ファントム誕生100周年を祝う「BESPOKE EXPRESSIONS」|東京で示されたロールス・ロイスの美学

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ファントム誕生100周年を祝う「BESPOKE EXPRESSIONS」|東京で示されたロールス・ロイスの美学

11月10日(月) 13:00

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ロールス・ロイスは、その名を冠する象徴的な存在「ファントム」の誕生100周年を記念し、東京・麻布台ヒルズアリーナにて特別イベント「BESPOKE EXPRESSIONS - ファントム100周年を祝して」を開催した。会場には、一世紀にわたりラグジュアリーの頂点として進化を続けてきたファントムの軌跡を辿る貴重な4台が並び、ブランドの精神とクラフツマンシップの結晶が披露された。

【画像】ロールス・ロイスの最高峰モデル「ファントム」の100周年を称えるイベント(写真61点)

1925年の初代モデル誕生以来、ファントムは常にロールス・ロイスの最高峰に君臨してきた。富裕層の嗜好や文化、そして時代そのものを映し出す存在として、ラグジュアリーの概念を更新し続けてきたのだ。会場では、時代ごとの映像がマルチスクリーンに映し出され、訪れた人々を百年の物語へと誘う。展示された4台のファントムは、いずれも「ビスポーク(注文製作)」の精神を体現した芸術品であり、ひとつとして同じものはない。

まず注目を集めたのは、世界限定25台の最新プライベート・コレクション「ファントム・センテナリー」だ。ロールス・ロイスの本拠地グッドウッドでわずか数週間前に発表されたばかりのこのモデルは、ファントム100年の歴史を彩ってきた人々、出来事、そして場所に敬意を捧げるべく、3年もの歳月と4万時間を費やして完成した。金属、木材、レザー、刺繍などの素材を用い、まるで一冊の書物のようにファントムの歴史を語るこのモデルは、ロールス・ロイスの職人たちの情熱と技巧の集大成である。所有者が時間をかけてその物語を読み解くことを意図してデザインされた、まさに「走る芸術品」と呼ぶにふさわしい一台だ。

続いて展示されたのは、世界限定10台の「ファントム・シンティラ」。その名はラテン語で「閃光」を意味し、ロールス・ロイスの象徴であるスピリット・オブ・エクスタシーに捧げられたオマージュである。ギリシャ彫刻「サモトラケのニケ」にインスピレーションを得てデザインされたセラミック仕上げのフィギュアは、優雅さと幻想的な美を兼ね備える。ボディカラーは、上部にアンダルシアン・ホワイト、下部にトラキアン・ブルーを組み合わせたツートーン。海面にきらめく光を思わせるメタリックフレークが繊細に輝き、手描きのダブルコーチラインとスピリット・ブルーのピンストライプが、静謐な中に力強さを宿す。インテリアには刺繍によるアートワークが広がり、スピリット・オブ・エクスタシーの優美な動きをギャラリー内に閉じ込めたかのような演出が施されている。

また、2021年に登場した「ファントム・オリベ」も展示された。日本古来の陶器「織部焼」から着想を得たこのモデルは、実業家・前澤友作氏のために、ロールス・ロイスとエルメスが共同で創り上げた唯一無二の一台である。エクステリアには、織部焼特有の深い緑を再現した特別色「MZオリベ・グリーン」を採用。インテリアはパリのエルメス職人とグッドウッドのビスポークチームが一体となり、素材選びから縫製、装飾の細部に至るまで両ブランドの哲学を融合させた。まるで静寂の中を滑るプライベートジェットのような洗練された空間は、「陸のジェット」というコンセプトのもと、前澤氏のビジョンを完璧に具現化している。

そして、1930年代にわずか279台のみが製造された「ファントムIIコンチネンタル」も姿を見せた。短いホイールベースを特徴とし、スポーティかつエレガントな佇まいで知られるこのモデルは、戦前のロールス・ロイスを代表する存在として、世界中のコンクール・デレガンスでその美を競い続けている。時代を超えてもなお、気品と威厳を失わないその姿は、ロールス・ロイスの伝統と革新が共存する証だ。

最後に、ロールス・ロイス・モーター・カーズ アジア太平洋リージョナル・ディレクター、アイリーン・ニッケイン氏は次のように述べている。

「一世紀に渡るロールス・ロイスを象徴するファントムの歴史は、単なる自動車の進化の物語にとどまらず、それぞれの時代の社会や文化、技術の変遷を映し出す壮大な文化史でもあります。歴代のオーナーの個性やビジョンを具現化してきたファントムは、手作業で製造されるロールス・ロイスの車が、『唯一の限界はあなたの想像力』であるという私たちの理念に触発された、お客様のための唯一無二の芸術品であることを示しています。その革新性と細部に宿る職人技を通じて、時代を超えて愛され続けるファントムのビスポークによる創造性の魅力をご紹介できることを大変嬉しく思います。」

麻布台ヒルズアリーナを満たしたのは、ラグジュアリーの概念を超えた”クラフトの芸術”そのものだった。100年という時間をかけて磨かれた美と魂が、静かに、そして圧倒的な存在感をもって観る者を包み込む。ファントムはこれからも、ロールス・ロイスの象徴として、そして時代の精神を映す鏡として、その歩みを止めることはない。
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