難民としてイギリスに渡った、ろう者のクルド人の少年の成長を追ったドキュメンタリー映画「ぼくの名前はラワン」の本ポスタービジュアル、予告編、10枚の場面写真が一挙披露された。併せてオピニオンのRHYMESTER・宇多丸と写真家の齋藤陽道からコメントが寄せられた。
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【動画】「ぼくの名前はラワン」予告編
本作は、生まれつき耳がきこえない〈ろう者〉の少年ラワンが、手話を自身の言語として習得し成長していく姿を、抒情的な映像と壮大な音楽で描写していくドキュメンタリー。ニューヨーク・ドキュメンタリー映画祭ほか、世界の映画祭で高く評価され、アメリカのレビューサイトRotten Tomatoesでは、批評家スコア100%フレッシュを獲得(2025年11月19日時点)するなど高い評価を得ている。
イラク領クルディスタンで生まれ、十分な教育を受ける環境がなく、言葉を発する術がなかったラワン。そんな彼を案じた両親は、彼が5歳の時に難民としてヨーロッパへ渡ることを決意する。家族は危険な旅と難民キャンプでの過酷な経験を経てイギリスの都市ダービーへ。ラワンはダービー王立ろう学校へ通えることになり、新しい出会いと学びによって自分の意志で手話を覚えていくのだが――。幼い頃のトラウマ、家族とのコミュニケーション不全、難民認定のプレッシャー、そしてイギリス政府からの国外退去命令。やっとの思いでダービーにたどり着いたラワンら家族に様々な困難が立ち塞がる。そんな困難のなかでも、ひとりの少年が明るい未来に向かって歩んでいく姿を追ったドキュメンタリーだ。
本ポスタービジュアルは、澄んだ青い空を背景に満面の笑顔で友人を見つめるラワンの姿を捉えている。監督・脚本を務めたエドワード・ラブレースは、2019年にラワンと対面し、製作過程で自身もイギリス手話を習得。4年もの年月をかけて信頼関係を築き、イギリス手話や監督との友情によって、孤独だったラワンが成長していく姿をカメラに収めている。
本予告は、ふたりの少年が教室でゲームをする場面から始まる。その様子は、見ているこちらも思わず微笑んでしまうほど可愛らしく、楽しそうだ。ゲームをしようと誘っているのが、本作の主人公のラワン。映像には、彼の両親や兄も登場し、ラワンへの思いを語る。そして、生まれて初めて学んだ「手話」という言語をラワンは自ら選択する。最後は「僕にとって〈言葉〉は〈自由〉を意味するんだ」という本作のキャッチコピーで締めくくられており、彼の選択がどんな未来を呼び寄せたのか、気になる映像に仕上がっている。
場面写真は、幼いラワンが手話を習っている真剣な表情を切り取ったものや、友人とゲームをする姿、風船から伝わってくる振動で音楽を楽しもうとしている姿、そして手話を学ぶ彼の両親の姿などを映している。
なお、本作の前売りとムビチケオンラインは11月21日から発売。映画は12月3日に「第20回難民映画祭」(主催:国連UNHCR協会)で特別先行上映された後、2026年1月9日から新宿武蔵野館ほか全国公開。RHYMESTER・宇多丸と写真家の齋藤陽道のコメントは以下のとおり。
■宇多丸(RHYMESTER)
社会の決めつけるマイノリティ的枠組みに押し込められてきた視野が、「自分のことば」の獲得を通じて爆発的に拡がってゆくプロセスを、まるで我がことのように体感させられる……今の日本でこそ多くの方に観て、考えていただきたい、美しい作品です。
■齋藤陽道(写真家)
国境も、音声も、愛も、孤独も、願いも、心も、地球も……すべてが混じりあいながらラワンの手が動く。その手話が滑らかになるにつれ、ラワンの心もまた広がっていくのがわかる。
この映画は、ひとりの少年が沈黙から言葉を紡ぎ出すに至る軌跡を見つめている。その視線が問いかける。言葉とは何か。伝えるとは何か。人と人とが触れ合うとは、どういうことなのか。
ラワン。ラワン。映画を見終えたあとは、彼の名前が胸の中でこだまするだろう。
【作品情報】
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ぼくの名前はラワン
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