息子のために貯めておいた児童手当。成人のタイミングで渡したいのですが、一括で手渡すと贈与税がかかるって本当!?

息子のために貯めておいた児童手当。成人のタイミングで渡したいのですが、一括で手渡すと贈与税がかかるって本当!?

12月2日(火) 22:10

児童手当を子どものためにしっかり貯めてきた人は多いでしょう。いよいよ成人を迎える際、「まとまった形で渡してあげたい」と考えるのは自然なことです。 しかし、一括で渡すと贈与税がかかるという話を耳にすると、せっかく貯めたお金なのに課税されるのかと不安になります。実際のところ、児童手当はどう扱われるのか。成人時の渡し方で税金が変わるのか。この記事では、贈与税の仕組みを踏まえて、解説していきます。

児童手当をまとめて渡すと贈与税がかかる?まず知っておきたい基準

まず、贈与税の基本を押さえておくことが大切です。贈与税は、1年間(1月〜12月)に110万円を超える金額を贈与として受け取った場合に課税される仕組みです。つまり、単純に「110万円を超えるお金を親から受け取れば贈与税がかかる」という考えになります。
 
では、児童手当を18年間貯めてきた場合、その合計をまとめて渡せば110万円を大きく超えるはずです。この一括受け取りが贈与として扱われるのかが、多くの人の不安のポイントでしょう。実は、これには重要な視点があります。
 
児童手当自体は、法律上「親に支給されるが、子どものために使うお金」という位置付けです。したがって、「親の資産」なのか「子どもの資産」なのかは、その管理方法によって大きく変わります。
 
もし親が児童手当を自分の生活費とは完全に分けて管理していた場合は、実質的に「子どものお金を親が預かっていただけ」と判断されるケースがあります。こうなると、成人時に渡すタイミングは返還行為に近く、贈与とはみなされない可能性があります。
 

児童手当をどう管理してきたかがポイント

税法上では、名義よりも“実質”が重視されます。つまり、児童手当をどう管理してきたかがポイントになります。
 
たとえば、

・子ども名義の口座に毎回児童手当を移して管理していた
・親の口座でも、明確に児童手当の振込額だけ別で残していた
・学費や習い事など、子どものためだけに使ってきた

 
こうした管理をしていた場合、児童手当は子どもの資産として扱われやすくなります。
 
この場合、成人した時にそのお金を渡すことは、「預かっていたお金を返す」という行為になり、一般的に贈与には該当しません。
 
逆に、

・親の財布と完全にごちゃ混ぜ
・家計費で使ったり、親の貯金と混合していた
・子どものための貯蓄として区分されていなかった

 
このような場合は、児童手当が「親の資産」とみなされる可能性があります。すると、成人時にまとまった額を渡すことは贈与と判断される可能性があります。このように、児童手当は「元々子どものお金だった」と証明できるかどうかが分岐点になるのです。
 

成人のタイミングで渡すときに気をつけたいポイント

成人したタイミングで渡すときは、次の点を意識すると安心です。まず、これまでの児童手当の管理状況を整理しましょう。もし子ども名義の口座に移していたなら、その通帳が子どものお金だった証拠にもなります。通帳が複数ある場合は、振込履歴をまとめておくとより分かりやすくなります。
 
一方、「親の口座で管理していたが、児童手当は使わず残していた」というケースもあるでしょう。この場合でも、児童手当分の残高が明確に分かるなら、子どものための管理だったと説明しやすくなります。
 
また、もし「どうしても贈与になるのでは……」と不安な場合は、渡すタイミングを分散し、一年あたりの額を110万円以内に調整する方法もあります。贈与税は1年間単位で判定されるため、2年・3年に分けて渡せば、課税されるリスクを抑えられます。
 
ただし、児童手当を適切に管理していた場合は、そもそも贈与ではなく“返還扱い”になる可能性があるので、慌てて分散させる必要がないケースもあります。
 

まとめ

児童手当を成人のタイミングで渡したいと思うのは自然なことで、実際にそれが贈与税の対象になるかどうかは「どう管理してきたか」がポイントです。子どものために分けて保管していたなら、児童手当は子どものお金とみなされる可能性が高く、その場合は贈与税がかからないこともあります。
 
一方、家計と混ざっていた場合には贈与と判断される可能性があるため、渡す額やタイミングの工夫が必要です。いずれにしても、管理状況を整理し、正しい知識を持って対応すれば、せっかく貯めた児童手当を安心して子どもに渡すことができます。
 
児童手当は、子どもの成長を支える大切なお金です。大人になった節目にどのように渡すのがベストか、今回のポイントを参考に、家族にとって納得のいく形を選んでみてください。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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