11月14日(金) 4:30
ふるさと納税は、寄付額から自己負担額の2000円を引いた金額が所得税と住民税から控除される制度です。ただし、2000円を引いた全額が控除される寄付額には年間上限があり、上限を超えた金額に関しては全額控除の対象とはなりません。
金額感を把握するには、上限の考え方と「寄付額―2000円」が全額控除される条件を押さえるのが近道です。総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」には控除額の計算ルールや全額控除されるふるさと納税額の年間上限目安も示されているため、参考にするとよいでしょう。
まず「上限超過」です。全額控除される年間上限を超えた場合、超えた分の寄付は控除されず実費化しますから、複数回に分ける前に合計見込み額を管理しましょう。
次に「ワンストップ特例無効」です。6自治体以上に寄付した場合や申請書を提出していない場合などは、ふるさと納税ワンストップ特例制度が無効になり、確定申告で寄付金控除を計上し直さないと控除が受けられません。
さらに「他控除で枠縮小」にも注意が必要です。医療費控除や住宅ローン控除などで所得や税額が圧縮されると、ふるさと納税の控除可能枠も縮小し、同じ寄付額でも超過が生じやすくなります。
2025年10月から、仲介サイトなどの「ポイント付与」が全面禁止となるなど、募集・返礼品に関する基準が一段と厳格化されます。
返礼品は地場産品などの基準徹底が進み、過度な競争を抑える方向で運用される見込みのため、これまでの「ポイント込みでお得」は縮小します。
一方で、制度の基本は不変で「寄付額―2000円」の控除設計と年間上限の枠管理が引き続きカギですから、改正後も“枠内で日常支出を置換する”発想が家計に有効です。
まず「寄付前」に控除枠を確認し、年間上限の範囲に収まるように寄付額を設計します。次に返礼品は嗜好(しこう)品の追加支出ではなく、米・肉・洗剤・トイレットペーパーなど「定期的に買うもの」へ置換し、実質の家計節約に直結させましょう。
また、寄付名義と決済名義を、控除を受ける本人で統一し、5自治体以内ならワンストップ特例制度、6自治体以上や確定申告が必要な年は申告で寄付金控除を確実に反映します。2025年の制度改正でポイント競争は縮みますが、家計の実益につながる運用は十分可能です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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