9月11日(木) 2:00
株を親から無償で譲り受けた場合、対価(お金)がないから税金がかからないと思いがちですが、日本の税法では「贈与」とみなされるため、受け取った側(受贈者)に贈与税が発生します。
特に、国税庁では「無償で財産を与えることを『贈与』と定義」しており、譲り受けた株式の評価額を基準に課税されます。
上場株式の場合は、市場で取引された価格(終値や過去の平均値など)から、特に「最も低い価格」で評価されることが一般的です。
非上場株式の場合は、経営権の有無や会社の規模によって評価方式が異なります。たとえば、純資産価額方式や類似業種比準方式、配当還元方式などが使われます。
受贈者は、まずこれらの評価方式に基づき、譲り受けた株式の価額を算定し、そこから年間110万円の基礎控除を差し引いた残額(課税価格)に応じて贈与税を計算することになります。
税務署が贈与の疑いを持った場合、「贈与のお尋ね」が通知されます。これは回答の義務はありませんが、放置すると心証が悪くなり、調査やペナルティにつながる可能性があります。
なるべく早く書面で対応し、必要に応じて証拠書類(贈与契約書、証券取引の記録など)を用意すると安心です。申告漏れや無申告があった場合、以下のペナルティが科されるリスクもあるため注意が必要です。
・延滞税(納付遅延による税金)
・無申告加算税
・重加算税(悪質な場合)
節税につながる制度や特例を紹介します。
・暦年贈与制度
年間110万円までは贈与税が非課税になります。
・相続時精算課税制度
2500万円までの贈与に対して特別控除が受けられる制度。ただし相続時にまとめて評価されます。
・事業承継税制
非上場株式について、一定の要件を満たせば贈与税の納税が猶予され、場合によっては免除も可能です。
適用要件が複雑なため、制度の利用を考える場合は税理士など専門家への相談をおすすめします。
償で株式を譲り受けた場合でも、贈与税の対象になることがあるという事実は重大です。上場株・非上場株それぞれの評価方法と控除制度を知り、自分がどの分類に該当するか把握しておくことが大切です。
また、「贈与のお尋ね」が届いたら早めの対応、必要書類の準備が鍵になります。節税制度を利用する際は、適用要件や将来的なリスクを踏まえて、専門家と相談のうえ進めましょう。
国税庁No.4408贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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