窓を割るびょうが一体化したアイテムもありました。側面の基板上にLEDが並んでおり、その光を透過させるためという機能性重視でスケルトンのようです。
家庭科用のメジャー
電動グラインダー
懐中電灯。車の窓を割るとき役に立つびょう付き
さて「スケルトン」のキーワードで工具を探していると重機が出てくることがあります。これはショベルカーのカゴの一種、格子状の「スケルトンバケット」がヒットするため。そんなふうにいろんなスケルトンが混用されていますので、注意しながらスケルトン工具を探してみましょう。
撮影/榊 智朗
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