3月20日(木) 3:50
「30代で貯金100万円は少ないのか?」と考えるとき、まず気になるのは同世代の平均的な貯金額でしょう。ここでは、金融広報中央委員会の統計データをもとに、30代の貯金額の平均と中央値を紹介します。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(2023年)」によると、30代の貯蓄額は以下の通りです。
平均:594万円
中央値:100万円
平均:601万円
中央値:150万円
貯金額を比較する際には、「平均」と「中央値」の両方を見ることが大切です。平均値は一部の高額な資産を持つ人によって引き上げられるため、より実態に近い数値を見るには中央値のほうが参考になります。
今回の場合、貯金100万円は30代の平均値よりやや少ないですが、中央値では同等なので決して少ないわけではないといえるでしょう。
また、30代で「金融資産をまったく持っていない」という一定数の人もいます。単身世帯では34.0%、二人以上の世帯では28.4%が貯金ゼロと報告されています。
貯金100万円が「少ないかどうか」は、収入やライフスタイルによって変わります。以下のように、状況別に考えてみましょう。
一般的に「生活費の3~6ヶ月分の貯金」があると、万が一のときにも安心といわれます。
例えば、月の生活費が20万円の場合、60~120万円が目安になります。この基準で考えると、100万円の貯金は「最低限の備えはあるが、もう少し増やしておくと安心」というレベルです。
30代は、結婚や住宅購入、子育てなど大きなライフイベントが増える時期です。これらのイベントに備えるには、100万円ではやや心もとないかもしれません。特に、住宅購入の頭金や子どもの教育資金を考えるなら、もう少し余裕を持って貯金を増やしておくと安心です。
貯金だけでなく、NISAやiDeCoを活用して資産運用をしている場合は、100万円でも問題ないケースがあります。運用益を長期的に増やしていくことで、将来的な資産を確保できるからです。これらの制度を利用すると、投資によって得られた利益が非課税となり、特にiDeCoでは投資した金額に応じて所得税等が軽減されます。
貯金を増やしたいと思っていても、「どうやって貯めればいいのか分からない」「なかなか思うようにお金が貯まらない」と悩んでいる人は多いのではないでしょうか。実は、ちょっとした工夫や習慣を変えるだけで、無理なく貯金を増やすことができます。ここでは、今日からすぐに実践できる貯金のコツを紹介します。
固定費(家賃、スマホ代、保険料など)を見直すと、意外と節約できるポイントが見つかることがあります。特にサブスクや不要な保険は、気づかないうちに家計を圧迫していることもあります。
給与が入ったら、すぐに一定額を貯金用の口座に移す「先取り貯金」を習慣化すると、無理なく貯金を増やせます。先取り貯金の目安は、収入額の1〜3割程度です。例えば毎月の手取り額が20万円の場合、2〜6万円を貯蓄するのがよいでしょう。また、ボーナス時にまとまった額を追加するのもおすすめです。
貯金だけでなく、投資を活用することで資産を効率的に増やせます。つみたてNISAは、少額からの積み立てが可能で、運用益が非課税になるため、長期的に資産を増やしやすい制度です。
一方、iDeCoは老後資金を準備するための制度で、掛金が所得控除の対象となり、節税しながら貯蓄できます。どちらも早く始めるほど効果が高まるため、貯金と並行して活用すると、より効率的に資産を増やせるでしょう。
30代で貯金100万円は、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」から見ると中央値なので、決して少ない状況とはいえません。大切なのは、他人と比較するのではなく、自分のライフスタイルや将来の目標に合わせて貯金を進めることです。
まずは、毎月の生活費を把握し、無理のない範囲で貯金の計画を立てましょう。先取り貯金や資産運用を活用することで、無理なく貯金を増やすことができます。貯金は一気に増やすものではなく、コツコツ続けることが重要です。今の自分にできることから始めて、将来の安心につなげていきましょう。
金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト iDeCoってなに?
金融庁 NISA特設ウェブサイト NISAを知る
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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