「業界を去ったあと、悲しくてTBSラジオを聴けなかった」元TBSアナの私がTBSラジオをまた聴けるようになったワケ

「業界を去ったあと、悲しくてTBSラジオを聴けなかった」元TBSアナの私がTBSラジオをまた聴けるようになったワケ

3月27日(木) 23:46

提供:
2010年にTBSに入社し、『朝ズバッ!』『報道特集』などを担当したのち、2016年に退社したアンヌ遙香さん(39歳・以前は小林悠として活動)。

TBS退社から8年経った今年、紆余曲折を経て20年生活した東京を後にして活動拠点を故郷北海道に戻したアンヌさん。アラフォーにして再スタートを切った「出戻り先」でのシングルライフの様子や心境をつづる連載です。

第27回となる本記事では、3月22日に日本のラジオ放送が100年を迎えたことにちなみ、アンヌさんのラジオ愛をつづります(以下、アンヌさんの寄稿)。

学生時代から生粋のラジオっ子



ラジオ、好きですか。

私は一部で「ナタリー」と呼ばれていますが、これはTBSアナウンサー時代に番組内でつけていただいた愛称。

TBSラジオで番組を持たせていただいていたときは、とにかくのびのびと自由にやらせていただいて、テレビでは報道畑で、ラジオではバラエティー的にと幅広い仕事をさせていただいたこと、今でも深く感謝しています。

アナウンサー時代にラジオを愛していたのはもちろんのことですが、私は学生時代から生粋のラジオっ子でした。

高校生のときはまだ札幌に住んでいましたが、北海道のラジオ局AIR-G'(エフエム北海道)の、当時好きだった歌手の方がやっていた番組にファックスを送ったこともありましたし、東京で大学生をしていた頃は、一人暮らしの相棒にJ-WAVE。

そしてTBSに会社員として入局してからは愛社精神もあり、もっぱらTBSラジオ一筋でした。私の生活空間においてラジオと言うものは欠かせない存在であり、家の中が無音状態だとちょっと気持ち悪いと思うくらい。

もちろんテレビでも良いのですが、なぜか自然とラジオに優先的に手が伸びる人生なのです。

TBSラジオが聴けなくなってしまった時期も



体を壊し、泣く泣く業界を去ったときには、正直悲しくて切なくて、大好きだったTBSラジオが聴けなくなってしまった時期がありました。

だって大尊敬しているあの先輩の声やあの同僚の声がひっきりなしに流れてくるのです。それは私にとってかなりつらいものでした。

ただ、ラジオそのものから遠ざかった事はなく、会社を辞めてからは同じAMのNHKラジオを聴いたり、また学生時代に親しんでいたJ-WAVEに原点回帰したりしていました。

そのときに感じたのは、さまざまなものを聴き比べることの大切さ。NHKラジオの落ち着いたトーン、この感じ、私も取り入れるべきだったな、など、アナウンサー時代にもっとさまざまなものを聴き比べて、それを自分の中に落とし込めばよかったと反省したり。

私にとってラジオはむしろ生活の中心であり、人生の中心と言っても過言ではないのかもしれません。

故郷・札幌に戻し、祖母の部屋のラジオをつけてみると



そんなラジオライフで迎えた、私のある転機。昨年の春。大型犬の愛犬リリーを連れて故郷札幌に生活拠点を戻したときのこと。

帰還してからの最初は、亡くなった祖母の部屋の整理整頓に明け暮れる毎日でした。とにかく足の踏み場もないほどの状態の、倉庫のような部屋を一から片付けていき、何とか寝床を確保するところから。

毎日少しずつ整理をしていく中で、窓辺の棚の上に1台の年代物のCDプレーヤーが残されていることに気が付きました。

気分転換に、実家に眠っているクラシックCDでも流してみようかと思いましたが、残念ながらCD機能はもう使えない様子。

それではとラジオのボタンを押してみると……そこからは明確に、しっかりと周波数が合わせられたラジオ音声が聴こえてきたのでした。

そのラジオ局はHBCラジオ。TBSの道内系列局です。

祖母は晩年、長く入院し、他界。そのことを考えても、このCDプレイヤーはおそらく、少なくとも15年以上は使われることなく放置されていたわけですが、流れてくるHBCラジオの音声は非常にクリア。そして、祖母は常日頃ラジオを聴いていたと思い出したのでした。

故郷に戻り、やっと再開できた



それから毎朝、目が覚めればこの年季の入ったCDプレーヤーでラジオを流す生活。そんな中で、私の中で実は大きな一歩だったのが、系列局であるTBSラジオの音声を聴くことができたということ。

北海道の放送局による自社制作番組の合間で、TBS制作の『森本毅郎・スタンバイ!』が一部流れる時間があるのです。

会社を辞めてから、悲しくて悲しくてなかなか聴くことができなかったTBSラジオ。祖母の御縁に導かれるように、およそ8年ぶりに耳にした森本さんの声は、私が現役時代と変わらず、いぶし銀の魅力があり、そして遠藤泰子さんの優しく落ち着いた声もそのままでした。

悲しくて聴けなかったというエクスキューズがありつつも、私の中では正直、何年もTBSラジオの放送から逃げ続けていたような現実があったわけですが、北海道に帰ってきたことで、やっと、本当に久しぶりにTBSラジオと個人的に再会できたという心境でした。

幅広い番組を耳にすることが非常に大事であると大人になって理解できるようになったので、現在は道内のSTVラジオなども聴くようになりましたし、時折radikoプレミアムを使ってJ-WAVEの別所哲也さんの朝番組を楽しむこともあります。

TBSラジオの番組もよく聴いています。

私にとって生活の中心であり、ライフステージの要所要所に寄り添ってもらっているのがラジオ。

もはや、家族であり、親戚のような存在かもしれません。

私は、ラジオが好きです。

<文/アンヌ遥香>

【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道生まれ。お茶の水女子大学大学院修了。2010年、TBSに入社。情報番組『朝ズバッ!』、『報道特集』、『たまむすび』などを担当。2016年退社後、現在は故郷札幌を拠点に、MC、コメンテーター、モデルとして活動中。文筆業にも力を入れている。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中。Instagram: @aromatherapyanne

【関連記事】
元TBSアナ、『朝ズバッ!』時代のみのもんたとの“事件“を明かす「本番中のことです…」
38歳で地元・札幌に戻った元キー局アナの私が「テレビ局員で居続けたらなかなか見えなかった」と思うこと
さっぽろ雪まつり「外国人配信者の暴挙」はなぜ野放しに?札幌在住の元キー局アナが物申す
39歳・元キー局アナの私が“若い男性3人組”に路上でナンパされ、愕然としてしまったワケ
「怒りを覚えてしまった…」元TBSアナが、統合失調症の女性を家に閉じ込めつづける両親に抱いた思い|映画『どうすればよかったか?』
女子SPA!

生活 新着ニュース

合わせて読みたい記事

編集部のおすすめ記事

エンタメ アクセスランキング

急上昇ランキング

注目トピックス

Ameba News

注目の芸能人ブログ