英俳優マイケル・ケインが、音声を専門とする生成AI企業ElevenLabsと提携し、自身の声を公式に複製して提供することが明らかになった。米Deadlineが報じた。
ElevenLabsは、存命の俳優だけでなく、ジョン・ウェイン、ジュディ・ガーランド、ローレンス・オリビエら名優や、トーマス・エジソンやアラン・チューリング、J・ロバート・オッペンハイマーといった科学者の声も揃える。これまでAI音声企業は無断学習の疑いで批判を受けてきたが、同社は権利者との正式契約に基づくプラットフォームとして展開する。
同社が立ち上げたサービス「アイコニック・ボイス・マーケットプレイス」に参加する形で、ケインは広告のナレーションにも登場。「長年、私は人々を動かす物語――勇気の湧く物語、機知に富んだ物語、人間の魂を見出す物語――に声を貸してきた。そして今、私は他の誰かが自分の声を見つける手助けをする。ElevenLabsを使えば、声を保存し、分かち合うことができる。私の声だけではなく、あらゆる人々の声で」とケインは語る。
ケインの声は、ElevenLabsの読み上げアプリ「ElevenReader」で書籍や記事のナレーションとして利用できるようになる。また、俳優マシュー・マコノヒーが同社に投資したこともあわせて発表された。
ケインは今回の取り組みについて、「ElevenLabsは人間を置き換えるのではなく、人間性を称える技術だ。声を残し、共有できるようになる」とコメント。出資者のマコノヒーは自身のニュースレターが今回の技術によりスペイン語版を展開できるようになると語り、「より多くの人とつながるための手段になる」と期待を示した。
同社は元GoogleとPalantirの出身者が2022年に創業したスタートアップで、音声編集・合成分野の急成長企業として注目を集めている。
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