戦後80年を迎える本年、戦争の記憶を次世代へと伝えるドキュメンタリー「満天の星」が、7月4日から沖縄先行公開、8月に全国公開されることが決定した。あわせて予告編が公開された。
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【動画】一夜で784人の子どもたちが命を落とした「対馬丸事件」に迫るドキュメンタリー「満天の星」予告編
本作は、一夜で784人の子どもたちが命を落とした戦時下史上最大の学童死亡事件「対馬丸事件」の真相に迫るドキュメンタリー。戦争を経験した世代が年々少なくなっていく中、「なぜ戦争を繰り返してはならないのか」という問いを、数々の貴重な証言とともに観客に問いかける。
なぜ、対馬丸は狙われ、そして見捨てられたのか……当時、軍部によって徹底的な箝口令が敷かれ、その詳細は長らく闇に包まれていた。対馬丸事件の生存者である中島髙男は、事件当時、対馬丸の甲板員として乗船しており、沈没の衝撃でバラバラになった筏を、暗闇の海上を泳いで一つ一つ探し、それらを繋げ7人を救助。数日間の漂流の末、奇跡的に生還したが、その後も、事件に関する厳しい情報統制の中で苦しみ続けた。中島髙男を祖父に持つ俳優の寿大聡は、祖父の死をきっかけにその足跡を辿り、事件の真相に迫る旅に出る。戦争の理不尽さ、そして人々の記憶に埋もれた真実を追求する中で、寿大の旅は戦地ウクライナにまで及んでいく。
初監督作品となった葦澤恒は、「オシア ウコ」名義で、井浦新、成田凌主演の「ニワトリ★スター」や「神在月のこども」などをプロデュースした人物。そして、無名塾出身で「地球兄弟」「土竜の唄」「ウスケボーイズ」などに出演してきた俳優の寿大聡が共同でメガホンをとっている。なお、ナレーションは声優の田中真弓が担当した。
本作は、沖縄国際文化祭2025に正式出品され、4月6日に上映予定。また、東京ドキュメンタリー映画祭2024、あきた十文字映画祭2025にも出品され、第27回ゆふいん文化・記録映画祭での上映も決定している。
コメントは以下の通り。
■葦澤恒(監督)
2025年で、戦後80年となり、戦争を体験した世代の方々は、どんどんいなくなっている現代。あと数年すれば、日本人が地の底まで叩きつけられたあの戦争の悲惨さ、愚かさを、直接、体験者の生の声で聞くことはできなくなる。生存者の心に触れられないことが、一体どれほど、この後の時代を生きる者にとって危険なことなのか、考えなくてもわかると思います。まさに、戦争を体験していない僕らの世代は、どのようにして、次世代を担う、次の世代に、戦争の悲惨さ、愚かさを伝えていくのか。その想いを一心に、本作を制作しました。個々が受け止めて、なにかしら、心に感じてもらえるものがあれば、幸いです。
■寿大聡(監督)
戦争体験者がますます少なくなる現代においてどうやって戦争の悲惨さと命の大切さを「実感」をもって後世に伝えていけるのか?世界大戦から80年たった今もなお、いまだ戦争が絶えず前途有望な若者達は戦地に駆り出され、多くの民間人も未来を担う子供たちも無力のまま命を落としています。こんな状況で良いわけがないのです。私は全くもって立派でもなく聖人君子でもなく間違いばかりで誇れる人生を歩んできたとは一切言えない人間ですが、「戦争」は絶対にいけないという事は知っています。映画「満天の星」は、未来のために、「対馬丸」を通して反戦及び世界平和を訴え続けます。皆様是非劇場までお越し下さい。
■田中真弓(ナレーション)
1982年に公開された「対馬丸 さよなら沖縄」では清役をやらせていただき、「満天の星」では、ナレーションを担当させていただきました。諏訪プロデューサーから連絡をもらった時は、とても運命を感じました。そして、心を込めてナレーションをやらせていただきました。「対馬丸で起こったことは、後世に伝えていく必要がある」この作品を語るには、この言葉がピッタリです。
【作品情報】
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満天の星
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