「ハチクロ」からスタートし、「あの花」や「サイコパス」が大ヒット!最新作「謎解きはディナーのあとで」に至るノイタミナの20年を振り返る

「謎解きはディナーのあとで」に至る「ノイタミナ」の歩みを振り返り!/[c]東川篤哉/小学館/「謎解きはディナーのあとで」製作委員会

「ハチクロ」からスタートし、「あの花」や「サイコパス」が大ヒット!最新作「謎解きはディナーのあとで」に至るノイタミナの20年を振り返る

3月23日(日) 9:30

2025年4月4日(金)より放送されるテレビアニメ「謎解きはディナーのあとで」。同作は深夜アニメ放送枠「ノイタミナ」の最新作であり、同時に20周年を飾る作品でもある。2005年4月に放送開始の第1作「ハチミツとクローバー」に始まり、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」や「PSYCHO-PASS サイコパス」などのヒット作をいくつも放ち、現在に至るまで“名作が生まれる枠”として不動の地位を築いてきた。20年の節目を機に、ノイタミナが歩んできた歴史を、印象的だった作品を取り上げながら振り返りたい。
【写真を見る】櫻井翔、北川景子の共演で実写化もされた「謎解きはディナーのあとで」がテレビアニメに!
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■「ハチミツとクローバー」や「Paradise Kiss」、「のだめカンタービレ」で女性からの支持を獲得

ノイタミナがスタートした当時、深夜アニメといえば、従来のアニメファンをねらった作品が多かった。そんななか、ノイタミナの第1作は「3月のライオン」などで知られる羽海野チカ原作の「ハチミツとクローバー」。美術大学を舞台にした学生たちの人間模様を軸に、圧倒的な才能に直面し苦悩する姿も描き、“ハチクロ”として親しまれた。

続いて、矢沢あい原作の「Paradise Kiss」や安野モヨコの「働きマン」などが放送され、スタート当初のノイタミナでは少女漫画や女性向け青年漫画のアニメ化が目に留まる。女性人気の高い作品を積極的にチョイスすることで、日常的にアニメを見ない層、特に20代、30代の女性からの支持を集めることになり、ファンの取り込みや拡大、文化の醸成に寄与した。

その後も二ノ宮知子の「のだめカンタービレ」やよしながふみの「アンティーク~西洋骨董洋菓子店~」など、女性コミック誌で連載されていた作品がノイタミナでいくつもアニメ化。特に、「のだめカンタービレ」をきっかけにクラシックに関心を持ったという人も少なくないと思われるが、それにはアニメ以前に放送された実写ドラマのヒットとの関連性も無視できないだろう。同作や上記で挙げた作品をはじめ、ノイタミナ作品には実写ドラマ化、映画化がされているタイトルも多く、メディアを超えたつながりが幅広い視聴者に受け入れられる要因になったと考えられる。

■感涙必至の「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」

もちろん、長くアニメを愛してきたファンも納得し、高く評価された作品も生まれている。その筆頭として取り上げたいのが、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」と「PSYCHO-PASS サイコパス」だ。作風は真逆といってよい2作だが、共に“社会現象”といって差し支えないほどのヒット作となった。

2011年4月クールで放送された「あの花」は、かつての仲良しグループの再会と和解、その中心人物で子どもの頃に事故死した少女の最後の願いを叶えるために主人公たちが奔走する姿が大きな感動を呼んだ。登場人物の心情や葛藤を丁寧に描きだす演出や、心を揺さぶるラストシーンは感涙必至で、舞台となった街を訪れる“聖地巡礼”も話題となった。

「あの花」の監督を務めた長井龍雪、脚本の岡田磨里、キャラクターデザインの田中将賀によるトリオは、同作の劇中に登場したチーム名になぞらえて“超平和バスターズ”と呼ばれ、その後もヒット作を連発。「あの花」以前に手掛けた「とらドラ!」のほか、『心が叫びたがってるんだ。』(15)、『空の青さを知る人よ』(19)に加えて、超平和バスターズとしてはクレジットされていないが『ふれる。』などの長編映画を生みだしている。

■倫理観を問うテーマも話題となった「PSYCHO-PASS サイコパス」

「PSYCHO-PASS サイコパス」は2012年10月から2クールにわたって放送され、その後も続編や劇場版が制作されている。人間の精神状態を数値化する「シビュラシステム」が普及した近未来が舞台で、システムが個人に適した職業選択を行い、犯罪係数(犯罪を犯すリスク)の規定値を超えた人物を潜在犯として取り締まることで犯罪を未然に防ぐなど、一見すると理想的な社会が描かれるSF作品。

公安局に所属する警察官と潜在犯の戦い、システムの網をかいくぐって治安を脅かす危険人物との駆け引きに加え、容赦ない人体破壊描写もあるなどハードなアクションは見応え抜群。また、ミステリーやサスペンス要素、「犯罪係数に問題がなければ罪にならないのか?」という倫理に問いかけるテーマにも踏み込むなど、フィクションの枠に収まらない奥深さに大勢が引きつけられた。

■『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』をはじめ劇場作品も多数

ノイタミナはテレビアニメのみならず劇場作品にも広がりを見せている。『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(13)や『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』(15)のような放送作品の劇場版も多数。現在公開中でテレビアニメ「モノノ怪」の最新作『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』もその一つだ。

テレビアニメ「モノノ怪」の最新作『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』

2006年に放送された「怪~ayakashi~」の一編「化猫」から派生し、テレビアニメが放送された「モノノ怪」。謎の男、薬売りが、人の情念や怨念が取り憑いた怪異を鎮めるため、諸国を巡る物語が展開され、和紙のテクスチャーを活かした外連味あふれる映像美も魅力。映画シリーズは三章構成で、2024年には『劇場版モノノ怪 唐傘』も公開されている。

謎の男、薬売りが人の情念や怨念が取り憑いた怪異を鎮める(『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』)

■世代によっては懐かしいタイトルも

このほか、湯浅政明が監督した「ピンポン」や同時期にテレビドラマも放送された「クズの本懐」、絵本タッチのアニメーションながら重厚なストーリーが展開される「王様ランキング」などなど、印象的なタイトルを挙げれば枚挙に暇がない。さらに、原作漫画が1985~94年に連載された「BANANA FISH」、過去にもテレビアニメが放送された「うる星やつら」、「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」のような世代によっては懐かしいタイトルも。長くアニメから離れていた人の興味を引き、10代、20代のアニメファンにとっては新鮮なおもしろさを届けたのではないだろうか。


テレビアニメの最新作「謎解きはディナーのあとで」は、シリーズ累計500万部を突破している東川篤哉によるミステリー小説が原作。やはり過去には櫻井翔、北川景子の共演で実写化もされており、幅広い層の関心を掴みそうだ。同作や『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』も含めて、多彩な作品を発信してきたノイタミナに今後も注目したい。

文/藤堂真衣


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