4月2日(水) 17:00
通勤手当は必ず支給されるものではありません。法律によって支給が義務付けられているわけではなく、従業員が自己負担しても問題ないもののようです。 しかし、実際には福利厚生の一環として通勤手当を支給することが一般的であると考えられています。
通勤手当の支給ルールは各企業によって定められていますが、多くの場合、通勤距離に基づく基準または実費精算のいずれかの方法で決められています。
公共交通機関利用の場合:定期代などの実費を支給
マイカーや自転車通勤の場合:通勤距離に応じて支給
企業の基準に違いはありますが、マイカーや自転車通勤の場合は自宅から職場までの距離は直線距離で計算されます。
公共交通機関を利用する場合とマイカーと公共交通機関を併用する場合、1ヶ月あたりの通勤手当の非課税限度額は15万円です。以前は10万円でしたが、平成28年度の税制改正により、非課税限度額が拡大されています。
国税庁による通勤手当の非課税限度額は表1の通りです。
表1
片道の通勤距離 | 1ヶ月あたりの非課税限度額 |
---|---|
55km以上 | 3万1600円 |
45km以上55km未満 | 2万8000円 |
35km以上45km未満 | 2万4400円 |
25km以上35km未満 | 1万8700円 |
15km以上25km未満 | 1万2900円 |
10km以上15km未満 | 7100円 |
2km以上10km未満 | 4200円 |
2km未満 | 全額課税 |
出典:国税庁「通勤手当の非課税限度額の引上げについて」を基に筆者作成
アントプロダクション株式会会社の「通勤手段に関するアンケート」では、理想的な通勤時間や所持している乗り物などの独自調査を実施しました。その結果、通勤・通学手段の割合は、表2の通りとなりました。
表2
通勤手段 | 人数(割合) |
---|---|
自動車 | 121人(約40.3%) |
電車・バス | 83人(約27.7%) |
自転車 | 35人(約11.7%) |
出典:アントプロダクション株式会社「通勤手段に関するアンケート」を基に筆者作成
全体的に自動車通勤の割合が最も高く、次いで公共交通機関、自転車の順に通勤手段が多いことが分かります。
また、理想の通勤時間についての調査では、10分以内を希望する人が約42.7%、30分以内を希望する人が50%という結果になりました。つまり、全体の約92.7%が30分以内の通勤時間が理想的と考えているようです
政府は2025年秋をめどに、自動車通勤手当の非課税限度額を引き上げる方針を打ち出しています。2025年4月現在、自宅からの通勤距離に応じて8つの区分が設けられており、最大で月3万1600円までが非課税となっていますが、近年のガソリン価格の上昇を考慮して非課税枠が増額される予定です。増額の見直しは11年ぶりです。
在宅勤務の導入により出社日数が減る場合、通勤手当の取り扱いは企業ごとに異なります。ある企業では、1ヶ月間まったく通勤しない場合を除き、在宅勤務の日数に応じた減額をしていません。通勤手当に関する具体的な規定は法令で定められておらず、各企業の就業規則に基づいて決定されます。
在宅勤務が増える場合は、勤務先の規定を事前に確認しておくことが重要です。
通勤手当が非課税限度額を超えた場合、課税対象です。支給額が限度額を上回ると、その超過分は給与として扱われます。
バスや電車などの公共交通機関を利用する場合、通勤手当の非課税限度額は15万円までと定められています。ただし、非課税の適用を受けるためには、最も経済的で合理的な経路や方法であることが条件です。
注意したいのは新幹線で通勤する場合です。グリーン車の料金は非課税税対象ではありません。
通勤手当と混同されるものに、交通費があります。交通費とは、営業活動や出張などの業務に伴う移動費のことです。一般的には、社員が一時的に交通費を立て替えた後、会社が経費として精算する形で支払われます。
交通費は全額非課税となります。企業の事業活動に必要な経費として扱われるためです。交通費の支給額がどれだけ増えても、従業員の所得税には影響しません。
通勤手当は、公共交通機関なら月15万円、マイカー通勤なら最大3万1600円までが非課税となります。ただし、新幹線のグリーン車料金は非課税対象外です。なお、2025年秋には自動車通勤手当の非課税枠が拡大される予定です。
国税庁通勤手当の非課税限度額の引上げについて
アントプロダクション株式会社理想的な通勤時間は「30分以内」が92.6%! 通勤時間&通勤手段に関するアンケート
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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