10月23日(木) 4:00
生活保護法が改正され、今年の10月1日から新たな保護基準が適用されます。それに伴い、生活扶助に特例扶助として一人当たり月額1500円が追加算されることになりました。
しかし、そのうちの1000円は10月以前から追加が実施されているため、実質的な上乗せ額は500円です。すでに実施されている1000円+追加算500円の合計で1500円となります。上乗せの背景には、景気の悪化や物価の上昇などがあるとされています。なお、入院患者・介護施設入所者に関しては現行の1000円加算のみが適用されます。
生活保護の受給条件は、収入が「最低生活費」を下回っていることです。
この最低生活費とは、健康で文化的な最低限度の生活を送るために必要とされる金額を国が定めたもので、最低生活費はその人の住む地域や世帯構成、年齢などによって変化し、収入との差額によって支給額も決まります。この際の収入は働いて得たお金のほか、年金や児童手当などの給付金も含まれます。
生活保護には生活を営む上で必要な費用を状況に応じて補うため、次の8種類の扶助があります。
・生活扶助
・住宅扶助
・教育扶助
・医療扶助
・介護扶助
・出産扶助
・生業扶助
・葬祭扶助
そして最低生活費は次の基準をもとに算出されます。これらの金額を足していくことで、最低生活費が決まります。
・生活扶助基準
住んでいる地域や受給者の年齢などによって変化します。
・加算額
障害がある場合や、養育児童がいる場合は加算されます。
・住宅扶助基準
実際に払っている家賃によって金額が決まります。
・教育扶助基準、高等学校等就学費
小学校、中学校、高等学校でそれぞれ金額が変化します。
・介護扶助基準
居住介護にかかった金額です。
・医療扶助基準
診療などの医療費です。
今回上乗せが決まったのは、この中でも食費・被服費・光熱水費などの日常生活に必要な費用を扶助する「生活扶助」です。
具体的なケースから、支給されるおおよその金額を計算していきましょう。0〜5歳の子ども一人を持つ、東京23区在住の30歳シングルマザーを例とします。
・生活扶助基準
東京23区は1級地-1に定められているため、金額は以下の通りです。
(4万6930+4万4580)×0.87+3万8060≒11万7674円
・加算
母子家庭のため1万8800円、養育児童が一人のため1万190円が加算されます。
前述の特例加算額は1500円×2=3000円です。
・住宅扶助基準
1級地、2〜6人世帯の上限である6万4000円が基準額です。この範囲内で実費相当が支給されます。
合計で、月額21万円程度が支給される計算になります。しかしこれはあくまでも目安であるため、全てのシングルマザーが「毎月20万円以上」をもらえるとは言い切れません。実際の生活を基準に照らし合わせ、適切な計算を行いましょう。
今年の10月から、生活扶助の金額が一人当たり月額500円上乗せされるようになります。東京23区在住の30歳シングルマザーであれば、20万円をもらえるケースもあるでしょう。しかし、生活保護を受給できるかどうかは、収入が個々人に合わせた最低生活費を下回っていることが条件となるため、正確な費用を算出することが必要になります。
品川区 令和7年10月からの生活保護基準の改定について 2025年9月
厚生労働省 級地区分(H30.4.1)2018年4月
厚生労働省 住宅扶助について 2013年11月
厚生労働省 生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和7年10月)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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