疲労回復の新常識医学的に正しい「体より脳を休ませる」メソッド

『疲労専門医が伝えたい お疲れ日本人の本当の休み方: 世界一眠らない日本に』梶本修身Gakken

疲労回復の新常識医学的に正しい「体より脳を休ませる」メソッド

10月23日(木) 17:00

皆さんの中には「毎日、体が重くてしんどい」「寝ているのに疲れが取れた気がしない」と感じている人も多いのではないでしょうか。その一因となっているのが、慢性的な睡眠不足。日本人の平均睡眠時間はOECD加盟国中最下位で、20~50代の成人においては約4~5割が1日あたりの睡眠時間が6時間未満となっています。さらに女性は男性よりも平均13分も短いことから、今もっとも「休養力=疲れを回復する力」が必要なのは日本人女性だと言っても過言ではないでしょう。そこで、疲労医学の専門医である梶本修身氏が「医学的かつ科学的に正しい、真の疲労回復」というテーマをもとに著したのが『疲労専門医が伝えたい お疲れ日本人の本当の休み方:世界一眠らない日本に』です。

梶本氏によると、休養力を高めるカギとなるのが「脳」と「自律神経」。疲れを癒やそうとすると私たちはまず体のケアを考えますが、実は自律神経をいたわる「脳ファースト」を心がけるのが大事なのだそうです。本書を読むと、日ごろ私たちが疲労回復によいと思っておこなっている行動が、いかに「脳ファースト」に即していないかがわかります。たとえば疲れた日はゆっくり湯船につかろうと考えがちですが、「湯船につかると、体温調節を担う自律神経は余計に疲れてしまうだけ」(本書より)。どっと疲れている日はむしろシャワーだけですませて早く眠りにつくほうが、疲労回復効果は高いそうです。

このように「疲労感」だけ取れていて、実際の「疲労」自体はまったく軽減していないことは他にもあります。サウナや岩盤浴、ホットヨガ、スタミナ食なども肝心の脳は癒やされず、自律神経をクタクタに疲弊させてしまっている可能性もあるそうです。また、体にとって快適な環境が、脳にとっても快適とは限らないこともあります。夏にエアコンをつける際、女性は28℃ぐらいを好む人も多いですが、「人類の脳にとって快適な気温は、万人共通で22~24℃であることがわかっている」(本書より)とのこと。体ではなく「脳ファースト」の視点で考えると、日常生活の中でいろいろと見直すべき点が見つかりそうです。

では、具体的にどのようなことを取り入れればよいのでしょうか。もちろん本書では、「正しい休み方」についても詳しく紹介されています。寝る際の温度、夜の照明、寝る姿勢、手軽な筋肉の鍛え方などなど......。さらには、疲労が回復する食事、自律神経を疲れさせない働き方や生活についても記されています。

「こんなに体のケアをしているのに、なぜ疲れが取れないの?」と悩んでいるなら、体ではなく「脳」に目を向けてみると解決の糸口が見つかるかもしれません。「脳ファースト」のメソッドでうまく休み、年を重ねても健康で生き生きとした毎日を送っていきたいものですね。

[文・鷺ノ宮やよい]



『疲労専門医が伝えたい お疲れ日本人の本当の休み方: 世界一眠らない日本に』
著者:梶本修身
出版社:Gakken
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