10月25日(土) 4:20
まず、現在の議論の出発点となった公約を振り返ってみましょう。自民党は参院選に向け、全国民に対し一律で2万円を給付し、さらに、18歳以下の子どもと住民税非課税世帯の大人には、1人あたり2万円を上乗せして合計4万円を給付する方針を掲げました。
財源については、税収の上振れ分を活用し、マイナンバーカードや公金受取口座を通じて迅速に支給する仕組みを想定していました。
しかし、全ての国民に一律で給付を行う場合、総額が数兆円規模に上る可能性があります。そのため、与党内では「本当に支援が必要な世帯に重点を置くべきだ」との意見も根強く、対象を絞り込む方向での検討も進められたようです。
具体的には「住民税非課税世帯」のみにするという議論がなされました。
ここで、住民税非課税世帯について確認しておきます。所得が一定以下の場合、住民税の「所得割」や「均等割」を支払う必要はありません。つまり、住民税の課税がありません。
こういった住民税が課税されない水準の世帯のことを、住民税非課税世帯といいます。なお、住民税が非課税となる基準の金額は、自治体や扶養の有無などによっても異なります。
基本的に住民税非課税世帯は収入が少なく生活が苦しいため、それ以外のより収入が多い世帯よりも給付金を厚くするという考えに一定の理解を示す人も多いでしょう。
現状、「2万円給付金」の対象が住民税非課税世帯だけになるのか、当初の案のままなのかも不透明ですし、連立政権の誕生で給付金の実施そのものが見送られる可能性も高くなっています。
そのような中、SNS上では納税世帯から、「住民税非課税世帯は既に非課税という恩恵を受けているのに、税金を納めている世帯よりも給付金も優遇されるのはいかがなものか」といった、住民税非課税世帯への優遇施策に対して否定的な意見も散見されます。
今後、この給付金をめぐる議論は、政策調整や補正予算の編成に合わせて進むと思われます。もし住民税非課税世帯限定で給付する案が固まれば、制度の詳細設計や自治体による実務対応が課題となるでしょう。
議論の中では、「支援の公平性」と「財政の持続性」をどう両立させるかも焦点となります。支給対象を絞れば財政負担は軽くなりますが、その一方で、納税世帯の不満や取り残された感をどう解消するかも大きな課題です。
最終的に、「全国民一律」の公約が維持されるのか、それとも「住民税非課税世帯限定」などの現実路線に修正されるのかは不透明です。
そして、注目されているのが、高市新総裁が言及した「給付付き税額控除」の導入検討です。これは、低所得者など税金を納めるほどの所得がない人にも、控除額に応じて現金を給付する仕組みで、単発の現金給付ではなく「恒久的な支援制度」を目指すものです。
高市新総裁は、物価高や所得格差への対応として、こうした制度を中長期的な社会保障・税制改革の一環として位置づけたい考えを示しています。維新の会との合意を踏まえると、今後は2万円給付ではなく、給付付き税額控除の検討が進む可能性が高いでしょう。
自民党は参院選の公約として、「全国民一律で2万円、住民税非課税世帯と18歳以下には4万円支給」を掲げていましたが、その後「住民税非課税世帯のみに限定する案」も浮上しました。
給付金は物価高対策として期待される一方で、納税世帯からは住民税非課税世帯を優遇する政策に対する不公平感を訴える声も少なくありません。そして、現在は「給付付き税額控除」といった仕組みを検討する可能性が高まっています。
とはいえ、現状ではどれも確定されたものではありません。今後は財政負担や公平性の観点から議論が進み、給付金にしても給付付き税額控除にしても、給付の有無や支給対象の最終的な線引きなどの議論が本格化していくでしょう。
自民党 参院選2025 自民党の物価高対策 暮らしの「今」を支えます!
自民党 お知らせ もう一度信頼される自民党に 高市新総裁が就任会見
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
【関連記事】
【令和7年最新】「3万円給付金」の申請はお済みですか?「価格高騰重点支援給付金」の支給がスタートしています!