【プレミアリーグ】序盤戦でビッグクラブの明暗くっきりリバプール連覇の確率はわずか7%?

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【プレミアリーグ】序盤戦でビッグクラブの明暗くっきりリバプール連覇の確率はわずか7%?

11月21日(金) 10:00

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プレミアリーグ2025-26序盤の明暗

(1)ビッグクラブ編

今季のリーグ序盤戦3カ月で、最大の驚きとともに好スタートを切ったのが、サンダーランドである。

近ごろのプレミアリーグは昇格組が軒並み苦戦し、昨シーズンはレスター、イプスウィッチ、サウサンプトンが、一昨シーズンもルートン、バーンリー、シェフィールド・ユナイテッドがわずか1年でチャンピオンシップ(実質イングランド2部)に逆戻りしている。

今シーズンもバーンリーは17位、リーズは16位。振り返ればすぐそこに降格ゾーンが迫ってきた。

(※データはすべて11節終了時点)

遠藤航の所属するリバプールはスタートダッシュに失敗したphoto by Getty Images

遠藤航の所属するリバプールはスタートダッシュに失敗したphoto by Getty Images



だが、サンダーランドは4位だ。彼らの上にはアーセナル、マンチェスター・シティ、チェルシーしかいない。ゴール期待値(※)10.45は17位だが、10失点は4位タイ。4回を記録したクリーンシートは6位タイと、守備面の充実が目を引く。

※ゴール期待値=シュートがゴールに結びつく確率を示すデータ分析の指標。分析会社「Opta」がプレミアリーグ公式データとして提供。

11節のアーセナル戦でも、後半のアディショナルタイムで追いついてドローに持ち込んだ。12月3日からリバプール、マンチェスター・C、ニューカッスルと厳しい相手が続くものの、序盤戦のサンダーランドの戦いぶりを思うと、また大きな仕事をやってのけるかもしれない。

昨シーズン9位だったボーンマスも、今シーズン開幕前は苦戦が予想された。ディーン・ハイセン(→レアル・マドリード)、イリア・ザバルニー(→パリ・サンジェルマン)、ミロシュ・ケルケズ(→リバプール)といった主力DFに加え、GKケパ・アリサバラガまでアーセナルに移籍(もともとはチェルシーからローン)したからだ。戦力ダウンは否めなかったのだが......。

「ある程度は想定内」

しかし、アンドニ・イラオラ監督は動じなかった。アントワーヌ・セメニョ、ジャスティン・クライファート、アレックス・スコットといった前線・中盤のレギュラーが残留したため、高い位置からのプレスは今シーズンも持続できている。各選手の相互理解もさらに深まっており、強度はむしろ増した感がある。

ホームで4勝1分無敗はリーグ3位の好成績。1-3で敗れたアウェーのマンチェスター・C戦も決して引かず、攻撃的なスタイルで敢然と立ち向かっていた。2023年7月の就任以降、イラオラの姿勢は変わらない。

【全得点の約61%を占めるハーランド】一方、ビッグクラブに目を向けよう。まずは、開幕6試合で2勝1分3敗とつまずいたマンチェスター・ユナイテッドだ。

早々に監督更迭の噂が浮上する。しかし、ルベン・アモリムは上層部に守られた。現場の実権を握るジム・ラトクリフ卿が「少なくとも3年(今季2年目)は現体制で」と明言。建設的な意見を持たない何人かのOBは、そう言われて沈黙するしかなかった。

落ち着きを取り戻したマンチェスター・Uは7節から3勝2分無敗。序盤3カ月で5勝3分3敗の7位まで持ち直した。アーセナル、リバプール、マンチェスター・C、スパーズ、チェルシー、そして苦手なブライトンとの対戦を消化しているのだから、まずまずの及第点だ。

チェルシーも悪くない序盤戦だった。クラブワールドカップの影響か、コール・パーマーやリーヴァイ・コルウィルなど多くの主力を欠きながら6勝2分3敗で3位、リーグ1位のゴール期待値20.75はさすがというしかない。

