12月3日(水) 4:40
観光地周辺のコンビニでは、来店客よりも観光客の長時間駐車が問題になるケースが増えています。基本的に、店舗の駐車場は買い物を前提とした短時間利用のためのスペースです。
長時間駐車は、来店客の駐車妨害や回転率の低下を招き、売上や管理負担に影響を与える可能性があります。そのため、「無断駐車禁止」や「買い物以外禁止」といった警告が設置されるのです。
ここでは、提示された金額をそのまま支払う義務があるのかを法律の原則に基づいて説明します。
民法上、店舗側が相手方に請求できるのは「実際に発生した損害」に限られます。民法第416条(損害賠償の範囲)では、損害賠償は「通常生ずべき損害」や「特別の事情によって生じた損害」に限定されており、一方的に“罰金”を設定して請求することはできません。
コインパーキングの料金相場を基準に、損害額を考えることができます。例えば、観光地周辺で「1時間300円」の駐車場があった場合、2時間の駐車で600円が理論的な損害額となります。
これはあくまで一例ですが、「3万円」という請求額が実損と比べて極端に高い場合、過大請求と判断される可能性が高いです。
駐車前に商品を買ったとしても、それで「長時間駐車の権利」を得るわけではありません。ここでは、買い物をした場合の扱いを整理します。
コンビニの駐車場は、「買い物中の短時間利用」を前提に提供されています。買い物をしていても、その後に観光地へ移動して数時間駐車する行為は、通常の利用範囲を逸脱した“無断駐車”とみなされる可能性があります。
駐車場の利用において、「買い物客以外駐車禁止」「1時間以上の駐車は禁止」などの看板が明確に掲示されていることがあります。これは“利用条件の提示”であり、駐車した時点でその契約に同意したとみなされると考えられます。
とはいえ、店舗側が請求できるのは「合理的な範囲の損害」だけです。したがって、実損を大きく上回る罰金が妥当と認められる可能性は低いといえるでしょう。
貼り紙の請求額が法的に妥当かどうかは、管理会社の運用ルールによって異なります。まずは冷静に連絡し、以下のポイントを確認しましょう。
・損害額の法的な計算根拠
・看板の掲示状況
・防犯カメラの記録
民法の原則に照らすと、合理的な損害額に限って支払い義務が発生します。したがって、「3万円」など過度に高額な金額が提示されている場合、法的な計算根拠を求め、納得がいく説明がなければ応じる義務はありません。
観光地周辺のコンビニは、短時間の買い物客を前提に駐車スペースが確保されています。そのため、観光目的で長時間駐車する行為は、店舗やほかの来店客に迷惑をかける“マナー違反”です。特に繁忙期は、駐車場が埋まることで売上に影響が出ることもあり、店舗側が無断駐車に敏感になる理由となります。
観光地では周辺に有料駐車場があるケースが多いため、長時間駐車の予定がある場合は、専用駐車場を利用することがトラブル防止につながります。
観光地のコンビニ駐車場に長時間停めてしまい、「罰金3万円」と書かれた貼り紙を見つけても、民法上、一方的に設定された罰金をそのまま支払う義務はありません。店舗側が請求できるのは「実際に発生した損害」の範囲に限られ、過度に高額な請求には法的根拠がない場合が多いです。
とはいえ、長時間駐車は店舗に実害を与える行為であり、合理的な損害額については支払いが求められる可能性があります。観光時は、あらかじめ専用の駐車場を利用し、トラブルを未然に防ぐことが大切です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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