3月12日(水) 19:00
文部科学省の「国公私立大学の授業料等の推移」によると、令和5年度における、国公立大学および私立大学の授業料・入学料は表1の通りです。
なお公立大学と私立大学の額は平均値であり、公立大学の入学料は地域外からの入学者の平均です。
表1
大学の種類 | 授業料 | 入学料 | 合計 |
---|---|---|---|
国立大学 | 53万5800円 | 28万2000円 | 81万7800円 |
公立大学 | 53万6191円 | 37万4371円 | 91万562円 |
私立大学 | 95万9205円 | 24万806円 | 120万11円 |
出典:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」を基に筆者作成
私立大学の方が国立大学や公立大学より約42万円も授業料が高くなっています。しかし入学金については私立大学の方が安いという結果でした。合計金額では私立大学が高い傾向にあります。
仮に同じ授業料を4年連続で支払うと仮定すると、4年間全体での費用合計は以下の通りです。
・国立大学:242万5200円
・公立大学:251万9135円
・私立大学:407万7626円
4年間全体での費用の差ともなると、私立大学が国立や公立より150万円以上高くなります。国公立大学に進学するか私立大学に進学するかによって、必要な資金は大きく変わってきます。
国立大学の入学金や授業料は、文部科学省が標準額を定めていて、各大学が標準額の上限の範囲内で額を設定するようになっています。基本的に国立大学はおおむねどの大学・学部においても表1の金額が適用されているようです。
公立大学は国立大学と同程度の設定とされています。ただし地元の学生なのか他地域からの進学なのかによって、入学金の額が変わることがあります。
例えば埼玉県立大学の場合、県内の学生の入学金は21万1500円で、県外は42万3000円です。公立大学には自治体の税金が使用されていることから、地元の学生に対して入学金を優遇する傾向があるようです。私立大学は、国立大学のような標準額はないため、各大学の判断によるところが大きいでしょう。
また同じ大学でも学部によって差が出るケースもあります。例えば慶應義塾大学の場合、学部によって授業料には以下のような差が出ます(2024年度)。
・文学部/経済学部/法学部/商学部:92万円
・医学部:304万円
・理工学部:134万円
大学進学の際にかかる費用は、入学金や授業料のみではありません。以下のような費用も発生する可能性があります。
・受験費用(大学入学共通テストや2次試験など)
・教科書代や実習に必要な費用
・引っ越し代や新生活に必要な費用
・家賃など
2025年度の受験料は、大学入学共通テストは1万2000~1万8000円、国公立大学の2次試験はほとんどの大学で1万7000円、医歯学部以外の私立大学は3万~3万5000円ほどでした。
大学進学にともない1人暮らしを始める場合は、新生活を始めるための諸費用が発生するかもしれません。
今回のケースでは貯金が500万円あり、表1の入学金や授業料を支払う余裕はあるようです。場合によっては4年間の授業料すべてを含めてもカバーできるかもしれません。
ただし入学金や授業料以外の費用が多くかかる可能性もあります。また貯金の500万円すべてを学費にあてられるとは限りません。病気や事故など不測の事態による出費があれば、余裕はなくなるおそれがあります。
貯金額が心配な場合は、塾の費用を見直したり、子どもがアルバイトをしているのであれば子どもと相談したうえでその給料をいくらか組み込んだりなど、家族全体で大学進学に関する費用をシミュレーションするとよいでしょう。
貯金500万円で大学費用をすべてまかなえるかどうかは一概にいえません。どの大学へ進学するか、どの学部で学ぶか、受験や新生活にかかる費用はどれくらいかなど、関係する要素はさまざまです。
そのため、家族で進学にかかる費用について一度話し合ってみるとよいでしょう。
文部科学省 令和5年度私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について (参考2)国公私立大学の授業料等の推移
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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