「すみません、彼がご迷惑をおかけして……」
帰り際、女性客がそっと謝罪してくる。都内の外資系高級ホテルで6年間ソムリエとして働いた筆者は、こうした光景を何度も目にしてきた。著名人を含む多くの富裕層を接客する中で気づいたのは、年収や肩書きは申し分ないのに、なぜか女性からの評価が低い「残念な男性」が一定数いるという事実だ。
彼らに共通するのは「振る舞い」の問題である。高級ホテルのスタッフは、客の何気ない仕草や言動を細かく観察している。そして残念ながら、富裕層や有名人であっても「この人は残念だな」と感じる瞬間は少なくない。
今回、京都の高級ホテルで現役マネージャーとして働く女性にも取材協力を得た。彼女が見てきた「残念な男性客」の共通点を、リアルなエピソードとともに紹介する。
女性の前で赤っ恥!「ワイン知ったかぶり男」の末路
「俺、ワイン詳しいんだ」
レストランでワインリストを手にとり、自信満々にそう言う男性は少なくない。しかし、スタッフから見ると「あれ?」と首を傾げるケースが意外と多い。
筆者が遭遇したのは、このような場面だった。女性を連れた40代くらいの男性客が、ワインリストを見ながら得意げに語り始めた。
「このシャブリはね、ボルドー地方の……」
産地が完全に間違っている。シャブリはブルゴーニュ地方だ。様子を伺っていると、同席していた女性のほうが明らかにワインに詳しい様子だった。彼女は小さく苦笑いを浮かべ、「あの、シャブリってブルゴーニュじゃなかったかしら?」と控えめに指摘した。
男性は一瞬、言葉に詰まった。その後も知識をひけらかそうとするが、細かい部分で間違いが目立つ。最終的に筆者がおすすめのワインを提案すると、「じゃあそれで」とバツが悪そうに注文した。
デート中、女性の前で恥をかくほど辛いものはない。知ったかぶりは自分を大きく見せようとする行為だが、実際には逆効果だ。むしろ「ワイン好きだけど、詳しくないんだ。スッキリした味わいのものが好きなんだけど、おすすめある?」と素直に聞ける男性のほうが、圧倒的にスマートに見える。
ホテルスタッフが見ている“本性”
高級ホテルで働くスタッフたちは、客の「二面性」を敏感に察知する。特に気になるのが、同伴者には紳士的なのに、スタッフに対してだけ態度が変わる男性だ。
京都の高級ホテルの現役女性マネージャーは、こう証言する。
「お連れの女性には優しく接しているのに、私たちスタッフには横柄な態度をとる方がいます。中には、明らかにセクハラととれる発言をする方も。『今日は綺麗だね』『夜、部屋に来ない?』といった言葉を軽い調子で投げかけてくるんです」
こうした発言は、本人には冗談のつもりかもしれない。しかし、スタッフにとっては不快以外の何物でもない。富裕層だから、あるいは常連客だからといって、許されるわけではない。むしろ、ホテル側は従業員を守るため、悪質な場合は出入り禁止の措置をとることもある。
女性客が帰り際に「ごめんなさい」と謝ってくるケースは、決して珍しくない。スタッフへの態度は、将来的にパートナーに対してどう接するかを映す鏡だ。女性たちはそれを本能的に理解している。
年収数千万でも“貧乏性”に見える瞬間
年収数千万円クラスの富裕層であっても、「この人、ケチだな」と感じる瞬間がある。それは、ホテルの会員特典に異様に執着する姿を見たときだ。
上級会員制度があるホテルの場合では、ステータスに応じてさまざまな特典が用意されている。割引やポイント制度、ドリンクサービスなどがあるのだが、セコすぎる使い方をする客が一定数いる。
現役女性マネージャーが目撃したのは、このような行動だった。
「会員特典のシャンパン目当てで、1日に何度もラウンジに来る方がいるんです。朝来て、昼来て、夕方また来て。注文は最低限のコーヒー1杯だけで、とにかく特典のシャンパンを飲むのが目的。友人と一緒に来て、わざとテーブルを分けて座り、特典を2倍もらおうとする方もいました」
特典を利用すること自体は問題ない。しかし、必死に「元をとろう」とする行為は、スタッフから見ると「貧乏性」に映ってしまう。富裕層であるはずなのに、数千円のシャンパンにここまで執着するのか……?
そのギャップが、品のなさを際立たせる。
本当に余裕のある男性は、特典があってもなくても自然に振る舞う。ポイントやサービスに過度に執着する姿は、女性から見ても「かっこ悪い」と感じられてしまうのだ。
スタッフへのタメ口は、同伴女性が幻滅する瞬間
レストランで、スタッフに対してタメ口で話す男性客は少なくない。同伴している女性には丁寧語なのに、スタッフには平気でタメ口――こうした態度は、女性から見て最も幻滅するポイントの一つだ。
筆者が接客したあるビジネスマンは、終始スタッフを呼び捨てにし、「おい」「ちょっと」と命令口調で話していた。同席していた女性は、明らかに居心地が悪そうな様子。食事が終わり、会計を済ませた後、彼女は筆者のところに駆け寄ってきてこう言った。
「本当にすみませんでした。不快な思いをさせてしまって……」
彼女の表情には、申し訳なさと同時に「この人とはもう来たくない」という気持ちが滲んでいた。
現役女性マネージャーも同様の経験をしている。
「お客様の中には、私たちを『サービスする側』だからと、下に見る方がいます。でも、お連れの女性はそういう態度をしっかり見ています。帰り際に『ごめんなさいね』と謝ってくださる女性は本当に多いんです」
スタッフへの態度は、その人の人間性を如実に表す。敬語で話す、「ありがとうございます」と感謝を伝える、たったそれだけで、印象は180度変わる。
有名人でも容赦なし!“要注意客リスト”の実態
高級ホテルには、実は「要注意客リスト」が存在する。これは、過去にトラブルを起こした客や、スタッフへの態度が悪い客を記録したもので、場合によっては出入り禁止の措置がとられる場合もある。
驚くべきことに、このリストには有名人の名前も含まれている。
「某有名俳優が、スタッフに対して非常に横柄な態度をとり続け、最終的に出禁になったケースがあります。どれだけ社会的地位があっても、人としての振る舞いに問題があれば、ホテル側は毅然とした対応をとるんです」
有名人だからといって、何をしても許されるわけではない。むしろ、立場がある人ほど、振る舞いには細心の注意が必要だ。ホテルのスタッフは客にサービスを提供するが、奴隷ではない。「一人の人間」として尊重してほしいと願っている。
年収や知名度がどれだけ高くても、人としての品格がなければ意味がない。高級ホテルという場所では、誰もが等しく試されるのだ。
高級ホテルで働くスタッフたちが見てきた「残念な男性」の共通点。それは、相手を尊重する気持ちの欠如だ。知ったかぶりやセクハラ発言、タメ口、特典への執着――これらはすべて、「自分さえ良ければいい」という姿勢の表れなのである。
<取材・文/オオサキサオリ>
【オオサキサオリ】
ライター、JSA認定ソムリエ。前職では都内の外資系ホテルでソムリエとして勤務。レストランにて著名人・芸能人・富裕層などを接客した経験を持つ。現在はホテル、飲食ジャンルを中心に執筆活動を展開中。X(旧Twitter):@writer_sosk
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