3月29日(土) 17:20
現在、紙巻タバコの価格は1箱あたり500円~600円ほどであり、その6割以上がタバコ税や消費税などの税金です。日本たばこ産業株式会社(JT)が公表しているデータによると、例えば1箱580円の紙巻タバコでは、税金は357.6円(61.7%)であり、そのうち国タバコ税、地方タバコ税、タバコ特別税を合わせたタバコ税は304.88円(52.6%)です。
一方で、加熱式タバコにかかるタバコ税は1箱20本入り相当でおよそ274円程度で、紙巻タバコの8~9割程度に抑えられているようです。財務省によると、政府は「令和7年度税制改正大綱」に加熱式タバコの税率引き上げを盛り込んでおり、国のタバコ税率を、令和9年4月、令和10年4月、令和11年4月の3回に分けて、それぞれ1本あたり0.5円ずつ引き上げる予定になっています。
加熱式タバコが増税される背景にあるのは、防衛力強化に係わる財源確保のための税制措置や、課税の適正化(紙巻タバコとの税差の解消)などです。前者については、日本を取り巻く安全保障環境を鑑みて、防衛力の抜本的強化、及びそれに伴う防衛費を安定的に確保する目的から、その一環としてタバコ税の見直しが行われました。後者については、加熱式タバコの税率が紙巻タバコに比べて1~2割程度低くなっていることを踏まえて、この差を解消し適正化を図ることを目的に加熱式タバコの増税が予定されています。政府はこれにより、約2000億円を確保する方針です。
加熱式タバコの税率が引き上げられると、いくらくらい負担が増えるのでしょうか。ここでは1日1箱吸うとした場合を例にして試算してみます。
加熱式タバコを吸うには、加熱デバイスとタバコ葉が詰まったスティックが必要で、加熱デバイスは3000円ほどしますが、ここではこれを除いてスティックのみの価格を考えてみます。
スティックの価格は1箱20本で600円程度のものが多いようです。これが先述したように1本あたり0.5円ずつ引き上げられると、現行と比べて1ヶ月で、令和9年には300円、令和10年には600円、令和11年には900円負担が増える可能性があることになります。
愛煙家にとって喫煙はリラックスできるひと時であり、やめたくてもやめられないというのが本音ではないでしょうか。タバコを吸う人の数は減少傾向にあるとはいえ、タバコの税収は年間2兆円前後で安定的に推移しています。
加熱式タバコは紙巻タバコに比べると、有害性成分が低減されるため、健康への影響が比較的少なく、火を使わないために煙が出ないメリットもあります。税率が上がってもタバコを吸いたい人にとっては、加熱式タバコは妥協できる嗜好品かもしれません。
厚生労働省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況 III 世帯員の健康状況 5 喫煙の状況(20ページ)
日本たばこ産業株式会社(JT) たばこ税の仕組み
財務省 令和7年度税制改正の大綱の概要 防衛力強化に係る財源確保のための税制措置
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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