3月31日(月) 3:00
21回目を迎える真夏のオーケストラの祭典「フェスタサマーミューザKAWASAKI 2025」が7月26日(土)から8月11日(日)まで17日間にわたって、ミューザ川崎シンフォニーホールと昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワで開催される(主催:川崎市/ミューザ川崎シンフォニーホール)。
キャッチフレーズは「夏にゃ祭りを。祭りにゃミューザを」。3月下旬、公演ラインアップの発表会見が開かれ、福田紀彦川崎市長と、3人のホールアドバイザー、松居直美(オルガニスト)、小川典子(ピアニスト)、宮本貴奈(ピアニスト)らが出席した。
今年は音楽祭を彩るキービジュアルが一新。放送中の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』でも話題の浮世絵がテーマで、写楽風の指揮者が中央に描かれている。このビジュアルにちなんで、サマーミューザ期間中、浴衣の来場者にはもれなくプレゼント進呈という粋なプランも用意されている。見た目にも涼しげで、ありがた山!
今年ももちろん、プログラムの中心となるのは首都圏のプロ・オーケストラ10団体。指揮者に音楽監督や首席指揮者といった各オケのシェフ級が名を連ねるのはいつもどおりだが、その中に、熊倉優、小林資典、松本宗利音、出口大地、太田弦といった新世代の指揮者たちが、例年にも増して多数登場するのも目立つ。東京ニューシティ管弦楽団時代には参加していた「パシフィックフィルハーモニア東京が、4年ぶり、2022年に現称に代わってからは初めて出演。また6年前から定例化している首都圏外のオーケストラの出演枠には福岡から九州交響楽団がやってくる。
さらに、川崎市内にキャンパスを構える昭和音楽大学と洗足学園音楽大学のオーケストラが例年どおり出演するほか、大好評の子供向けピアノ企画や、たっぷりバッハを楽しむオルガン・コンサート、多彩な顔ぶれが集うジャズ公演など、全18公演の多彩なプログラムが繰り広げられる。
ラインナップは以下のとおり。会場は、*印の2公演のみ昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワ、ほかはすべてミューザ川崎シンフォニーホール。
●7月26日(土)東京交響楽団 オープニングコンサート
今シーズンで音楽監督を退任する指揮者ジョナサン・ノットのラスト・サマーミューザ。4日間15時間かかる《ニーベルングの指環》を70分間に凝縮した管弦楽曲《言葉のない指環》に注目。
●7月27日(日)東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
昨年はホルスト《惑星》が即完売。注目の今年は常任指揮者・高関健とともにベートーヴェン《皇帝》(ピアノ:小山実稚恵)とマーラー《巨人》の王道プロ。
●7月29日(火)洗足学園音楽大学
1月に急逝したチーフ・ホールアドバイザー秋山和慶氏が情熱を注いでいたのが、バレエ・コースの学生も出演して、若い力が弾けるこの公演。劇場経験豊富なキンボー・イシイが引き継ぐ。
●7月30日(水)東京都交響楽団
気鋭の若手指揮者・熊倉優が振るチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番(ピアノ:奥井紫麻 )とストラヴィンスキー《火の鳥》。
●7月31日(木)読売日本交響楽団
ドイツの劇場で叩き上げでキャリアを積んできた小林資典の指揮。ヨハンとリヒャルトのWシュトラウスに、菊池洋子をフィーチュアしたモーツァルトのピアノ協奏曲20番。
●8月2日(土)新日本フィルハーモニー交響楽団
2016年から21年まで第4代音楽監督を務めた上岡敏之の指揮。気心知れた旧知のコンビで贈る、渾身のブルックナー交響曲第7番。
●8月3日(日)イッツア・ピアノ・ワールド
ピアニスト小川典子が子供たちに贈るサマーミューザの名物企画。ステージ上でピアノの間近に座り、前のめりで耳を傾ける子供たちの目の輝きがうれしい。
●8月3日(日)真夏のバッハⅩ
毎年さまざまな共演者を迎えて色彩が変わるオルガンによるバッハ・コンサート。今年は徳岡めぐみ(オルガン)が、隠岐彩夏(ソプラノ)ら声楽陣と贈る。
●8月3日(日)東京交響楽団[出張サマーミューザ@しんゆり]*
前音楽監督ユベール・スダーンの指揮。《展覧会の絵》とモーツァルトのピアノ協奏曲第27番(ピアノ:山縣美季)。
●8月4日(月)NHK交響楽団
話題の指揮者・松本宗利音がN響と初共演。大人気ピアニスト阪田知樹がガーシュウィン《ラプソディー・イン・ブルー》で共演する注目公演。
●8月5日(火)昭和音楽大学
生誕150周年のラヴェルにドビュッシー、モーツァルトの交響曲《パリ》という洒落たチョイスのフランス・プロを、パリで学んだ田中祐子の指揮で。
●8月6日(水)東京フィルハーモニー交響楽団
躍進中の出口大地の指揮。2022年ヴィエニャフスキ・コンクールの覇者、前田妃奈が登場。身体中から音楽の喜びを発散するようなヴァイオリンを弾く人。
●8月7日(木)九州交響楽団
昨年首席指揮者に就任した太田弦に率いられて初登場。小出雅子に委嘱した《博多ラプソディ》は九響以外ではなかなか聴けないはず。彼女の作品はいつも、ちゃんと“現代音楽”だけれど聴き手を惹きつける。
●8月8日(金)神奈川フィルハーモニー管弦楽団
音楽監督・沼尻竜典の指揮で、神奈川フィル初挑戦のメシアン《トゥランガリーラ》。ピアノに北村朋幹というのも注目ポイント。オンド・マルトノはもちろん原田節。
●8月9日(土)日本フィルハーモニー交響楽団
日本音楽を素材にした小山清茂作品で幕を開けるコンサートは、今年の和風ビジュアルの気分にぴったりかも。下野竜也とチェロ独奏の宮田大(サン=サーンス)も、奇しくも大河ドラマ『べらぼう』のコンビ。
●8月9日(土)パシフィックフィルハーモニア東京[出張サマーミューザ@しんゆり]*
4歳以上入場OK!音楽監督の飯森範親が、子供たちを対象にした「音の遊園地」の園長さんになる。子供(中学生以下)500円というのもうれしい!
●8月10日(日)サマーナイト・ジャズ
ジャズ・ピアニスト宮本貴奈が、ポップス・シンガーのクリス・ハートと福原みほを迎えるクロス・ジャンルのジャズ・ナイト。2月に88歳で没したロバータ・フラックへのトリビュートも。
●8月11日(月)東京交響楽団 フィナーレコンサート
バルトークとニールセンを軸に、正指揮者・原田慶太楼が振る本格派プログラム。服部百音のバルトークは聴き逃せない。
取材・文:宮本明
フェスタサマーミューザKAWASAKI 2025
■チケット情報
https://w.pia.jp/t/muza-festa/
7月26日(土)から8月11日(日)まで
ミューザ川崎シンフォニーホールと昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワ