10月29日(水) 6:10
まず最初に確認すべきは、「1000万円で注文住宅を建てることは現実的なのか」という点です。結論からいえば、建築費1000万円での家づくりは不可能ではありません。ただし、建物のみの価格であり、土地代や外構費、諸費用は含まれていないケースがほとんどです。
近年ではローコスト住宅を得意とするハウスメーカーが増えており、コンパクトな延床面積・シンプルな仕様であれば1000万円台前半でも新築住宅を建てることが可能です。表1はその目安となる価格帯を表にまとめたものです。
表1
| 内容 | おおよその費用 |
|---|---|
| 建物本体価格 | 1000万円〜1300万円 |
| 外構費用(駐車場・庭) | 約100万円〜150万円 |
| 諸費用(登記・税金等) | 約100万円〜200万円 |
| 合計(最低ライン) | 約1200万円〜1600万円 |
※参考資料を基に筆者作成
このように、「建てること自体」は可能でも、1000万円という予算内にすべてを収めるには、かなりの工夫と割り切りが求められます。そのため、夫の希望がどこまで具体的なのか、そして何を大切にしたいのかを丁寧に聞いてみることが、冷静な判断につながります。
一方で、「中古住宅で十分」と思う背景には、多くの合理的な視点があります。まず価格面では、土地付き住宅が比較的安く手に入ることが魅力です。また、すでに完成しているため、現物を確認してから購入できる安心感もあります。
中古住宅の主なメリットは以下の通りです。
・総額で新築より安く収まる可能性が高い
・実際の住環境や日当たりなどを見て判断できる
・引渡し後すぐに住める(リフォーム期間は必要な場合あり)
・築浅物件なら住宅設備も十分に使える
ただし、築年数が古い場合は耐震性・断熱性に不安があるケースも多く、リフォーム費用が予想以上にかかることもあります。物件価格が安くても、総額では注文住宅と大差なくなる場合もあるため、見極めが重要です。
注文住宅の最大の魅力は、「自分たちの理想に沿って家を設計できる」という自由度です。家族構成や生活スタイルに合わせて間取りを決められることは、将来的な快適性にも大きく影響します。
また、新築であれば以下のような機能面でのメリットもあります。
・最新の断熱・気密性能で光熱費を抑えられる
・耐震性・省エネ基準に対応し、長期的な安全性と資産価値が高い
・最初から自分たち仕様の住宅で、不要な改修が不要
このような性能や自由度は、中古住宅ではなかなか得られない部分です。「安心して、長く住むための住まい」を考えたとき、わざわざ建てる意味は十分にあるといえるのです。
家づくりの方向性が違うということは、夫婦で「家に何を求めているのか」が違っているということです。たとえば、夫が「せっかくなら新しい家に家族の時間を刻みたい」と考えているなら、それはコストだけでは割り切れない“情緒的価値”が根底にあるはずです。
一方で、妻が「中古で十分」と感じるのは、「無理をしたくない」「現実的に安く済ませたい」という堅実な姿勢に基づいている可能性があります。
どちらが正解ということではなく、すれ違いが生まれるのは“家に求める役割”が違うからです。まずはお互いに「家を持ちたい理由」「何を大切にしたいか」を言語化し、すり合わせることが第一歩となります。
注文住宅で1000万円の家を建てたいと願う夫と、中古住宅で十分だと考える妻。この対立は、単に価格や好みの違いではなく、「暮らしに何を求めるか」「家族の未来をどう描くか」という人生設計に関わるテーマです。
中古住宅にはコストや即入居のメリットがありますが、注文住宅には“ゼロからつくる安心感”や“自分たちらしさ”という価値があります。それが心地よい暮らしに結びつき、家族にとっての「居場所」になるなら、わざわざ建てる意味は確かに存在します。
最終的に何を選ぶかよりも、「どう暮らしたいか」を夫婦で共に描けるかどうかが、納得のいく住まい選びのカギとなるのです。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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