■これまでのあらすじ
母の呪縛から離れ、彼と渡米した凜。その頃、孤独を抱える母のもとを伯母が訪れ、「なぜ娘に無関心なのか」と問いかける。伯母は自らの経験を語り、親の言葉が人生を縛ることがあると告げた。伯母の帰宅後、母は久しぶりに凜の写真を開き、無邪気な笑顔さえ忘れていた自分に愕然とする。凜が留学を諦めていたこと、海外を夢見ていたことさえ思い出せなかった事実に気づき、「母親なのに」と深い後悔に沈む。娘に見放された虚無に襲われる中、散らばる写真が母の心を静かに揺らす。忘れていた思い出に触れた母は、「もう一度思い出そう」とアルバムを買いに動き出し、長年の劣等感と決別して前に進む決意を固めるのだった。
■アメリカで広がる凜の新しい世界
■なんて素敵…毎日世界が輝いて見える!
アメリカでの生活が始まってから、もう半年。大学の勉強にボランティアにと、凜の毎日はまさに新鮮さと充実の連続でした。
見るもの、出会うものすべてが輝いて見え、世界がこんなにも広く、美しいものだったのかと胸が躍ります。
母の愛に飢えていたあの頃とは、もう比べものにならないほど満たされた日々。
もし彼が背中を押してくれなかったら、この景色には決して辿り着けなかったかもしれない――そう思うと、嬉しさは自然とあふれ、浮き立つ気持ちを抑えることができませんでした。
(福々ちえ)
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