『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。今回はピーター・ベイカーが、2005年マセラティ4200GTで1600キロを走り抜けた、夏のバカンスの思い出をレポートする。
【画像】グランドツアラーと呼ぶにふさわしい!マセラティ4200GTでフランスを巡る(写真3点)
夏も終わりに近づいた頃、ようやく実現したとても短いドライブホリデー。2005年マセラティ・カンビオコルサに乗り込み、7日間をかけてフランスのロワール渓谷地方を巡った(このロワール地方が国内有数のワイン産地であることは、もちろん、まったくの偶然ということにしておこう)。
滞在中はほとんど雨だった。それでもアンボワーズのホテルを拠点に、4つのシャトー、2つのブドウ畑、さらに1つの自動車博物館までは、いずれも軽くドライブで行ける距離だった。そして予想通り、街中のどの道もが星付きのレストランへと続いている。美食の街だ!
日中にフェリーで、ポーツマスからル・アーヴルへ渡航した。初日の夜は、そこからわずか40kmのマノワール・レ・スー・ボワで過ごした。オーナーのポールとアペリティフを数杯楽しんだ後、オーナー自ら夕食を用意してくれた。翌朝、開け放した寝室の窓のすぐそばで、牛や羊、ニワトリが、田園ならではのウェイクアップコールをしてくれた。ちょうど、遅めの朝食にぴったりのタイミングだった。
予定より少し遅れつつも、雄大なポン・ド・ノルマンディ橋でセーヌ川を渡り、最後にはA28高速道路に入った。ほとんどガラガラだ。矢のようにまっすぐ伸びる道路を走り抜け、あの有名なル・マン サーキットを140kmほど過ぎたあたりで、川沿いへ向けて左折した。すると、思わず「おい、ちょっと見ろよ!」と声が漏れるという瞬間が訪れた。15世紀に建築されたという、壮大なアンボワーズ城が堂々と姿を現したのだ。
旅は3日目となった。マセラティに(またもや)給油した後、50キロにわたる風光明媚な裏道を進み、ヴァランセへ向かった。ここには、自動車博物館がある。地元のギニャール家が所有する、小規模ながら完璧な60台のコレクションが収蔵されている。この家系の自動車との関わりは、なんと馬車の時代まで遡る。当然ながらフランス車が中心だ。美しいブガッティ・タイプ57 ステルヴィオが、堂々と鎮座していた。
当時のモールスハイムがどの国の領土だったのか、よく知らなかったので調べてみた。すると、1919年にヴェルサイユ条約に基づき、ドイツがこの地をフランスへ譲渡したことが分かった。疑問が解けたところで傘を手に、もうひとつのシャトーへ赴く時間となった。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、レオナルド・ダ・ヴィンチについて語る暇もなかった。彼はアンボワーズの半分を所有し、埋葬もされているらしい。その後カーンへ向かい、旅の最後の日は、近くのベヌヴィルで過ごした。ここはDデイ(ノルマンディー上陸作戦)で有名なペガサス橋がある場所だ。町の教会には、1944年6月6日に起きた戦いの痕跡が今も刻まれている。
旅の締めくくりとして、最高のものを最後に取っておいた。角を曲がったところにあるレストラン・ラ・グリシーヌに予約を入れておいたのだ。月曜日でさえも満席になるという、この素晴らしい店を選んだのは正解だった。我々は、このマセラティで1600キロをトラブルなく走り抜けた。まさにグランドツアラーと呼ぶにふさわしい車で、すべての瞬間を心から楽しむことができたのだった。
文:Peter Baker
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