牝馬の頂上決戦となるGIエリザベス女王杯(京都・芝2200m)が11月16日に行なわれる。
昨年は3番人気のスタニングローズが勝利し、2着に12番人気のラヴェル、3着に2番人気のホールネスが入って、馬連が1万6020円、3連単が27万8100円という高額配当をつける波乱となった。
他の年も伏兵の台頭が頻繁に見られ、3連単では2021年の300万円超えを筆頭に過去10年で10万円超えの高配当が5回も出ている。とすれば、"荒れる"ことを想定して馬券の検討をしてもよさそうだ。
だが、スポーツ報知の水納愛美記者は「今年のエリザベス女王杯は、やはりレガレイラ(牝4歳)が中心になるでしょう」と言ってこう続ける。
「GI2勝はいずれも牡馬混合戦。特に昨年は、3歳牝馬でGI有馬記念(中山・芝2500m)を制するという偉業を成し遂げました。この秋初戦のGⅡオールカマー(9月21日/中山・芝2200m)でも中団から豪快に伸びて快勝。後続に1馬身4分の1差をつけて、その実力の高さをあらためて見せつけました。
GIホープフルS(中山・芝2000m)を勝った2歳時や、GI皐月賞(6着。中山・芝2000m)、GI日本ダービー(5着。東京・芝2400m)で牡馬としのぎを削った3歳時は後方からの追い込みにかけるレースをしていましたが、昨年のエリザベス女王杯や有馬記念あたりからは中団で運べるようになって、戦法の幅が広がりました。(有馬記念から手綱をとる)戸崎圭太騎手とも手が合っているのでしょう。
そうした状況にあって、今回は牝馬限定戦。GI馬は他にステレンボッシュ(牝4歳)しかいないメンバー構成ですから、一番手という評価は揺るぎません」
そうなると、穴党の出番はないのか?水納記者はそれには首を横に振って、こんな見解を示す。
「一番手評価のレガレイラですが、これまで連勝がありません。また、全4勝の舞台の内訳は、新馬戦の函館以外はすべて中山。成績を残しているコースには偏りがあって、関西圏ではまったく結果が出ていません。昨年もこのレースでは単勝1.9倍という断然の支持を裏切って5着。ここでは力が抜けているのは間違いありませんが、いくつか懸念点を抱えているのは確かです」
エリザベス女王杯の過去10年の結果を振り返ってみても、1番人気は2勝、2着1回、3着2回と今ひとつ。レガレイラにとっては、こうしたデータも不安要素となる。
「いずれにしてもレガレイラを中心に、重賞で2戦連続2着のココナッツブラウン(牝5歳)や、GI秋華賞(10月19日/京都・芝2000m)で上位に入線した、2着エリカエクスプレス(牝3歳)、3着パラディレーヌ(牝3歳)といった面々が女王の座を狙う構図になるのではないでしょうか」
レガレイラの力は認めても、混戦模様と見る水納記者。それゆえ、思わぬ穴馬の大駆けもあると見て、その候補馬の名前も挙げた。
「
セキトバイースト
(牝4歳)です。
エリザベス女王杯での大駆けが見込まれるセキトバイーストphoto by Eiichi Yamane/AFLO
GⅢ府中牝馬S(6月22日/東京・芝1800m)からの連勝を狙った前走のGⅡアイルランドトロフィー(10月12日/東京・芝1800m)では10着と大敗。3番手でリズムよく追走していましたが、直線を迎えると早々に手応えが悪くなってしまいました。
追い切りの動きはシャープでしたが、この反応の鈍さを見ると、(約4カ月の)休み明けの影響があったことは否めません。実際、馬体重は前走比プラス20kg。成長分を考慮しても、重め残りだったことは明らかでしょう。
しかしひと叩きされた今回、この中間には栗東CWコースで速い時計を3本出しています。坂路でも乗り込まれているので、上積みは大いに期待できます。
管理する四位洋文調教師は前走時、『3歳の頃はムキになって走っちゃうところがあったけど、上手に競馬できるようになった』と評価。現にデビューから3歳秋ぐらいまでと比べれば、最近は中距離への対応力が上がっていますし、逃げにこだわる必要もなくなっています。
今なら、京都の芝2200mも十分にこなせるでしょう。前走の結果で人気を落とすようなら、狙ってみたい1頭です」
水納記者にはもう1頭、気になる馬がいるという。上がり馬の
オーロラエックス
(牝4歳)だ。
「GI初挑戦となりますが、舞台適性の高さに注目しました。なにしろ、京都では4戦3勝、3着1回という好成績を残しています。昨秋の2勝クラスでは今回と同じ舞台で勝っています。
3勝クラスで、12着と崩れた御堂筋S(3月30日/阪神・芝2400m)は出遅れ。10着に終わった佐渡S(8月10日/新潟・芝1800m)は重馬場と、敗因は明確です。
それに今では、中団で脚をタメる競馬が板についており、進歩がうかがえます。前走のリステッド競走・カシオペアS(1着。10月25日/京都・芝1800m)でも、3着に粘ったショウナンマグマが向正面から大きく逃げる特殊な展開となりましたが、持ち前のキレ味を発揮してきっちり差し切りました。
レース当日、良馬場が見込めるのも安心材料。実績では劣りますが、舞台適性と近走の充実ぶりからして侮れない存在だと思います」
激戦必至のエリザベス女王杯。人気のレガレイラと同世代の伏兵2頭の大駆けはあるのか。注目のゲートインまで、まもなくである。
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