今年から“年間100万円”の「生前贈与」を開始しました。“年間110万円以下”ですし、「贈与税」はかからないですよね?

今年から“年間100万円”の「生前贈与」を開始しました。“年間110万円以下”ですし、「贈与税」はかからないですよね?

12月1日(月) 4:30

相続税対策として家族への生前贈与を検討している方もいるでしょう。しかし、贈与したから安心とは限りません。贈与税の仕組みやリスクを理解せずに贈与を進めると、思わぬ課税負担が生じる可能性があります。本記事では、贈与税がかかるケースとかからないケース、贈与税を抑えるためのポイントなどを解説します。

“年間110万円以下”の「生前贈与」は贈与税がかからないのが原則

国税庁によると、贈与税の課税方法には、暦年課税と相続時精算課税の2つがあります。暦年課税とは、1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額に対して課税される制度です。年間110万円以下であれば、非課税で生前贈与が可能です。
 
また、相続時精算課税は令和5年度税制改正により年間110万円の基礎控除が創設されたため、こちらも年間110万円以下であれば贈与税はかかりません。なお、相続時精算課税とは、贈与時には一定額まで非課税とし、贈与者が亡くなった際にその贈与財産を相続財産に加算して相続税に加算する制度です。
 

“年間110万円以下”の「生前贈与」でも贈与税がかかる3つのケース

基礎控除額以内でも、以下のケースに当てはまる場合は、贈与税がかかる恐れがあります。
 
1.複数人から贈与を受けた
贈与税の基礎控除は、受贈者が1年間に受け取った財産の合計額に対して適用されます。贈与者の人数にかかわらず基礎控除額は110万円のため、各贈与者が基礎控除額以下に抑えていても基礎控除額を超える恐れがあります。
 
2.定期贈与と見なされた
定期贈与とは、一定期間に決まった金額を贈与することです。例えば、10年間にわたって毎年100万円を贈与することを契約していた場合、その契約が成立した時点でまとまった金額が贈与されたと見なされます。この場合は1000万円の贈与となるため、贈与税がかかります。
 
3.生前贈与の加算対象期間に該当した
贈与者が亡くなる直前に贈与された財産は、贈与税はかかりませんが、相続開始前の一定期間内の贈与は、相続財産に加算され、結果として相続税の課税対象になる場合があります。なお、加算対象期間は令和5年税制改正により相続開始前3年から7年に段階的に延長されています。
 

贈与税を抑える「生前贈与」の4つのポイント

贈与税を抑えるポイントとして、以下の4つが挙げられます。
 

1.贈与契約書を作成する

贈与契約を裏付けるための贈与契約書を作成することで、定期贈与や名義預金と見なされるリスクを抑えられます。
 

2.名義預金にならないようにする

名義預金とは、口座名義人と実質的な所有者が異なる預貯金です。名義預金とみなされないようにするためには、贈与の事実と名義人による口座の管理・使用を明確にすることです。
 

3.相続時精算課税を検討する

相続時精算課税制度を利用すれば、基礎控除額以内の贈与は生前贈与加算の対象になりません。一度選択すると暦年課税に戻れなくなりますが、うまく活用することで相続税を抑えられる可能性があります。
 

4.非課税制度を利用する

一定の要件を満たすことで、贈与税が非課税になる可能性もあります。具体的には、「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」などです。
 

まとめ

年間110万円以下の贈与であれば、贈与税はかかりません。しかし、定期贈与と見なされると贈与税が課税される恐れがあります。また、生前贈与の加算対象期間に該当する場合は、相続税の計算上、相続財産に加算される点にも注意が必要です。
 
生前贈与の際は、贈与契約書の作成や非課税制度の利用などがポイントです。非課税制度はそれぞれ要件が異なるため、気になる人は国税庁のホームページを確認しましょう。
 

出典

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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