【写真】衝撃のラスト寸前…ポリー(マイカ・モンロー)の“狂気の正体”が明らかになった緊迫のシーン
20世紀スタジオによる心理スリラー「ゆりかごを揺らす手」が、11月より配信中だ。このタイトルを見て、「おぉ!」と思う人も多いのではないだろうか。本作は、のちに「激流」や「L.A.コンフィデンシャル」「ワンダー・ボーイズ」などを手掛けるカーティス・ハンソン監督がメガホンをとった、1992年公開のサイコスリラー映画のリメーク版。当時、世界中に恐怖を与え、大ヒットを記録。今でも名作として人気の高い作品である。今回配信されたのは、20世紀スタジオが再解釈し、ミシェル・ガルサ・セルベラ監督が現代的な要素も盛り込んだもので、オリジナルとはまた違った恐怖と魅力が感じられる作品となっている。(以下、ネタバレを含みます)
■1992年にヒットした「ゆりかごを揺らす手」の2025年版
1992年に公開された「ゆりかごを揺らす手」は、母親になる機会を奪われた女性がベビーシッターとして家族に入り込み、復讐(ふくしゅう)劇を繰り広げる衝撃的な展開が話題を呼び、家庭という身近なテーマだけに、観客に強い現実味のある恐怖を与えた。そんな衝撃作が、このほど現代的なひねりを加え、20世紀スタジオによって新たに制作された。
主人公ケイトリン・モラレス役は、「ファイナル・デッドコースター」や「デス・プルーフ in グラインドハウス」など多くのホラー映画に出演し“絶叫クイーン”として知られるメアリー・エリザベス・ウィンステッド、復讐心を燃やすベビーシッターのポリー役は、ティモシー・シャラメ主演の「HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ」やダン・スティーヴンスと共演した「ザ・ゲスト」に出演した“ホラー界のミューズ”マイカ・モンローが演じる。その他にも、ラウル・カスティロ、マーティン・スター、ミレイア・ベガ、リキ・リンドホーム、シャノン・コクランが出演する。
オリジナル版は公開された当時にリアルタイムで見て、大きな衝撃を受けたのを覚えている。2人目の子を妊娠したクレア・バーテル(アナベラ・シオラ)が病院で産婦人科医のモット(ジョン・デ・ランシー)の診察を受けるが、そのときにわいせつ行為をされてしまう。
帰宅後、夫のマイケル(マット・マッコイ)にそのことを話し、告訴することに。事はクレアだけで収まらず、被害を受けたという女性が他にも多く現れ、大きな事件へと発展。結果、追い詰められたモットは自ら命を絶った。実はモットには妻がいて、彼女も妊娠中だった。しかし、夫が訴えられ、命を絶ったショックで流産し、子どもが産めない体になってしまった。
しかも財産なども全て没収されてしまい、その恨みと復讐心はマイケル、クレア夫妻に向けられることに。ペイトンという名で、ベビーシッターとして入り込み、罠を仕掛けてジワジワとバーテル家を崩壊へと導いていく。狂気に満ちたペイトンと、それに立ち向かうクレアの攻防にハラハラさせられ、手に汗握る感覚があった。
■夫・子どもを懐柔…うまくモラレス家に入り込むポリー
2025年版「ゆりかごを揺らす手」の舞台は、アメリカ・ロサンゼルス郊外の高級住宅地にあるモラレス家。そこにポリーがベビーシッターとしてやってくる。そのきっかけとなったのは、ポリーが住宅関連の相談所を訪れたことだった。ベビーシッターをしていた家族が引っ越してしまって職を失い、大家から家賃の値上げを宣告され、窮地に陥っているという。
そんなポリーの相談を担当し、話を聞いていたのが不動産関係の問題に強い弁護士のケイトリンだった。そのとき、ケイトリンは妊娠中で、ポリーの相談を受けた後、2人目の子を出産する。ある日、ケイトリンが夫と子どもたちとマーケットに買い物に行くと、ポリーにバッタリ遭遇。子どもたちの世話に手を焼いている様子を見て、ポリーは「必要なら午後だけでも子守をするわよ」とケイトリンに持ち掛ける。相談に来たときにベビーシッターの経験があると話しており、以前子守を任せていたという推薦人の話も聞いた上でポリーにお願いすることにした。
フランクに自然体で付き合えるような雰囲気のポリーは、ケイトリンともすぐに気が合い、ケイトリンがポリーに服をあげたりする場面も。夫はちょっと下心が見え隠れするが、彼女をベビーシッターとして歓迎し、時折反抗的な態度を見せる難しい年齢の長女もすぐに受け入れた。ケイトリンに内緒で甘いお菓子をあげたりして懐柔させた感じではあるが…。
