建築費高騰でも「今が建て時」意識は7割弱へ上昇!首都圏でも平屋建てが増加傾向に

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建築費高騰でも「今が建て時」意識は7割弱へ上昇!首都圏でも平屋建てが増加傾向に

11月26日(水) 7:00

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リクルートの『SUUMOリサーチセンター』が注文住宅の「建築者」(過去1年以内に注文住宅を建築した人)と「検討者」(今後2年以内に注文住宅の建築を検討している人)に調査を実施した。調査結果の中で、「平屋」や「ZEHなどの省エネ住宅」に関する結果に注目して見ていこう。

【今週の住活トピック】
「2025年注文住宅動向・トレンド調査」を発表/リクルート

68.8%は「今が建て時」と思っている

リクルートが2025年7~8月に実施した調査結果によると、注文住宅を建築した人(新築・建て替え含む)の建築費用の全国平均は3488万円で前年より微増、土地代の全国平均は1948万円で前年より減少した。ただし首都圏では、建築費用の平均が3960万円、土地代の平均が3969万円となり、いずれも増加傾向が続いている。

建築費用の上昇に歯止めがかからないなか、「建て時かどうか」を尋ねたところ、68.8%が「建て時(かなり建て時+まあ建て時)」と回答した。

建て時意識(検討者/全国)(出典:リクルート「2025年注文住宅動向・トレンド調査」より転載)
建て時意識(検討者/全国)(出典:リクルート「2025年 注文住宅動向・トレンド調査」より転載)

「建て時」と回答した人に、「建て時だと思う理由」を尋ねると、「今後は建築費用が上がると思うから」(34.6%)、「結婚・出産などライフステージの変化があり、タイミングがちょうど良いから」(29.8%)、「今後は金利が上がると思うから」(28.3%)、「今後は土地代が上がると思うから」(25.0%)が上位に挙がった。

建築費用や土地代などが上がって費用が増大することや、金利が上がって住宅ローンが借りづらくなることが、いずれの年代でも高くなった。一方、ライフステージの変化によるタイミングについては、20代・30代が40%を超えるなど、若い層に目立つ理由だった。

平屋建てを選ぶ比率が年々増加。その実態とは?

さて、前回も注目した「平屋建て」についての項目を見ていこう。

「平屋建て」で建てた人が年々増加し、2025年調査では25.3%に達した。これに反して、「2階建て」は69.2%と最多であるものの、年々減少している。

「平屋建て」をエリア別で見ると、「北関東」を除いたエリアで増加傾向にある。「九州・沖縄」が50.8%と最多だが、大きく増加したのは「甲信越・北陸」(28.0%)や「近畿」(16.4%)だった。また、最少は「首都圏」(12.1%)だが、増加傾向にあり、2021年の6.5%からシェアを大きく伸ばしている。

新居の階数で平屋建てを選んだ割合(建築者/エリア別)(出典:リクルート「2025年注文住宅動向・トレンド調査」より転載)
新居の階数で平屋建てを選んだ割合(建築者/エリア別)(出典:リクルート「2025年 注文住宅動向・トレンド調査」より転載)

「平屋建てを選んだ理由」を尋ねると、「老後も暮らしやすいと思ったから」(72.6%)が最多だった。次いで、44.3%の「家事がしやすいから」が続いた。こうした背景もあってか、「平屋建て」を建てた人を年代別で見ると、60代以上が最も多い38.5%、次いで50代の34.6%だった。

「平屋建てを選んだ理由」で「建築費が抑えられるから」は11.5%だったが、建築費用の平均額は、平屋建てが3308万円であるのに対して2階建て以上は3549万円で、開きが見られた。当然ながら延べ床面積(平均)にも違いがあり、平屋建ては36.9坪(121.8平米)、2階建て以上は42.6坪(140.6平米)だった。

