【写真】同じ役者としてスティーヴ・マックィーンの心境を考察した田中要次
映画好きで知られる加藤浩次と映画ライター・よしひろまさみちが毎回おすすめ作品を語り尽くす「加藤浩次とよしひろのサタデーシネマ」(毎週土曜朝8:00-11:00、BS10)。11月29日の放送ではゲストに俳優・田中要次を迎え、1980年公開の西部劇映画「トム・ホーン」が紹介される。
■説明しない余白が語り合いを生む…田中要次が語る「トム・ホーン」の魅力
本作品は賞金稼ぎとして名を馳せながら悲劇的な最期を遂げた実在の男を描いており、主演のスティーヴ・マックィーンが製作総指揮も務めたタイトルだ。
番組冒頭、田中はこの作品について「男の孤独感がたまらない。説明しきっていないからこそ、語り合える映画だなと思う」と熱量を込めて語る。加藤も「余白がめっちゃありますよね」と共感し、静かなトーンで進む本作の独特な魅力をかみしめていた。
よしひろは制作背景にも言及し、「実はこの頃のスティーヴ・マックィーンは低迷期。タワーリング・インフェルノで“ガーン”と行きましたけど、その後どんどん右肩下がりだったんです」と解説。本作がキャリアの中でも異質な位置付けにあることがうかがえる。
番組後半では、作品の核心であるトム・ホーンという人物像がテーマに。田中は「彼にとっては、人生を投げていたのかなって思いますね。好きな人とも成就しないじゃないですか。それが一番の痛手だったのかな」と語り、孤独な男の人生を切なく見つめた。
加藤は色々な捉え方ができると思うとしたうえで、「僕も田中さんに近い。人を殺めてきたという呵責みたいなのもあって、冤罪でもこういう終わり方もあるよな、っていうことを全部受け止めてる」とトム・ホーンなりの美学に想いを馳せる。
ちなみに本作品の撮影中にマックィーンは肺がんが発覚し、公開翌年に死去したためこれが遺作となった。田中は「撮ってる途中から、役者としての気持ちの持ち方も変わったと思うんですよ。この状況じゃないとやれない演技だったのかもしれない」と推察。よしひろも「“これ、芝居じゃなくない?”ってところもありましたよね」と同調した。
マックィーンが製作会社の監督案を拒否して自ら製作総指揮として現場を仕切った経緯についても触れ、「トム・ホーンの人生に自分を重ねていたのではないか」と語られる背景を紹介。死が迫る男と役柄が重なる点について田中は「それを知ったうえでもう一回観たら、もっと切ないかもしれないですね」としみじみとこぼす。
最後に加藤は、トム・ホーンについて「かっこよさの1つの価値観。今の世の中のかっこよさと、ちょっと違う男のかっこよさ。この、スティーヴ・マックィーンのかっこよさが現代でも残っていてほしい」とまとめる。
なお番組終盤、加藤が「田中さんは今後、監督をやっていきたいというのはあるんですか?」と問うと、田中は「あるよ」と“あの名台詞”で即答。田中は「まだ短編しか撮ったことがないので、死ぬまでには長編を撮ってみたい」と意欲を見せるのだった。
■「トム・ホーン」ストーリー
早撃ちガンマンとして名を轟かせたトム・ホーンは、ワイオミング州ハガービルで3人の荒くれ者に襲われるが、大牧場主のコーブルに救われる。これをきっかけに、コーブルは他の大牧場主たちと共同でトムを雇うことにするが、周囲の人々には冷酷な殺し屋としてしか見られない。しかし、女性教師キンメルだけは彼に惚れ込み温かく見守っていた。そんなある日、トムの前に保安官のジョーが現れるが…。
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