12月2日(火) 22:00
文部科学省「令和6年度私立高等学校等初年度授業料等の調査結果について」によると、私立高校(全日制)にかかる授業料の全国平均は年間で 45万7331円 という結果が出ています。ただし、これは授業料のみの数字であり、学校によってはこれよりも高い場合もあれば、安めのところもあります。
また、入学する初年度には授業料以外にもまとまった費用がかかります。入学金の全国平均は 16万5,898円、施設整備費などが約15万7,232円 となっており、これらを合計すると入学初年度だけで授業料と併せて およそ78万460円が必要になるというのが平均的な目安です。
つまり、最初の年は「授業料+入学金+施設費」でまとまった支出になり、多くの家庭で負担を感じやすいタイミングになります。
近年、国は「高校授業料支援」を大きく見直しており、私立高校への支援が拡充されます。
これまで私立高校の授業料支援には所得制限があり、世帯年収によって受けられる額が変わっていました。しかしこの制限が撤廃されすべての世帯に授業料支援が拡大される見込みです。これが実現すれば、私立高校進学のハードルが下がることになります。
授業料の支援額を私立高校の平均授業料まで引き上げ、「実質的に授業料負担をゼロに近づける」ことを目標とした案も出ています。ただし、これは“授業料のみ”が対象であり、入学金や施設費、教材費は支援対象外となる可能性が高い点は注意が必要です。
私立高校の授業料負担は軽くなる方向に大きく変わってきているのは確かです。
無償化の拡充で「授業料負担は減る」見通しですが、家庭が負担する実質的な額は学校によって変わります。
たとえば、授業料45万円の学校なら、支援がそのまま適用されれば授業料の持ち出しはゼロになります。しかし、入学金・施設費・制服・教材費などは変わらず必要です。これらを含めると 年間20〜40万円程度は負担が続く と考える必要があります。
また、制度は「授業料の支援」が中心で、「その他費用」の支援が広がる見通しはまだ大きくありません。私立高校を選ぶ際は、授業料だけ見て判断せず、学校説明会や資料で総額を把握したうえで検討するのが安心です。
無償化で選択肢は広がりますが、家庭の収支に合わせて無理のない進路計画を立てることが大切です。
私立高校の授業料は年間45万円ほどが平均ですが、入学金や施設費、教材費などを含めると初年度の負担は大きくなります。一方で、最近の制度変更は私立高校への支援が大幅に広がる方向にあり、授業料の負担が軽減される可能性が高まっています。
ただし、支援の対象は授業料が中心で、その他の費用は残るため、家計への影響を正しく見積もることが重要です。進学を検討する際は、制度の内容と学校ごとの費用をしっかり比較し、無理のない範囲で選ぶことが安心につながります。
文部科学省令和6年度私立高等学校等初年度授業料等の調査結果について1 令和6年度私立高等学校等の初年度生徒等納付金平均額(年額)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
【関連記事】
公立高校の授業料無償化、4月から所得制限を撤廃。私立は2026年から実施される? 無償化になったらどのくらい安くなるのか試算してみよう