そんなふうにモラレス家に受け入れてもらったポリーだったが、値上げされた家賃が払えないという理由でロサンゼルスを離れる予定だと告げる。一度は別れるが、やはりベビーシッターとしてポリーが必要だと感じ、離れの部屋をポリーに使わせて住み込みで働いてもらうことにした。これでポリーも家賃の心配がなくなる。しかし、これがポリーのモラレス家侵食の始まりだった。
■ポリーの態度に徐々に違和感を覚えるケイトリン
ポリーは、ケイトリンが出掛けるとまだ言葉を話せない赤ん坊の世話も疎かにして、泣いても放ったらかし。母乳を飲ませるようにお願いされていたが、育児用ミルクを勝手に飲ませるなど、やんわりとケイトリンの指示を無視し始める。長女と話をする時間も長く、自分の話をしながら徐々に洗脳していく。ポリーは女性と付き合っているということを最初の頃にケイトリンに伝えていたが、そのパートナーを家に呼び、自分の家のようにくつろいでいる。
この頃からケイトリンは“違和感”を抱き始めていた。「何かがおかしい」と。夫は人がいいのか鈍感なのか、はたまた色っぽいポリーに下心があるのか、そんな気配は感じていないようだ。
長女はすっかりポリーに懐いて、前髪を切るのもポリーにしてもらっている。ポリーから、ケイトリンには秘密があって、他の人のフリをしていると教えられる。さらに、いろんな恋愛の形があると教えられ、将来、同性婚をしたいとケイトリンに打ち明けた。完全にポリーによる洗脳だ。夫は「どんな決断をしても」と多様性と娘の意思を尊重しようとするが、10歳の子にそんな決断ができるわけないと、ケイトリンは拒絶。抱いている“違和感”はますます増幅していった。
事態はどんどん悪化、エスカレートしていく。ポリーが勝手に花火を買い与え、それが部屋の中で暴発し、危うく火事になるところだったが、長女を叱るケイトリンに対し、自分のせいだとかばうことで長女はさらにポリー側に寄っていく。
こういうときこそ夫が味方になってあげるのが一番いいのだが、「心が不安定になってるんだろう」と言って、心配はしてくれるものの“味方”にはなってくれず。しかも「自分が間違ってる可能性も考えてくれ」とケイトリンを追い込む始末。
一度はポリーを追い出すが、誰も味方になってくれないケイトリンは、夫の言葉も追い打ちをかけ、出ていったポリーに謝罪して戻ってきてもらうことにした。ここからは形勢逆転。今までケイトリンの“居場所”だったところにポリーが入り込み、ケイトリンは家族の中で少し浮いた存在になってしまった。
■1992年版との決定的な違い
1992年版と2025年版には大きな違いがある。1992年版は物語の序盤に“復讐”する理由を示している。しかし、2025年版は物語の中盤になってもそれが明かされていない。夫と生まれてくるはずだった赤ん坊、そして全財産を失った恨みからの復讐であれば、その仕返しの目的も見えたりして、共感できる部分も少しは感じられたりするが、その理由が明かされていないと、「何が目的なんだろう?」「どういう状況になれば達成ということになるのか?」というのがさっぱり分からない。それだけに底知れぬ恐怖と不安を見る者にも与え続けることになる。
後半にポリーの正体、目的、復讐・恨みの原因が明らかになる。前半はじわじわ心理的にケイトリンを追い詰めていく感じだったが、明らかになった後は、ストレートにバイオレンスな脅し、凶行も増えていき、新たな“恐さ”が加わっていく。目を覆いたくなるようなグロテスクなシーンも。
ポリーが自然に家族の中に入り込み、ケイトリンは気付くと自分以外の家族が懐柔、洗脳されていて、誰も味方がいなくなっている。自分は正しく、相手が間違っていると主張しても「心が不安定だから」とか“うつ病”のせいだと思われてしまい、何も状況が変わらない。さらに、自分が間違っているのではないかと疑い始め、ますます状況は悪化。まさに泥沼にハマっていくのを見せられているシーンが続く。
家族みんながポリー側になっていき、ケイトリンは孤立してしまう。ポリーが長女に話した「他の人のフリをしている」という言葉を含め、オープニングの火事の映像の謎などが終盤にどんどん明かされていく。
リメーク作品ではあるが、旧版のストーリーをなぞっているわけではなく、新たな作品として楽しむことができる。オリジナル版を見たことがある人は、その“怖さ”の違いを味わうのも、今作を見る楽しみ方の一つだと言える。
「ゆりかごを揺らす手」はディズニープラスのスターにて独占配信中
◆文=田中隆信
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