(写真/PIXTA)
4月10日(木) 22:00
(一社)住宅リフォーム推進協議会では、リフォーム消費者(実施者・検討者)向けに「2024年度 住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査」を実施し、その結果を公表した。それを見ると、“省エネリフォーム”に関する関心の高さがうかがえる。詳しく見ていこう。
【今週の住活トピック】
「2024年度 住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査」を公表/(一社)住宅リフォーム推進協議会
調査対象(有効回答)を確認しておこう。「実施者」は、過去3年以内に自己所有の住まいをリフォームした1050人(全国の25歳以上の世帯主)、「検討者」は、今後3年以内に住まい(自身の住まいに限らず)のリフォームを実施予定の1026人(全国の25歳以上)だ。
今回の調査結果で目立ったのが、「省エネ性能」への関心の高さだ。
まず、リフォーム検討者が、「検討にあたり、予算以外で重視すること」を聞いた結果(【画像1】)を見ると、「省エネ性の向上が見込めること」が、前々回(16.3%)、前回(20.7%)、今回(27.5%)と上昇を続け、今回は最も高くなった。省エネ性能だけでなく、「バリアフリーにできること」「耐震性の向上が見込めること」などの性能向上についても、同様に回を重ねるごとに高くなっている。一方、これとは対照的に「設備の使い勝手が良くなること」「掃除がしやすくなること」は回を重ねるごとに低くなっている。
次に、「検討者がリフォームで実現したいこと」を見る(【画像2】)と、「省エネ性能を高める」が最も高く、特に「20-30代」と「40代」の若い世代で高くなっている。
同様の質問(リフォームで実現したいこと【画像3】)で、リフォーム実施者のほうの結果を見ると、最も高いのは「⼀部の部屋の全⾯改修をする」だったが、2番目に高いのが「省エネ性能を高める」となり、「20-30代」だけで見ると最も高いのが「省エネ性能を高める」だった。
さらに同じ結果を実施者の住まいの「築後年数別」で見ると、「10年未満」や「10年以上~20年未満」が高くなっていた。これは、検討者の場合も同様の傾向で、「10年未満」や「10年以上~20年未満」で、「省エネ性能を高める」ことを実現したい割合が高くなる。
省エネ性能が低いから上げたいということに限らず、築10年未満など省エネ性能が比較的高いと考えられる住まいであっても、性能を上げたいと思っていることが特徴的だ。
さて、住宅の「省エネ基準」は時代の要請を受けて段階的に引き上げられ、2025年4月以降はすべての住宅で最新の省エネ基準に適合することが求められている。同様に、2025年4月から東京都では、新築住宅への太陽光発電設備の設置が義務づけられる(一定規模以上の住宅供給事業者に対して)
このように、住宅の省エネ性能がどんどん高まっているので、省エネ性能の高い、冷暖房効率の良い住宅で子ども時代を過ごした若い世代ほど、自分が住む住まいへの省エネ性能を重視する傾向があると考えられる。こうしたことが、若い世代や築後年数のあまり経過していない住まいで、省エネ性能を高めるリフォームを考えるということにつながるのだろう。
「税制優遇制度」のうち、省エネリフォーム減税の認知は高い税制優遇制度にはいくつかあるが、実施者にそれぞれの認知状況を聞いている。その結果(【画像4】)を見ると、省エネリフォーム減税の認知度が、所得税・固定資産税ともに最も高くなっており、その関心の高さがうかがえる。
ただし、それぞれの税制優遇制度の認知者がどの程度活用したかは、いずれもおおむね30%を超え、省エネリフォーム減税の活用率が特に高いわけではない。これは、実施するリフォーム内容がそれぞれの適用条件に合致するかどうかなどによって、活用の有無が変わるからだろう。
SUUMOリサーチセンターが2024年のトレンドワードに挙げたのが「断熱新時代」だった。住宅性能の中でも関心が高まっているのが「断熱性能」で、今後さらに取り入れる動きが加速すると予測していた。(当サイトの記事「 2024年住まいのトレンドワードは「断熱新時代」! 省エネ、健康面からニーズ高まり、学校断熱改修・DIY・等級6以上の高性能住宅の普及など断熱は次のステージへ 」を参照)
今回の調査結果を見ると、実際に省エネリフォームへの関心が高まり、省エネ性能を高めるリフォームを実現したいと考えていることが分かる。「断熱新時代」が到来したといえるだろう。
●関連サイト
(一社)住宅リフォーム推進協議会「2024年度 住宅リフォーム消費者(検討者・実施者)実態調査報告書」
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