平屋建てを選んだ理由(平屋建て建築者/全国)(出典:リクルート「2025年注文住宅動向・トレンド調査」より転載)
平屋建てを選んだ理由(平屋建て建築者/全国)(出典:リクルート「2025年 注文住宅動向・トレンド調査」より転載)

高い省エネ意識。ZEH導入率47.1%、GZ志向型住宅導入率も17.8%

近年は、「ZEH」が普及している。ZEHとは「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略で、家庭で使用するエネルギーの収支を年間で実質ゼロ以下にする住宅のこと。

2025年4月から、新築の住宅で現行の省エネ基準への適合が義務化されたが、この基準が2030年までにはZEH水準※に引き上げることが予定されている。そのため、住宅を新築したり新築住宅を購入したりする人たちの間で、ZEHの認知度も高まっている。
※ZEH水準とは、ZEHと同等水準の性能(「断熱等性能等級5」かつ「一次エネルギー消費量等級6」)を持つ住宅だが、太陽光発電設備を必ずしも必要としていない

今回の調査では、建築者のZEHの認知率は81.4%(「内容まで知っている」37.7%+「名前だけは知っている」43.7%)だった。ZEH認知者に「ZEHの導入検討状況」を聞いたところ、ZEHを実際に導入した比率は47.1%と半数近くに達する高さだった。

導入した比率を年代別で見ると、50代・60代以上では3割に満たないが、20代(44.1%)・30代(54.3%)・40代(48.6%)では高くなっており、若い世代で、ZEHへのニーズが高いといえそうだ。

ZEH認知者における導入検討状況(建築者/全国)(出典:リクルート「2025年注文住宅動向・トレンド調査」より転載)
ZEH認知者における導入検討状況(建築者/全国)(出典:リクルート「2025年 注文住宅動向・トレンド調査」より転載)

調査では、さらに「GX志向型住宅」※の認知や導入の状況も聞いている。
GXとは「グリーントランスフォーメーション(脱炭素社会に向けたエネルギー転換の取り組み)」のことで、GX志向型住宅は、「脱炭素志向型住宅」とも呼ばれる。

「GX志向型住宅」はまだ耳慣れない用語だろうが、2025年度の新築住宅に対する国の補助金である「子育てグリーン住宅支援事業」の補助対象になったことで注目された。ZEH水準を大きく上回る省エネ性能を有し、環境負荷の低減と快適な居住環境の両立を目指す住宅なので、1戸当たりの補助額は、ZEH水準住宅の40万円に対して、GX志向型住宅では160万円に引き上がる。

※GX志向型住宅(脱炭素志向型住宅)とは、「断熱等性能等級6以上」「一次エネルギー消費量の削減率35%(再生可能エネルギーを見込む場合は100%)以上」、「高度エネルギーマネジメント(HEMS)の導入」などの要件を満たす住宅(面積50平米以上240平米以下)

こうした背景もあってのことか、GX志向型住宅の認知率は49.6%と意外に高く、認知者における導入比率は17.8%だった。実際に注文住宅を建築した人だからこその高さだろう。GX志向型住宅の場合は、ZEH導入ほど、年代による差は大きくなかった。年代にかかわらず、補助金の額や効果について納得した人が導入した結果だろう。

GX志向型住宅認知者における導入検討状況(建築者/全国)(出典:リクルート「2025年注文住宅動向・トレンド調査」より転載)
GX志向型住宅認知者における導入検討状況(建築者/全国)(出典:リクルート「2025年 注文住宅動向・トレンド調査」より転載)

政府は、省エネ基準をZEH水準に引き上げた後は、GX志向型住宅に引き上げることを検討しているようだ。今後ますます住宅の省エネ性能が高まることが予想されるので、省エネ性能については関心を持ったほうがよいだろう。

一方で、ワンフロアの平屋建てのニーズも高まっている。居住者の暮らし方が多様化するなか、住宅のあり方も多様化している。それぞれの暮らし方に合わせて、プランや性能が多様化していくのは当然の流れだろう。

●関連サイト
リクルート「2025年 注文住宅動向・トレンド調査」


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