3月20日(木) 9:40
定年退職後は、健康保険に新たに加入しなければなりません。加入できる健康保険の選択肢は以下の3つです。
・国民健康保険
・退職した会社の任意継続被保険者制度
・妻の会社の健康保険
国民健康保険へ加入すると、前年の所得や年齢などを基に保険料が決まります。そのため、前年に正社員で働いていた場合、高くなる可能性があるでしょう。
任意継続被保険者制度へ加入した場合も、これまで事業主と折半で支払っていた保険料が、全額自己負担となります。
その点、妻の扶養に加入できれば、健康保険料の負担は一切かかりません。
妻の扶養に入るためには、次の条件を満たす必要があります。
・条件1:夫が60歳以上の場合、年間収入が180万円未満である(60歳未満は130万円未満)
・条件2:夫の年間収入が被保険者である妻の年収の2分の1未満である
例えば、60歳の夫が定年退職後にパートなどで働いていて、年間収入が180万円を上回っていれば、妻の被扶養者になれないことが原則です。また、定年後に失業給付金を受けている場合、基本日額が4999円超だと扶養に入れないため注意しましょう。
ただし例外として、条件1を満たしていて、かつ「被保険者の年間収入を上回らない」場合、「妻の年収で生計を維持している」と認められれば、被扶養者になれる可能性があります。
夫が要件を満たし妻の扶養に入ることで、夫自身だけでなく妻にも「配偶者控除」や「配偶者特別控除」を受けられるメリットがあります。それぞれの要件を確認しましょう。
国税庁「配偶者控除」によれば、配偶者控除を受けるための要件は次のとおりです。
・妻の合計所得金額が1000万円以下
・夫の合計所得金額が48万円以下(給与収入のみの場合は103万円以下)
・妻と生計を共にしている
・民法上の配偶者である(内縁関係は認められない)
・青色申告者の事業専従者として給与をもらっていない、もしくは白色申告者の事業専従者ではない
これらの要件を満たすことで、最大38万円の配偶者控除を受けられます。
同庁の「配偶者特別控除」によれば、以下の要件を満たせば、妻は最大38万円の配偶者特別控除を受けられます。
・妻の合計所得金額が1000万円以下
・夫の合計所得金額が48万円超~133万円以下
・妻と生計を共にしている
・民法上の配偶者である
・青色申告者の事業専従者として給与をもらっていない、もしくは白色申告者の事業専従者ではないなど
夫の合計所得金額が48万円を超えていても控除を受けられる点などが、配偶者控除とは異なります。
なお、配偶者控除と配偶者特別控除の両方を受けることはできません。
夫が定年退職し妻が会社員の場合、条件を満たすことで、夫は妻の扶養に入れます。扶養に入り、健康保険にも加入すれば、健康保険料の負担はかかりません。また、妻自身も配偶者控除や配偶者特別控除を受けられ、節税にもつながるでしょう。
老後の資金について不安がある人は、今回解説した内容を参考に、配偶者の扶養に入ることを選択肢の1つとして考えるのもよいかもしれません。
国税庁配偶者控除
国税庁配偶者特別控除
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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