演劇集団円『二十日鼠と人間』チラシ
12月3日(水) 17:00
2025年12月6日(土)〜14日(日)、東京 両国のシアターX(カイ)にて演劇集団円の『二十日鼠と人間』が上演される。
1975年創設、今年50周年を迎えた演劇集団円。本作はその記念企画第3弾となる。アメリカ文学の巨人と呼ばれたジョン・スタインベックによる不朽の名作を舞台化。演出を務めるのは、全作品宮崎弁での上演を特徴とし、日常の中で起こる人間の機微をユーモアを交えて描く劇団、「小松台東」の松本哲也だ。
1930年代、大恐慌下のカリフォルニア。ジョージとレニーはその日暮らしの労働者。大柄で純真無垢なレニーと、彼を守り続けるジョージ。無垢ゆえに問題を起こしてしまうレニーによって、ふたりはひとつの場所に居着くことができず、農場を渡り歩いて生活している。いつか自分たちの土地を持ち、自由に生きるという夢を持つことで、厳しい現実を生き延びていた。そんなふたりの温かな関係は、同じような暮らしを送る季節労働者たちにもわずかな火を灯していく。しかし、ある出来事をきっかけに夢が揺らぐ――。希望と葛藤が交錯するこの物語は、スタインベック自身が経験した季節労働者の生活をもとに書かれ、1937年に出版された。今回はジョージを玉置祐也が、レニーを清田智彦が演じる。
演劇集団円『二十日鼠と人間』稽古風景
今回演出を手がける松本は、2024年、『コウセイネン』で初めて演劇集団円に作品を書きおろした。犯した罪を償い、刑務所を出所した後に仕事に勤しむ男と、彼を見守る保護司、そして周りの人々を描いたこの物語は大きな反響を呼んだ。この経験は円にとっても「大きな収穫」だったという。俳優一人ひとりとの丁寧な対話の中から「リアルな空気をどう立ち上げるか」を探る松本の演出は円に深く根付いたらしい。それをさらに深めるべく、円と松本との再タッグが実現した。
今作で松本は初の海外戯曲に挑むこととなる。目指すのは、「日常の何気ない出来事を何気なく、シンプルに描く」こと。松本が普段、自作の戯曲で表現し続けてきたことだ。その演出と、円の役者たちの演技とが重なり合ったとき、90年前の物語でありながら現在の我々が反映された、普遍的な人間ドラマが紡がれる。円との共同作業によって生まれる、松本の新境地を楽しみにしたい。
★演出・松本哲也さんからコメント到着!
不朽の名作『二十日鼠と人間』に挑めることがとても嬉しいです。
原作と翻訳の力を信じ、これまで大切にしてきた丁寧な会話劇と労働者の姿を、
孤独と希望の両方を抱えた存在として、まっすぐ立ち上げたいと思っています。
<公演情報>
演劇集団円50周年企画第3弾『二十日鼠と人間』
作:ジョン・スタインベック
翻訳:芹沢みどり
演出:松本哲也(小松台東)
出演:山口眞司 / 石田登星 / 瑞木健太郎 / 吉澤宙彦 / 玉置祐也 / 清田智彦 / 中田翔真 / 荒川大三朗 / 大野亮太 / 柿沼恵梨子
2025年12月6日(土)~14日(日)
会場:東京・シアターX