しかし、反省点もある。レッドカードはリーグ最多3枚、イエローカード21枚は7位タイ、フェアプレーランキングは最下位だ。些細なことでキレたり、執拗に異議を唱えたり、見苦しい。

また、度重なる危険運転で300時間の社会奉仕活動を命じられたウェズレイ・フォファナには猛省が必要だろう。周囲の命も奪いかねないスピードで飛ばす姿が証拠映像に残っていた。世間からは、より重い刑罰が妥当だという厳しい声も上がっている。

トーマス・フランク新監督が率いるトッテナム・ホットスパーは5位。決して悪くないスタートで、アウェーは4勝1分無敗なのだが、ホームでは1勝2分3敗とイマイチなため、サポーターはお怒りの様子だ。

ただ、序盤戦3カ月の11試合で19得点・10失点は、ともにリーグ4位タイの成績。ポジティブな結果が続けば、いずれ怒りは収まるだろう。

また、マンチェスター・シティも開幕3試合で2敗目を喫し、一時は不穏な空気が流れた。しかし、現在7勝1分3敗は首位アーセナルに4ポイント差の2位だ。悪くはない。

ジョゼップ・グアルディオラ監督が試合終盤でローブロックの4-5-1を用いるなど、勝利への強いこだわりも感じられた。数少ない気がかりは攻撃面の「アーリング・ハーランド依存」か。14ゴールは全得点の約61%を占めている。

【今季のアーセナルは「強守全攻」】一方、昨シーズン5位のニューカッスルは3勝3分5敗の14位。よもやの体たらくだ。チャンピオンリーグとの併用に対応できず、強度が低下した選手も少なくない。

「このクラブに来てから4年が経つが、最も厳しい時期を迎えている」(ブルーノ・ギマランイス)

キャプテンが苦しい胸のうちを明かし、エディ・ハウ監督も「自信を失いかけている選手がいる」と語っていた。芳しくない症状だ。

そして残るビッグクラブで現在のプレミアリーグにおける「2強」の明暗が、残酷なほどにわかれている。

6勝5敗──。昨季王者のリバプールが極度の不振に陥った。

ディオゴ・ジョタが交通事故で亡くなり、ルイス・ディアスをはじめ数人の主力が移籍したとはいえ、昨シーズンの負け数(4敗)を早々に追い越した。特に守備陣がもろく、昨シーズンと比べて失点が激増している。OBのジェイムズ・キャラガーいわく「壊滅的」。

特に問題なのは、両サイドバックだ。ロングボールの対応を苦手にしているジェレミー・フリンポンとケルケズは、多くのクラブのターゲットになっている。フィルジル・ファン・ダイクとイブラヒマ・コナテが空中戦を制しても、セカンドボールの回収で両サイドバックが後れを取るケースが散見した。

データサイト『opta』の優勝確率は序盤戦を如実に反映し、アーセナルは64.86%、マンチェスター・Cは21.98%、リバプールはわずか7.39%しかなかった。

その苦しみあえぐリバプールを尻目に、昨シーズン2位のアーセナルが絶好調だ。11節を終えてマンチェスター・Cに勝ち点4差をつけて首位に立っている。

相手陣内で試合を進め、プレッシャーをかけ続ける。守備面もゴールを目標に、強度の高いプランが設定されている。決して堅守速攻の類(たぐい)ではない。あえて造語するなら「強守全攻」だろうか。

しかも、全ポジションにタイプの異なるタレントを揃えているため、チャンピオンズリーグとの併用でコンディションを落とすリスクも低い。負傷のためにカイ・ハヴァーツが1試合の出場に留まり、マルティン・ウーデゴールとノニ・マドゥエケが5試合を欠場したにもかかわらず、8勝2分1敗は総合力の証だ

アーセナルは隙のない戦い方でシーズン序盤戦を終えた。現時点では誰もが認める優勝候補筆頭である。今シーズンのプレミアリーグは「ガナーズ(アーセナルの愛称)」を軸に中盤戦に突入する。

◆プレミアリーグ序盤の明暗(2)>>「三笘薫のプレーが窮屈に見えた理由」



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