米テレビドラマ史に輝かしい足跡を残した俳優リチャード・チェンバレンさんが3月29日、ハワイ州ワイマナロで脳卒中の合併症により90歳で死去したと、米バラエティが報じた。医療ドラマ「ドクター・キルデア」で一世を風靡し、のちに「ミニシリーズの王様」と称された名優だった。
長年のパートナー、マーティン・ラベットさんは声明で「私たちが愛するリチャードはいま、天使たちとともにいる。彼は自由になり、先に旅立った愛する人たちのもとへ飛んでいった」と哀悼の意を表した。
1934年3月31日、カリフォルニア州ビバリーヒルズで生まれたチェンバレンさんはポモナ大学で美術を専攻後、陸軍に2年間従軍。除隊後、テレビドラマにゲスト出演を重ね、1961年から1966年まで放送された米NBCの医療ドラマ「ドクター・キルデア」でジェームズ・キルデア役を演じ、当時の若者たちの憧れの的となった。
演技力を磨くため60年代後半に英国へ渡り、シェイクスピア劇「ハムレット」などの舞台に立つ。ハリウッド復帰後は「三銃士」(1973)でアラミス役、「タワーリング・インフェルノ」(1974)などの話題作に出演し、確かな演技力で観客を魅了した。
チェンバレンさんの俳優人生における最大の輝きは1980年代のテレビミニシリーズにあった。1980年のミニシリーズ「将軍 SHŌGUN」では、イギリス人航海士ジョン・ブラックソーン役を熱演。三船敏郎、島田陽子との共演で描かれた江戸時代初期の日本を舞台とした本作は、米NBC局史上最高視聴率を記録。この功績によりチェンバレンさんはテレビドラマ部門のゴールデングローブ賞を受賞した。
1983年には物議を醸したミニシリーズ「The Thorn Birds(原題)」で神父役を演じ、「ROOTS ルーツ」に次ぐ史上2番目の高視聴率を獲得。この作品でも見事なゴールデングローブ賞を手にし、テレビドラマ界の重鎮としての地位を不動のものとした。
長年にわたり自身の性的指向を隠していたチェンバレンさんは、2003年に出版された自伝「Shattered Love」で69歳にしてカミングアウト。「私は若い頃から、ゲイであることやおしとやかな性格は禁忌とされていた。自分自身を激しく嫌悪し、恐れていた」と率直に心の内を語り、多くの人々に勇気を与えた。
チェンバレンさんの代表作「将軍 SHŌGUN」は2024年、真田広之さん、コスモ・ジャーヴィスらによりリメイクされ、エミー賞やゴールデングローブ賞を受賞している。
【作品情報】
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ハムレット
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Photo by Desiree Stone/Getty Images