「セックスって漫才と一緒だと思うんですよ」と話すラランド・ニシダさん
小説家としても活躍しているお笑い芸人・ニシダ(ラランド)が、ファンの方々とただただセックスの話をしていくシリーズ連載「ラランド・ニシダと『みんなのセックス大全!』」が始動!
特にお悩みには答えないし、何かしらの答えも出さないし、ジャッジもしません。ただただ、セックスの、話を、していきます。
***
【No.02】
――前回に引き続き、セックス中にかける音楽を集めた「セックスプレイリスト」を持っている会社員のRさん(20代、女性)です。ちょっとした相談があるそうです。
ニシダ
なんでしょう?
R
さん
私、今付き合って4ヵ月の彼氏がいまして、もう本当付き合いたてなのでけっこうセックスをよくするんですけど。
ニシダ
付き合って4ヵ月ってそういうもんですよね。はい。
R
さん
私が小芝居みたいなものを好んでやりがちなところがあるんですけど、あまりノってもらえないんですよね。
ニシダ
小芝居?
R
さん
例えば、セックスする前、シャワーを浴びているときに「こういうとこ、よく来るの?」ってエッチなお店っぽく言ってみたり、行為後のピロートークで「やっちゃったね......。明日、先輩になんて言おっか。『泊まりはしたけど、ヤってない』って言うのがいいかな」とか「彼女さん怒ってない?」みたいな。
ニシダ
なるほど。はいはいはい。
R
さん
でも、彼氏はあんま好きじゃないみたいで、ちょっとノったらすぐ降りるんですよ。
ニシダ
降りる(笑)。
R
さん
「出た」みたいな反応するんですよね。私はあくまで楽しんでるだけなんですけど、向こうはなんか試されている気分になるみたいで。
ニシダ
確かになあ。Rさんは"セックスインプロ"みたいなのがやりたいんですね。
R
さん
やりたいですねえ。前後で楽しくお芝居したい。
ニシダ
シチュエーション好きな人には刺さると思うんだけどなあ。前後ってことは、最中は降りてもいいってことですか?
Rさん
そこなんですよ。導入でお芝居するのに、絶頂前にふたりとも思わず降りちゃう......みたいなのが好きなんです。
ニシダ
あー、なるほど。お互い理性を保って芝居できる状態じゃなくなるっていうのがいいんですね。
Rさん
そうです、そうです。
ニシダ
なんかでも、セックスの前とか最中はノり気でも、終わったあとはノり気じゃなくなる人が圧倒的に多い気がしますね。「めんどくせえな」ってなっちゃいそう。
――人によってセックスの終了の位置が違うということもありそうですね。
Rさん
男性が果てた後の「賢者タイム」ってやつですか?
ニシダ
ですね。終わった後のひと芝居......めんどくさいっすねえ......(笑)、想像すると。
Rさん
えー、そうなんですね(笑)。
ニシダ
セックスの前とか最中は興奮のためのスパイスになると思うんですけど、行為の後のそれってどういう気持ちなんですか?
Rさん
なんなんですかね。ご飯食べ終わった後、コーヒー飲むみたいな......お口直し的な......?
ニシダ
様式美みたいな感じなのか。
Rさん
なんか余韻も楽しみたい、みたいな感覚ですね。でも、やっぱり男性って果てたら切り替わるんですね。
ニシダ
そうですねえ。そこにセックスのピリオドが打たれる人が多いと思います。セックスを盛り上げるための行為だったらノるけど、そうじゃないことに関してはドライな人が多数派かも。
ラランド・ニシダさんと対談相手のRさん(20代、女性)
Rさん
あっ、そういえば彼氏がイヤがらずに小芝居にノってくれるときがあって。
ニシダ
ほう?
Rさん
今の彼氏、果てたあともちょっと勃ってるみたいな人で、2回戦がすぐできるんですけど。
ニシダ
絶倫ってやつですね。
Rさん
そういうときは1回戦が終わった後の小芝居も降りずにノってくれます!
ニシダ
なるほど。それはきっと、Rさんにとっては「1回戦の余韻」で、彼氏さんにとっては「2回戦の導入」なのかも。
R
さん
そういうことなんだと思います。
ニシダ
女性と男性でピリオドの位置が違うのは気を付けたほうがよさそうですね。男性は行為のあと絶対にシャワーを浴びたくなるけど、女性は浴びなくても寝られる人が多いって聞いたことありますし。
R
さん
私、全然寝れますね......。
ニシダ
いや~、終わった後はなんか全部が汚い感じがしちゃうんですよね。なので、果てた後は次回予告的な芝居だったらいいのかも。
R
さん
次回予告的な?
ニシダ
「来週はこれか」みたいな。次のセックス前のインプロの予告編。次のセックスへの足掛かりだと思ったらノりたくなるかもしれないです。
R
さん
そこのサービス精神、私も微妙にあって。
ニシダ
あるんだ。
R
さん
相手が何で抜いたかを定期的に聞いてて、「同じマンションに住んでて、たまに顔を合わせるけど、なんか自分にだけ優しい年上のお姉さん」って言ってたので、じゃあそれを次はやろうって思ってます。
ニシダ
すごい教えてくれる。いい人ですね。
R
さん
私も向こうのニーズに調整していきたいなって。
ニシダ
なるほど。その努力めっちゃいいんじゃないですか。相手はうれしいと思いますよ。
R
さん
ちなみにコスプレ用意していく......はやりすぎですかね?
ニシダ
あー......それは難しいラインですね。なんか、「え、何?このセックスのためにそんな準備してきたの?」ってなると、ちょっとサムいというか。なんていうんだろう、セックスって漫才と一緒だと思うんですよ。
R
さん
セックスは漫才と一緒?
ニシダ
もちろんみんな練習してくるし、本番に向けて調整するけど、立ち話っていうていを守ってほしいというか。下準備してある感じを出されると、それはちょっと違う。漫才と一緒で、あくまで偶発的に始まったセックス・立ち話です、っていうのが保てるラインであってほしい。
R
さん
なるほど。
ニシダ
漫才中に小道具を出すのって多分まだサムいとされていると思うし、事前に持ってきたコスプレでセーラー服とかカバンから出されたら「え、どういうこと?」ってなっちゃう気がする。だから準備しすぎない、というのも大事な気がします。
R
さん
めっちゃ参考になりました!ありがとうございます!
***
■ニシダ(ラランド)
1994年7月24日生まれ、山口県宇部市出身。2014年、サーヤとともにお笑いコンビ「ラランド」を結成。著書に小説集『不器用で』『ただ君に幸あらんことを』(いずれも角川書店)
撮影/鈴木大喜
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