甲子園名門校の歴代ベストナイン〜花巻東編
8月5日から始まった第107回全国高等学校野球選手権大会。今年も49の代表校が顔を揃え、連日、熱い戦いを繰り広げている。そのなかから、これまで甲子園で数々の名勝負を繰り広げ、多くの名プレーヤーを輩出した名門校の「歴代ベストナイン」を、40年以上にわたり現場取材を続ける戸田道男氏に選出してもらった。
甲子園優勝経験こそないが、菊池雄星、大谷翔平といった今をときめくメジャーリーガーを輩出するなど、岩手の高校野球を変えてきた花巻東。甲子園を沸かせた名選手たちのなかから、歴代ベストナインを選出した。
花巻東歴代ベストナイン
1(左)大谷翔平
2(二)柏葉康貴
3(遊)川村悠真
4(一)佐々木麟太郎
5(三)猿川拓朗
6(右)阿部成宏
7(中)岸里亮佑
8(捕)千葉祐輔
9(投)菊池雄星
花巻東時代、甲子園通算7勝を挙げた菊池雄星photo by Ohtomo Yoshiyuki
【エースは甲子園通算7勝の菊池雄星】OBふたりが現役メジャーリーガーとして第一線で活躍している花巻東。歴代ベストナインを選ぶなら、もちろんふたりともメンバーに組み込みたい。ピッチャーを大谷翔平(ドジャース)でなく、菊池雄星(エンゼルス)とした理由は、ただそのひとつだけ。というわけで、世界最高の二刀流選手として活躍中の大谷には、圧倒的な打撃力を買って外野手に入ってもらった。
花巻東は2009年春の選抜で県勢初の甲子園決勝に進出。0対1で清峰(長崎)に敗れ惜しくも準優勝に終わったが、歴代ベストナインには、同年夏もベスト4進出を果たしたそのメンバーから、菊池雄星をはじめ5人を選出することになる。
菊池は1年時の2007年夏に背番号17で甲子園出場。3年時の2009年春は、初戦の鵡川(北海道)戦で9回一死までノーヒットノーランの快投を演じて、ドラフト候補の実力をいかんなく発揮。春4勝、夏も3勝と3年時だけで甲子園通算7勝をマークした。ドラフト1位で西武に入り、数々のタイトルを獲得。2019年に海を渡り、マリナーズを皮切りにメジャーでの活躍を続けている現状についてはあらためて記すまでもない。
歴代ベストナインチームでは先発マウンドを務めてもらうが、大谷はじめブルペンに待機する後輩たちも頼もしい。2013年夏ベスト4進出時に二刀流でエースナンバーを着けた岸里亮佑(日本ハム)、2015年夏に2勝を挙げた左腕・高橋樹也(広島)、その1学年下の千葉耕太(楽天)、加藤三範(慶應大〜ENEOS)、2018年春ベスト8の西舘勇陽(中央大〜巨人)、2023、24年夏出場の小松龍一(早稲田大)など投手陣は充実の顔ぶれだ。
2012年春の選抜で大阪桐蔭・藤浪晋太郎から本塁打を放った大谷翔平photo by Sportiva
【不動の4番は高校通算140本の怪物】2009年のチームから選出するのは、キャッチャーの千葉祐輔(国士舘大〜ヤマハ)、セカンドの柏葉康貴(明治大)、サードの猿川拓朗(東海大〜日立製作所)、ショートの川村悠真(岩手大)。
左打ちの捕手・千葉はおもに5番を打ち、打撃でも貢献。1番を打った柏葉は夏の2回戦・横浜隼人(神奈川)戦で決勝2ラン。大型サード・猿川は菊池をサポートする2番手投手という重要な役どころも務め、春の準々決勝・南陽工(山口)戦で先発マウンドに立ち、中堅バックスクリーンに本塁打を放り込んだ。ショート・川村はナインの信頼厚い主将。夏の準々決勝・明豊戦では延長10回に決勝タイムリーでそれまでの不振を振り払った。
内野で残るファーストのポジションには、高校通算140本塁打の佐々木麟太郎(スタンフォード大)を据え、打ってもどっしりと4番に座ってもらう。
そして、外野手の1人目は大谷翔平。3年春の選抜で大阪桐蔭のエース・藤浪晋太郎(現DeNA)から右中間に本塁打を打ち込んだシーンはあまりにも有名。
2人目は大谷の1学年下でやはり二刀流の岸里。2013年夏の準々決勝・鳴門戦で板東湧梧(ソフトバンク)から中堅へアーチを放った。
3人目は佐々木洋監督が育てたチームからよりどりみどりの感もあるが、あえて前身の花巻商時代の64年夏に左腕エースとして甲子園出場、プロ入り後は近鉄の外野手として長く活躍した阿部成宏に加わってもらおう。
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